「もう20ユーロください」と要求されたあたりから、「これは少しおかしいのでは?」という気がした。
まあともかく人を助けたのだから良かった。助けなかったら、「困ってどうしたかなあ、悪い事したかなあ?」と思い続けてしまうし、後々までふと考えることになる。だからあれで良かった事にしよう、と納得し合ったものの、40ユーロとはえらく高くついてしまった。止まらないで見過ごすことも出来たけれど、何年か前に本当に困った人を助けた事も有るし、旅行中困って助けてもらう事がよくある運転手としては、つい止まってしまったようだ。

昔ヴァントー山の頂上近くで、あまりに風が強くて、飛ばされないように歩くのに困って棒切れに捕まった母子三人に「どうか乗せていただけないでしょうか」と拝むように頼まれたことがあった。しかしその時、私達は小さなツインゴに三ヶ月分の荷物、トランクやリュックサックと親子三人で一杯で「申し訳無いけれど、この有様で乗せてあげたいがとても無理です」と断った。本当に凄い風のつよさで、ツインゴも飛ばされるのではないかと恐れるほどの日だった。去年久しぶりにヴァントウ山に登ったけれどあの時が嘘のように良い天気で、自転車で一杯でした。そんなこんなで、本当に助けてあげたいと思った体験をも想い出しました。
それなりの緊張と40ユーロの賭けか寄付で なんだか疲れたので、Cadenetの村でカフェタイムにして頭をひやした。「前回もこの広場のあのレストランで昼ご飯を食べたなあ。安くて美味しかった」と話しながらコーヒをのんだ。窓から投げ込まれた贈り物を出してながめると、嘘か本当か分からないが、首飾りも指輪にも18Kと書いてある。「トルコだからきっとアラーの神様に感謝されるよ。身成も良かったから、あれはトルコの良い家柄の人達で、旅行に来たけど我等の様に要領が悪くて困っていたんだ。これは本物の金で、40ユーロより高いかも」と思うことにした。
気力を新たにして、Aptで買い物すべく、先ずはLourmarinに向かって出発した。