レンタカーを借りて、小さな町や村を訪問すると楽しいです。とはいうものの、返した後は「今回も無事だった!ヤレヤレ」と胸を撫でおろすのですが。

17 年前初めてフランスでレンタカーを借りた時は、マニュアル車ばかりだった。道端に止まっている車を観察したら、オートマチック車は50台に一台ぐらいだった。日本から予約するとか、パリで予約するなど考えた事もなく、いつも行き当たりばったりの旅なので、失敗して落ち込む事が多いかった。無駄の多い、しかしそれゆえ得る物も沢山ある、あまり人にはお勧め出来ない旅ばかりです。毎回乗り始めは日本とは左右逆の操作に慣れず、方向指示器を右に出したらワイパーがガシャガシャと動いたり、運転しようと座れば助手席でハンドルが無い。95年に初めて車を借りた時は、道路標識の直進矢印が日本とは違うのにいつまでも慣れなくて、とんでもなく細い路地に入り込んでしまったり、九十度違う方向に進んでしまったり、やっとこさ行きたい道を走り出してやれ嬉しと思いきや、信号機のないロータリー交差点で、グルグル回っている内にまたもや行き先が分からなくなり、迷ったり戻ったり。右折をしたらつい日本の癖で対抗車線に入ってしまい、対抗車の運転手がギョッとビックリして目を白黒。日本の様に踏切前で一旦停止したら、後ろの車にビー!と叱られ、フランスでは踏切では止まらなくて良いのかとおどろきました。まあ随分いろいろな事を体験しました。とは書いてみたものの、運転手は私のパートナーで、私はミシュランの地図帳片手に老眼鏡をかけたり外したりのマニュアルカーナビ兼アシスタントです。
なにしろ運転手は車を走らせるのがやっとで、行き先は老妻のカーナビが頼りです。カーナビの方はミシュランの地図の小さな文字と道路標示を読み比べ指示を出すのですが、間違える事は度々だし、速度が速いので行き過ぎてから気付く事も多く、一目で識別出来る漢字の便利さをおもいました。アルハベットを読むのは、どうしても時間がかかってしまいます。
しかし、この三年オートマチック車を借りることが出来て、とても楽になりました。この夏はパリのリヨン駅のエルツで電話予約したら、29 日借りて保険料込みで7 万円ちょっと。メルセデスベンツで優雅(?)にドライブ出来、去年はワーゲンのゴルフ、一昨年もメルセデスのベンツでした。こればかりは行き当たりばったりで何になるか分からない。日本ではトヨタの1500 ccおんぼろ大衆車でカーナビなど使ったことがない。ここ三回は贅沢を味わいました。前にはツインゴで二ケ月7800km走り回ったこともあります。

このところフランスの車の速度がゆっくりになった気がする。乗り始めの頃はあまりに速いダッシュにたまげ、こちらも攻撃的運転に必死で、もう速度についてゆくのが大変。普通の国道が日本の高速道路並で、高速道路では160 キロ出してみたりしてた。慣れたのもあるけれど、やはりダッシュも前程猛烈でなくなった気がする。フランス人の友人にそう言うと、取り締まりがとても厳しくなったそうです。今年の最新ベンツのカーナビは、女性の声で「スピードを落としてください!」とよく叫んでびっくりしました。友人は「この車には親切過ぎる御婦人が一人乗っているのでうるさいなあ」と言ってました。カーナビに慣れてない私達には性能が良すぎて、思う様に操作が出来なくて、いろいろ困りました。ある時、どこかに触れたせで、行き先がエクスTJVの駅になってしまいました。出発地点で最終地点ではありましたが。どこに行くにも赤い道になってしまい、御婦人は「間違ってます。次の道を戻ってください!」と叫び続け、さすがに運転手もうるさくて我慢出来ず、道端であれこれ操作をやってみて、なんとか声だけを消すことが出来ました。しかし、道は赤く執拗にエクスTJVに指示し続けていました。