去年の今頃は、まさか6日後に三男が亡くなるだなんて思ってもみたなかった。
毎日、ただひたすらに前だけを見て、いつか三男が退院して家で生活できることだけを目標にしていた。
「いつ急変してもおかしくない状況」
「最重症」「国内でも例がない」
そんなことを医師からずっと言われ続けていた。
週1の面談で話す内容は、常に心臓移植・補助人工心臓に繋ぐまでの話。極低出生体重児のため治療法には限りかあり、その上心臓が悪すぎて体重が増えるかどうかも分からない。明るい話なんて全くなかった。
今思うと、よく精神を保っていられたな、と自分でも思う。
それでも三男は生きている、成長している、頑張っている。三男に会うたびに、それらは確実に私に伝わっていた。
我が子が病気でも、入院していても、生きていてくれることが親にとってどれだけ幸せなことか。それは敦希の経験から知ったこと。
だから私はどんなに厳しいことを言われても、希望だけは捨てなかった。
「例がない」と言われても「新たな例を三男が作るかもしれない。その希望がない訳じゃない」
私はそう言っていたし、医師にも伝えていた。
…現実は本当に厳しい。
何でこんな稀な病気に我が子が二人も。
しかも何で二人とも亡くさなきゃいけないのか。
まだ三男が亡くなった原因の詳細も、遺伝子検査の結果も聞いていない。
亡くなった原因はもう判明しているみたいだけど、遺伝子検査の結果と一緒に聞くことになっている。
もう一年が経とうとしているけど、遺伝子検査はまだ時間がかかっている。全ゲノムを調べるのだから仕方がない…結果はいずれ分かること。
命日が近くなってきて、日々いろんなことを考える。
よく思うのは…
自分が思い描いていた未来と現実があまりにも違いすぎて、この現実は何なんやろう…と。
前向きで明るかった自分と今の自分はまるで正反対。今はただ無理矢理明るく振る舞っているだけ。心の中にはいつも疑問があったり、卑屈の心がある。
自分が描いていた未来を歩めていたら、私はどんなに幸せやったんやろなぁ。
そんなこと考えたって仕方がないけど、やっぱり悔しいな。