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向原総合法律事務所/福岡の家電弁護士のブログ

福岡の中心部・天神駅真上の場所にある法律事務所の弁護士です!
日常の法律問題や、弁護士業界のネタ、その他をつらつらと書こうと思います。

3.11が迫ってまいりました。
個人的には、すごく行きたいのですが、行けなくて残念に思います。
 
そこで、出席される方から、可能な範囲で、このような質問を執行部に投げかけていただけると幸いです。
 
執行部案については
① 司法試験合格者数関係
 司法試験合格者数を早期に年間1500人とすること。
②-1 法科大学院関係
 法科大学院の規模を適正化し、教育の質を向上させ、法科大学院生の多様性の確保と経済的・時間的負担の軽減を図ること とともに、
②-2 予備試験関係
 予備試験について、経済的な事情等により法科大学院を経由しない者にも法曹資格取得の途を確保する、との制度趣旨を踏まえた運用とすること。
③ 司法修習関係
 司法修習をより充実させる とともに、
 経済的事情によって法曹への道を断念する者が生じることなく、かつ、司法修習生が安心して修習に専念しうるよう、給付型の経済的支援として、給費の実現・修習手当の創設を行うこと。
 
と分類します。
 
1 ①についての質問
 質問1 1500人にしても激増ペースはさほど現在と変わらないが、その受け皿はどうなっているか。
 質問2 「現実問題として一旦1500人とし、その後さらに減員を求める」との交渉スキームなのかもしれないが、一度数字を出せば、そこからさらなる要求は困難になるのではないか。そのスキームでは、日弁連がもっとも恐れている「世論からの批判」は、より強くなるのではないか。そのことに対する危惧感の有無、及び、執行部が考えている「1500人」後のマイルストーンはどのようなものか。
 
2 ②-1についての質問
 質問1 法科大学院生の多様化と、規模の適正化・教育の質の向上は、どういう繋がりがあるのか。
 質問2 経済的負担の軽減は、何を原資にして行うのか。
 質問3 時間的負担の軽減というが、「法科大学院というプロセス」を通すことそれ自体が「法科大学院を中核とする法曹養成制度」の根幹的理念であるはずだが、その「プロセス」を減らすのは自己矛盾ではないか。
 
3 ②-2についての質問
 質問1 経済的な事情、というファクターは、法律のどこにも記載されていないが、どのような根拠に基づいてそのような規制ファクターを設けるのか。
 質問2 質問1と関連するが、この場合の「経済的事情」というのは、志願者本人の事情か。それとも、家族全体の事情を勘案するのか。もし後者であるとするならば、個人の尊厳・自由を旨とする個人主義・自由主義という日本国憲法の理念に、自分ではコントロール出来ない「家族」の要素を組み込むことになるが、それは左記憲法の理念に悖るのではないか。
 
4 ③について
 質問1 「給付型の経済的支援」の具体的内容は。
 質問2 「給付型の経済的支援」が実現することにより、どの程度「経済的事情によって法曹への道を断念する者」が「生じることなく」なると見積もっているのか。それはどういう調査に基づいて資料をつくっているのか。もしかして根拠はなく適当に言っているのか。
KBCの朝の情報番組「アサデス」に、収録にて出演させていただきました。
出演日は3月3日・4日でした。

当事務所にお越しいただき、事務所の会議室で打ち合わせ・収録ということになりました。
事務所にテレビカメラが入るのは初めてですが、意外と物々しくなく収録と相成りました。

テーマは
3日→セクハラ
4日→ITトラブル(主にプライバシー問題)
でした。

いずれも、基準の取り方が難しいテーマでしたが、実際に番組を拝見すると、うまくまとめられているなーと思いました。

セクハラとひとくちにいっても、その概念は広く、ともすれば「セクシャル」ではない「ハラスメント」に話が広がりがちですが、そうなると判断基準がますます曖昧模糊としてくるので、あくまでも「セクシャル」なものに限定する、ということでコメントをさせていただきました。

セクハラには、環境型・対価型といった類型があるにはあるのですが、実際問題としては、一つの言葉のやりとりが「セクハラ」として認定されるということよりも、
①シチュエーション・
②回数・
③内容が総合的に勘案されるものです。
ただ、入り口として、「相手方が嫌がっている」というのは、「事件になるかならないか」の端緒の問題として、そもそも嫌がっていなければ事件として発展しない(法律的に考えれば「合意」なり「許容」がある)というものでもあるので、これが混乱を招くのかもしれません。

また、ITトラブルにおけるプライバシー問題については、スマホののぞき見というのがテーマでした。のぞき見それ自体が何らかの法律問題に発展することはほぼない(プライバシー侵害にはなるだろうが、損害を観念しづらいという点で、法的紛争に昇華しづらい)と思われるところ、
①侵害されたプライバシーの中身(程度)・
②侵害の方法・態様
③対立利益(何らかの必要があって見たとか)
が総合的に勘案されているように思います。その中で②が重要なのかなと個人的には考えています(学術的な分け方ではなく、自分の中での感覚的なものです)。

テレビの限られた尺の中ですから、法律家が好きなメルクマール(判断基準)の話を細かくするよりは、ズバっとポイントを提示する、というスタイルが、見ている側からはわかりやすい、ということを意識しながら、こうした判断基準の話も意識してもらうように心がけたつもりです。

もともと、弁護士になった動機が、
「人にわかりやすく考えやアイデアを伝え、それを役立ててもらうこと」への渇望
なので、テレビ番組への出演は、そのためのいいチャンスですし、また、「わかりやすさ」を追求しようとするスタッフの方との議論は、いろいろと普段の業務にも役立つものだと思います。

なので、またこういう機会をいただければ、積極的にチャレンジしたいと思います。

ヤフオクドーム(福岡ドーム)のスーパーボックスにお誘いいただきました。

スーパーボックスというのは、ヤフオクドームの上の方にあるこういう席です。
http://www.softbankhawks.co.jp/stadium/superbox/room.php
 

↑ちょっと暗いですが、専用エントランス。入り口、そしてスーパーボックスのある階に受付のおねえさんがそれぞれいます

 ←廊下。ホテルのようです

スーパーボックスは2回目なのですが、非常にいい気分です。
なにしろ、お部屋には食べ物がバイキング形式で置かれていて、食べ放題!
(個別注文もできます)
応援グッズの販売ワゴンがやってくる。

ホークスファン歴30年を突破しました。
30年前は、おんぼろかつガラガラで、競馬のお客が間違ってやってくるような、そんな大阪球場で、しかも外野席専門で、内野なんて、高くて入れなかったものです。
もっとも、内野席も、すり鉢状の急勾配で、よく酔っ払いのオッチャンが転げたりして・・・夏は汗だく。

そんな大阪球場とは別世界の、このスーパーボックス。
30年前、大阪球場の外野席で応援していたときには、野球をこんなところで見るなんて、想像もできませんでした。

でも、あのおんぼろの大阪球場も、もう無くなっちゃいましたけど、なんば周辺を歩いたり、高速道路を通ったりすると、まだまだ大阪球場があった当時の痕跡は沢山残っています。
今の「難波中」交差点は、昔は「大阪球場前」という交差点でした。ここに、北(御堂筋方向)に向かって立つと、大阪球場があったときとほとんど同じなのです。
だから、球場だけが無くなってしまったことが、不思議に、かつ、懐かしく、感じられるのです。

そんなことを思いながら、不思議な気持ちで、かつ、快適な環境で、野球を見ていました。

昨日は体調がイマイチだったため、「憂国のラスプーチン」を読了。

佐藤優さんはスゴイです。
別に著書を読んだことがあって、同じ感想を抱いたけど、もうスゴイとしかいいようがないです。
その観察力や洞察の深さは尊敬レベル。

ところで、「憂国のラスプーチン」。
何度か泣きそうになりました。
都築峰男(=鈴木宗男)との信頼関係、そして筋を通す姿勢。カッコ良かったです。
捜査担当検事の人間性にもカッコよさを感じました。

自分は、北方領土問題にはもともと関心が高く、先日読んだ桜木紫乃の「霧~ウラル~」にも領土問題を伺わせる記載があって、道東の人にとって、北方領土問題は、内地にいる私達にはうかがい知れないほどの重大かつ切実な問題であることがよくわかるのですが、「憂国のラスプーチン」では、その内幕がよくわかりました。

また、検察(特捜)の捜査手法(ストーリー当てはめ、証人威迫)や、裁判所の証拠採用に関する不公正さなど、日本の刑事司法制度の闇が、わかりやすく、かつ、克明に描かれている点もも感嘆しました(同様の感想を抱いた作品として、由良秀之著「司法記者」が思い当たる)。
主人公の憂木衛(=佐藤優)が「アムネスティ・インターナショナルに言ってやろうか」というセリフがありますが、そうしてほしいなと思いました。

弁護士というか法律家として感じ入る点も多い作品だなと思いました。
やっぱり理不尽に対しては戦わないとダメだなと。

日弁連Newsという、全会員向けのFAXニュースがときどききます。
最近は、来る3月11日の臨時総会で執行部案を是とすることを前提とした内容のFAXが多い印象ですが、昨日きたFAXの中に、こういうくだりがありました。

日弁連は、司法試験合格者数を、本音では、増加させたいのだろうというのが私の見立てです。
そして、私は、合格者数が増えようがどうしようが、どうだっていいというスタンスでした。
しかし、FAXの下記の部分を見て、考えが変わりました。

司法試験合格者数は、減らすのが合理的だと思います。


理由を以下に述べます。

弁護士は、以下の様な養成プロセスを経て弁護士資格を獲得します。

つまり、弁護士になるまでには、その養成課程に、多大な国費が費やされています(国費の支払先が、修習生の給費(研修所運営コストの部分)か、法科大学院への補助金かの違いこそあれ)。

つまり、この国費を、いかに活かすか、という政策的な要求がそこには生まれます。
意味のないことに国費を費やす必要はないからです。納税者の立場としてはそれは強く思います。

そうすると、上記の表を御覧頂いたらわかるように、弁護士には、
「弁護士がこれらのプロセスを活かせる仕事」
に注力させるのが、もっとも合理的であり、かつ、政策的な要求にも合致するはずです。

一方で、上記FAXの引用部分にある、もしくはそれと関連して日弁連が「拡大」を高らかに謳っている「新しい分野」と
1 インハウスローヤー
2 任期付公務員
3 行政連携活動
4 国際法律業務
5 法律扶助(アウトリーチなどが盛んに挙げられている)

です。
しかしながら、これらのなかには、需要者側が「弁護士資格を持っている人」という要件を定めていることが多いものの、かならずしも「弁護士登録」を要求していないものも含まれています。

これがミソです。

たとえば、「新しい分野」のうち3・4・5(のうち、アウトリーチ)については、「弁護士登録」つまり「ホンモノの登録弁護士」であることは、必ずしも要求されていません。
ということになります。
つまり、これら日弁連が高らかに「新しい分野」と謳っているプラクティス分野のうち3・4・5(のうち、アウトリーチ)は、上記図表にいうところの

「弁護士がこれらのプロセスを活かせる仕事」

に該当しません。言い換えれば、弁護士であることを要求されない仕事であり、もっというと

これらの仕事に弁護士なんて必須ではない


のです。

一方で、インハウスローヤーについては、その業務内容が多岐にわたることから、一概にどうかということは言えないと思います。
ただ、「インハウスに需要があるか」といわれると、確かにあるのですが、この10年で1500人しか聞かないことからそこまで需要があるのか、という疑問、そして、また、インハウス弁護士登録を必要とするのか、という点については疑問が残ります。

司法試験合格者数を無目的に増やしすぎても、結局、こうした弁護士であることを要求されない仕事、弁護士が必須でない仕事に流れるのであれば、何のために税金を突っ込んでいるのかわからず、税金の無駄遣いでしかありません。
高尚な言い方をすれば、「国民の付託」を守っていないこといえます。
もっ といえば、国民は法曹となるために税金を投入することを容認しているのに、そのために使わず、「目的外使用」をしていることになります。

言い換えれば、上記FAXに記載のプラクティス分野をもって「新しい分野」 などと称する日弁連の態度は、税金の「目的外使用」の助長であり、「国民の付託」を裏切る行為である、と考えます。

それなら、合格者数を抑制したうえで、厳選された「弁護士」を「弁護士がこれらのプロセスを活かせる仕事」に集中させるようにしたほうが、理に適っている(国民の付託にも適っている)のではないか、と思うのです。

そのような観点から、日弁連が提唱する「新しい分野」 が上記のようなものであるかぎり、司法試験合格者数は増やす必要がないし、弁護士を増やす必要はない、という結論に落ち着くものと考えられます。