講倫館高校における主権者教育に行ってまいりました | 向原総合法律事務所/福岡の家電弁護士のブログ

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福岡県立講倫館高校における主権者教育をテーマとした授業に、参加してきました。そのレポートを簡単にさせていただきます。

今回の授業のコンセプトは、私の理解するところによると
・18歳選挙制を前に、主権者教育の充実を図ること
・従来の弁護士会による法教育は、議論形式の授業が中心であるところ、それに加えて、「議論の結果を踏まえて、実際の選挙(投票行動)を体験してもらう」という、体験型であること
・学校・選挙管理委員会・弁護士会がコラボして行うこと
にあり、最終的には、生徒さんに
・政策についてどのように考え、議論をすればよいか(相手の話をよく聞く、とか)
・選挙というものが実際どういうものなのか
を学んでもらおう、というものです。

弁護士側からは、福岡県弁護士会における法教育のエース級ばかりがそろいました。法教育委員会の春田久美子委員長を筆頭に、甲木真哉弁護士・末廣清二弁護士です。
私などは、その末席の中の末席を汚す形でお誘いいただきました。

さて、実際の授業です。
選挙管理委員会のスタッフ立ち合いのもと、本物の投票用紙・投票箱等を使って、投票を
体験してもらうのですが、その前に、何を投票するのか、というところ で

「救急車の有料化の賛否」を争点にした選挙戦

を行います。そして、
A候補・・・有料化する
B候補・・・有料化反対
という、2候補が出馬した、という設定です。

そして、有料化の是非を、グループで討論してもらい、その結果を陳述してもらい、生徒さん全員に、班分けして討論してもらい、班ごとの結論を発表してもらいます。

それらの意見を、A候補に扮する人・B候補に扮する人がとりまとめ、「選挙演説」という形式でスピーチをします。

生徒は、そのスピーチを聞いたうえで、有料化賛成のA候補、もしくは反対のB候補への投票を行います。

今回は、この、A候補に、私が扮しました。
B候補には、末廣先生が扮しました。

授業は、全校生徒(といってももう3年生が卒業しているので、1・2年生全員)が講堂に集まって行われました。その数約600人。
生徒さんの中で、賛成・反対の理由を考える人たちは、1週間前から準備をされていたそうです。非常に真摯に取り組んでおられたし、また、かなり説得力のある理由づけを出されていたと思います。真剣そのものでした。

それをその場で組み立てて「選挙演説」をするのが自分のミッションだったのですが、救急車の有料化の是非について、生徒さんたちから出てくる理由づけを聴き取っていると、積極的な理由と、反対意見に対する反駁にあたる理由が出てくるので、これをまとめる作業が、訴訟の証拠調べや、刑事裁判 における弁論と似ているなと思い、普段の業務にも通じるものがあって、おもしろかったです。

生徒さんは真剣そのものでした。
「A候補」の自分としては、重要な理由づけや反駁はほぼ拾ったと思ったのですが、「選挙演説」を、もっと激しくしてもよかったのかもしれないなと思いました(選挙としては敗けたので、生徒さんたちには申し訳ない・・・)。

また、600人もの前でしゃべる機会(それも演説)は珍しいので、少し緊張しました。

最後に、各弁護士から(私も含め)講評が行われました。
私からは、
1 選挙とは、税金の使い道を決めるためにある。学生にとってのテストと一緒。監視を働かせるためのものだから大切。選挙結果により税金の使われ方は決まる。税金を有効に使ってもらうためにも、しっかりと選挙にいくべき。
2 人に言われたから投票するのではなく、自分が集めた情報で、自分の頭で考えて投票することが大切であること。
を、メッセージとして伝えさせていただきました。

さいごに

主権者教育を、弁護士会とコラボする取り組みは、おそらく全国初であり、朝日新聞本社も取材に来られていました。少し先になるでしょうが掲載されると思います。

今後、主権者教育にも、様々な形の方式が現れると思いますが、今回の経験は今後の主権者教育にかなり応用できるものと思われます。