法科大学院協会理事長が給費制維持に反対。法科大学院協会ってなんだろう? | 向原総合法律事務所/福岡の家電弁護士のブログ

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これは、法科大学院協会理事長名で書かれた論稿です。

「修習生の給与 給費制維持は改革に逆行」(2010年10月15日付朝日新聞朝刊)
著者は、あの青山善充教授です。
要約しますと(青字が要約部分)
・司法修習生への貸与制への移行は、法科大学院創設や合格者3千人に増加させることと一体で決まった。
・厳しい財政状況下で給費制維持すれば、法曹人口増加にブレーキがかかりかねない。
この時点で、青山教授は、法曹人口増加を是とする意見であることがわかります。
さらに要約。

多くの弁護士が旧来の業務と執務体制に固執している
・弁護士がいない市町村はまだ多い
・行政や自治体、企業への職域拡大は進まず、国際的交渉を支える法律家も不足している。
佐藤幸治教授のコピペですね。まるっきり。しかも具体的方策を示さないところまで一緒。

・弁護士過疎地域で働いたり、国選弁護・付添人活動に従事した弁護士について貸与金の返還免除を認めるとか、民事法律扶助の増額を図るとか、国民が必要とするサービスを提供することを前提に行われるべきである
・給費制に要する予算は100億円、民事扶助予算は要約200億円程度。
※は間違いです。誤導です。間違ったところまでコピペしてどーすんの(笑)

・国民の理解が得られるか大いに疑問
では法科大学院制度も、国民に信を問うてみたいところですね。多分、カネだけ取られて、役立つ教育をしていない実態が国民の知るところになったら、法科大学院の存在自体、国民の理解を得られるか大いに疑問です。

・一連の司法改革は、
国民のための司法の実現を目指し、時間をかけ、全体を見渡した制度設計に従って行われてきた。

言葉はキレイなんですけどね。美辞麗句っていうんでしょうかね。でも、時間をかけた成果が
①大量の三振者(しかも借金あり)
②大量の借金漬けの修習生
③就職難・仕事がなくて困っている弁護士
④誰の利益にもなっていないどころか労力だけ増やされ、刑事訴訟法の諸原則をねじ曲げて被告人にとっても有益かわからない裁判員制度
⑤それでいて犯罪被害者法制は手付かずに等しい(ガス抜き的被害者参加制度のみ)
というのは、なんだかなーという感じがします。

しかもコピペだし。笑。
コピペキャンペーンでもやってんですかね。

日本最高峰の民事訴訟法学者と思われる青山教授のご論稿にしては、どこかからのコピペにしか見えず、また、美辞麗句は並んでいるものの、具体性がない話だらけです。
学者様は美辞麗句を並べてれば仕事になるのかもしれませんが、世の中は生きているので、それでは不十分だと思うのですが。

あと、重視しなければならないのは、この論稿を、「法科大学院協会理事長」名で出していることです。

法科大学院によっては、合格者減につながりかねない給費制維持に反対、と明言するところもあれば、給費制維持に賛成するところもあります。
しかし、法科大学院協会理事長名で給費制維持反対の論稿を出すということは、法科大学院全体としては給費制維持に反対ということでしょうか。

そうしたら、こうしたらどうかと思います。
いま、弁護士が法科大学院に教えに行く時は、手弁当でやっている場合が多いです(とくに課外授業はそれが顕著)。
多忙な弁護士が、安いギャラ(失礼)にもかかわらず法科大学院に教えに行くのは(弁護士がもともと教え好きなタイプの人種だからかもしれませんが)、後輩に対する責任感のようなものです。

しかし、弁護士だって生活しなければならないのです。
法科大学院「協会理事長」が、このような論稿を出して、法曹人口を増やせ(同時にこれは弁護士間での自由競争を是とする考え方)とおっしゃるのであれば、

法科大学院に手弁当で協力する暇があるなら、仕事に勤しみたいので、あるいは顧客の新規開拓をしたいので、悪いけれど、法科大学院に協力する暇はございません。

ということでいいんでしょうね。きっと。
その結果、法科大学院には、実務家教員がますます寄り付かなくなって※、学者天国になるかもしれませんね。
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※当弁護士会から、ある先生が法科大学院へ派遣教員として、創設時から教えに行かれていたものの、
交代されるとのことで、後釜の先生をさがそうとしていたものの、引受け手の先生を見つけるのに相当難
航したようです。難航したのには様々な原因がありますが、ひとつには、弁護士教員に求められていたの
は実務面の教育なのに、本来は学者がやるべき理論面の教育までやらざるを得ない状況になっていた
ことがあるようです。
そのうえでギャラが出ない、ということになれば、それはよほどの使命感がなければ、仕事を止めてまで
法科大学院に教えに行こうなどと思えないはずです。
私は、誠に僭越ながら、法科大学院創設以来、ずっと教えに行かれていたその先生の使命感を、心から
尊敬しております。本当にお疲れ様でした。