TSUNAMI 10 アジア仕入れの旅
広大なメコン川の上、ポツンと取り残された俺達。
30分経ってもいっこうにエンジンはかかる気配はない。
その日は、吹く風も全くと言って良いほどなく、ジリジリとまるで遠赤外線で焼かれる鳥の丸焼きの様に自分達が思えて来た。幸いヘルメットで直射日光を避けられてはいたが、少しするとそれもパーマ屋にある、
あのパーマをかける時に被る機械の様に、頭の中がムシムシし出した。
やばい....暑すぎる....
その時、いきなり運転手が何かを叫びはじめた。次の瞬間、乗っていた全員が自分の手をオールの様に使いボートを漕ぎはじめ、川岸に寄せようとしている。
良く見ると、川岸には陸からはみ出た草木の茂みが少し出来ていて、そこにとりあえず無理やり潜り込む事ができた。顔や体に突き刺さってくる木の枝がかなりウザかったが、炎天下にさらされてるよりは全然ましだった。
とりあえずほっとする俺達。喉がカラカラだったが、この先いつ動くかわからなかったので、少しずつ水を飲む事にした。
すると、運転手が何やら持っていたナタを持ちだし、陸に一人で上がっていったと思うと、そこら辺のツルを採って戻って来た。
そして、そのツルをエンジン上部にクルクルクルっと巻きつけ始め、エンジンスターターを引っぱった次の瞬間、沈黙状態だったエンジンが、溜りに溜まったオナラが噴出するかの様に一気に噴き出した。
「うおーーーー!」
歓声が上がり、皆ハイタッチなどしながら喜び合った。
再度、時間を取り戻すかの様に勢い良く走り出すスピードボート。
俺は一安心し、カラカラの喉に残りの水を全て流し込んでしまった。
ほっとしたのもつかの間、今度は殺されそうな子豚の鳴き声の様な嫌な音が、エンジンから聞こえて来た。
「ブヒヒヒヒッーブヒヒヒヒッーブヒヒヒヒッー ボンッ」またエンジンは停止した....
皆、呆れかえっている。運転手もブツブツ言いながらかけ直すが、うんともすんともで
挙句の果てには、何を思ったか先程採って来たツルを川に投げ捨ててしまう始末。
周りを見渡すが、今度は岩場ばかりで日陰は見当たらず、俺達は水もなく炎天下の中エンジンが直るのをまつほか仕方なかった。![](https://img-proxy.blog-video.jp/images?url=http%3A%2F%2Fimg04.ti-da.net%2Fusr%2Ftsunami%2F2010_0610_135755-IMGP1992.JPG)
それから、一時間はたっただろうか?今にも死にかけのロバの様な顔になっている隣の坊さん。皆、とっくに水を飲み干してしまっている。誰も助けに来ず、まるでサハラ砂漠で遭難している気分になってきた。
メコン川の水はどんよりと茶色に濁っていて、しかも川上は中国だ。何を流しているのかわかったもんじゃないが、喉の渇きには勝てず、手ですくい唇を濡らすと少しだけ落ち着いてくる。飲みこむのは最後の手段にとっておいた。このままだと本当にやばい事になりそうだ。肩で息を切りながら最悪の事を考え始めた。
さらに時間が経過し、事もあろうに運転手が修理をなげだした時だった。川上から一台のボートがやって来るではあーりませんか!?
すぐさま皆で腕を大きく振り回し、そのボートを呼び込んだ。
どうやら漁民のようだ。
運転手が交渉し、ここからすぐ近くのパークウーの洞窟という古い寺院まで引っぱって行ってくれる事に。
そこまで行けば修理に必要な工具があるかも知れないという話だ。
正に天の助け!とにかく水が飲みたい!![](https://img-proxy.blog-video.jp/images?url=http%3A%2F%2Fimg04.ti-da.net%2Fusr%2Ftsunami%2F2010_0610_112756-IMGP1988.JPG)
30分経ってもいっこうにエンジンはかかる気配はない。
その日は、吹く風も全くと言って良いほどなく、ジリジリとまるで遠赤外線で焼かれる鳥の丸焼きの様に自分達が思えて来た。幸いヘルメットで直射日光を避けられてはいたが、少しするとそれもパーマ屋にある、
あのパーマをかける時に被る機械の様に、頭の中がムシムシし出した。
やばい....暑すぎる....
その時、いきなり運転手が何かを叫びはじめた。次の瞬間、乗っていた全員が自分の手をオールの様に使いボートを漕ぎはじめ、川岸に寄せようとしている。
良く見ると、川岸には陸からはみ出た草木の茂みが少し出来ていて、そこにとりあえず無理やり潜り込む事ができた。顔や体に突き刺さってくる木の枝がかなりウザかったが、炎天下にさらされてるよりは全然ましだった。
とりあえずほっとする俺達。喉がカラカラだったが、この先いつ動くかわからなかったので、少しずつ水を飲む事にした。
すると、運転手が何やら持っていたナタを持ちだし、陸に一人で上がっていったと思うと、そこら辺のツルを採って戻って来た。
そして、そのツルをエンジン上部にクルクルクルっと巻きつけ始め、エンジンスターターを引っぱった次の瞬間、沈黙状態だったエンジンが、溜りに溜まったオナラが噴出するかの様に一気に噴き出した。
「うおーーーー!」
歓声が上がり、皆ハイタッチなどしながら喜び合った。
再度、時間を取り戻すかの様に勢い良く走り出すスピードボート。
俺は一安心し、カラカラの喉に残りの水を全て流し込んでしまった。
ほっとしたのもつかの間、今度は殺されそうな子豚の鳴き声の様な嫌な音が、エンジンから聞こえて来た。
「ブヒヒヒヒッーブヒヒヒヒッーブヒヒヒヒッー ボンッ」またエンジンは停止した....
皆、呆れかえっている。運転手もブツブツ言いながらかけ直すが、うんともすんともで
挙句の果てには、何を思ったか先程採って来たツルを川に投げ捨ててしまう始末。
周りを見渡すが、今度は岩場ばかりで日陰は見当たらず、俺達は水もなく炎天下の中エンジンが直るのをまつほか仕方なかった。
それから、一時間はたっただろうか?今にも死にかけのロバの様な顔になっている隣の坊さん。皆、とっくに水を飲み干してしまっている。誰も助けに来ず、まるでサハラ砂漠で遭難している気分になってきた。
メコン川の水はどんよりと茶色に濁っていて、しかも川上は中国だ。何を流しているのかわかったもんじゃないが、喉の渇きには勝てず、手ですくい唇を濡らすと少しだけ落ち着いてくる。飲みこむのは最後の手段にとっておいた。このままだと本当にやばい事になりそうだ。肩で息を切りながら最悪の事を考え始めた。
さらに時間が経過し、事もあろうに運転手が修理をなげだした時だった。川上から一台のボートがやって来るではあーりませんか!?
すぐさま皆で腕を大きく振り回し、そのボートを呼び込んだ。
どうやら漁民のようだ。
運転手が交渉し、ここからすぐ近くのパークウーの洞窟という古い寺院まで引っぱって行ってくれる事に。
そこまで行けば修理に必要な工具があるかも知れないという話だ。
正に天の助け!とにかく水が飲みたい!