TSUNAMI 10 アジア仕入れの旅 | 少数民族 エスニックの店 TSUNAMI日記 

TSUNAMI 10 アジア仕入れの旅

バンコク最大のマーケット、チャクトゥチャッマーケットはデモの影響か、いつもより人が少なく感じた。ま、その方が俺的には仕事がしやすいが、迷路の様な狭いソイ(路地)の中に入ると蒸し風呂状態で、全身から水分がみるみるうちに外へ放出され、脳みそがダリの絵の様にタラ~ンと垂れ下がり、思考が停止してしまいがちになってくる。

さらに、その狭いソイに果物の屋台や大きな籠を担いだソムタム(パパイヤサラダ)売りのおばちゃん達、
ボロ雑巾の様な両足の無い、ほふく前進をしている物乞い等が行く手を阻み、なかなか思うように前に進めず、今にも泣きだすといきなり強くなる小学生の様に発狂しそうになる。

どこからともなく、魚市場の競りの様なかん高い声が聞こえてきた。なんだか気になり、声のする方へ近づいて行ってみると、かなり香ばしいおじさんが拡声器でけだるそ~に何かをタイ語で叫んでいた。


俺はその人を見た瞬間かなりの衝撃を受けた。少し離れた所からしばらく様子を眺めていたが、惑星に隕石が落ちて出来たクレーターの様に、おじさんを中心に人の輪が出来上がっている。おじさんはこの店舗の店主らしいが、見事に商品よりも目立ってしまっていて、誰も寄りつこうとしていない。

俺はどうしても気になり、話しかけてみる事にした。

挨拶をしても返事は返ってくるが、目がこっちを向いていない。困惑していると、近くにいた悪人面の男(俺もだが)が寄って来て「彼はまったく目が見えないんだ」と教えてくれた。

「え?じゃあ 誰がこの刺青や髪の毛を立ててんの?」

悪人面は、得意げに親指を自分の胸に押し当て「自分だ!」と言っている。

おじさんは、自分のこの姿を見た事がないらしい.... 全てこの悪人面がコーディネートをしているみたいだが、悪人面の言う事には、彼はバンコクでは有名な伝説のパンクロッカーだと言っていた。何が伝説かは知らないが、どこかで聞いた事があった。カオサンの盲目のPUNKS.....

それを聞いて俺は何故かほっとした。

俺はてっきりこの悪人面がそこら辺のおっさんを連れて来て、見世物にしてるんじゃないかと一瞬疑ってしまったからだ。

しばらくこのおじさんと話をしたが、まるでピッコロ星の最長老様のように物腰が柔らかく、人格者で皆に愛されてるのがわかった。

そして、この先にハードコアの店ができたと最長老様に教えてもらったので、早速行ってみる事に。

その店に辿り着くと、店主は前々からちょくちょく顔を会わしている奴だった。彼の名前はクロコダイル。
THE ALLDITYという、バンコクハードコアパンクのボーカリストだ。


こんなTシャツまで。多分オフィシャルです。


10年位前まで、バンコクでPUNKSを見かけることはほとんど無かった。
今やバンコク内にはすでに20~30のPUNKBANDがあるらしい。クロコダイル達といつか近い将来、バンコクでLIVEをやろうと、指が引きちぎれる位かたい握手を交わした。この瞬間、俺達の間には国籍なんぞ関係なかった。あえて言うならばPUNK族だ! Punk Tribeだー!ぶんちゃーん!!