TSUNAMI 10 アジア仕入れの旅 | 少数民族 エスニックの店 TSUNAMI日記 

TSUNAMI 10 アジア仕入れの旅

6月4日

 翌日目を覚ますと、またもや「あれ?ここどこだ?」ってな具合で、昨夜もいつ寝たのかも覚えていない。どうしちまったんだろう?俺の脳みそは。

コーヒーを煎れ、朝一の煙草を吸いながらしばらく考えた後、ちょっと心配になり九九を一の段から九の段まで目を閉じながら声を出して言ってみた。

八の段が微妙だが、なんとかクリアーしているだろう....

と、その時、後ろで気配が感じたので振り返ると、ブンが神妙な面持ちでそこに立っていた。

「今のは何なんだ?日本のお経か?」

俺は、英語でどう説明していいか判らず、面倒臭かったので

「イエス!ジャパニーズブッティストは、毎日欠かさずこれを唱えるんだ!」と、言ってみた所

へぇ~~!と、2年間出家経験のあるブンは、興味深そうに俺の話を真に受けてしまっている。

冗談のつもりだったが、また俺は罪を一つ増やしてしまった。ごめんちゃい。


 さて、今日から本格的に仕入れを始めなくてはならない。
いつも仕入れ先にはバスやタクシーを使い、約1時間掛けて向かっていたが、渋滞にハマると厄介なので、たまにはちょっと違うルートで行ってみる事にした。

バンコクの交通手段は驚くほど沢山の種類があり、それを色々組み合わせる事で、時間を大幅に短縮できるという事に今さら気付いた。まずは船とBTS(モノレール)を使ってみる事に。

宿から船着き場まで歩いて5分。そこから小汚い川を10分間船に揺られ、MBK近くの船着き場でBTSに乗り換えて、目的の駅まで約10分。全部で30分かからず到着してしまった。自分的には新たな発見だったが、今までの時間を返して欲しかった。バンコクに!まだまだ奥が深いな~

もう一つ新たな発見があった。
駅から目的地まで見知らぬ道を歩いていると、いつの間にか骨董品が並んでいる地区に入っていた。ブッタの置物や古いドアノブ。誰が買うんだ?錆びついたアイロン&レンズの無いカメラ。等が所狭しと並んでいる。そして、突然俺の目に飛び込んで来た物に、俺の足はぴたりと止まってしまった。




何故?こんな物がこんな所にあるんだ?最初は信じられなかったが、鞘から刀を抜くと更に刻印が。俺は鳥肌が立った!


昭和15年と刻印されてる。偽物だとしても、タイ人が天皇という漢字を読めると思えないし、意味も知らないと思われ、わざわざ偽物を作ってそれを売るとも考えにくい。もし、日本人観光客に売りつけるつもりならば、こんな観光地でもない場所に置いとく訳がない。

店のおやじに訊いてみた所、おやじの知人が借金の返済に困り、これを持って来たと言っていた。値段を尋ねると2本で10000バーツだが、8000バーツ(22400円)でいいと言っている。正直言ってかなり欲しい!!これは大戦中旧日本軍が、大陸へ進出した時において行った物に違いない。しかし、いきなりこんなの買ってしまったら、かーちゃんにこっぴどく怒られる事間違いなし!!

仕方なしに諦める事にしたが、その二本の刀が「日本に帰らせてくれ!」と言っている様で、後ろ髪を引かれながら俺はその場を後にした。どなたか余裕ある方、日本の魂を連れ戻す気はありませんか?