映画「ミナリ」記憶に残るセリフ「할머니,한국냄새가 나」〜「韓国の匂いがする」 | ヨンさまブログ

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とある焼肉屋のおやじです。

デイビッド

「한국냄새가 나」

(韓国の匂いがする)


ハルモニ

「넌 한국에 가본적도 없어」

(おまえは韓国に行った事ないだろうに(行ったこともないのに匂いがわかるのか?))


デイビッド

「할머니한테 한국냄새가 나」 

(おばちゃんから韓国の匂いがするんだってば)


孫のデイビッドとハルモニのセリフ。


夏休みになると毎年千葉の市原市から世田谷の下北沢で焼肉屋をしていたハンメの家に送られて同じ事を感じた、

食事はいつも店でキムチ(キムチは辛いから水で洗って食べる)とかナムルとかワカメスープ、ホルモン、たまにカルビ、今考えたら大御馳走だけど、当時デイビッドくらいの歳の私はやはり母親(在日2世)が作るハンバーグやオムライス、ナポリタンが良かった。


あまりにハンバーグがいいっていうもんだから、ハンメが孫のために一度、人から作り方を聞いて慣れないハンバーグを作ってくれた、おいしいと言ったら大喜びで、次の日の冷蔵庫の中は仕込まれたハンバーグで溢れていた。



初級部6年生の時、父親が韓国ソウルから来た女性と再婚した。

韓国には行ったことがなかったけど家の中が本当に70年代のライブ韓国の香りになった、食事は全て韓国料理、チャンジャとかムッとか、ヤンニョムとかタデギとか、それまでの在日文化とはまた違ったリアル韓国、レコードもナ・フナとかトロット(演歌っぽいの)が多くなり、南の文化勢力が勢いを増し、北の朝鮮レコード社のレコード達は端に追いやられてしまった。

새어머니はいい人だったけど日本語がほぼわからなかった、韓国の匂いしかしなかった、その雰囲気に馴染めず、学校の寮に入った。

映画「ミナリ」を観て思い出さずに入られない後悔。今だったらもっとうまく모셨는데、、、


チョソンサラム(朝鮮人)として生まれてコンプレックスは全くなかったけどコテコテの1世チョソンサラムでは無く、日本人にバカにされない洗練されたチョソンサラムになれ!みたいな、これも一種の偏見であり差別なのだが、今でも私自身の心の片隅にまだ残っている、そんな事を映画「ミナリ」のこのセリフは私に想起させ、ハッとする。


うちの父親がよく言ったんだよね、

「ハンメを見なさい、字が読めないし文字もかけない、だからチョソンサラムはイルボンサラムにバカにされるんだ、だから勉強をしなさい」


右からハンメ、父親、外サンチュン、オモニ、私のトル(돐)の記念写真。わたし、めっちゃ可愛い!

1世のハンメと父親がよく歌っていた「오빠생각」(兄さんの想い)
妹に絹の靴をお土産で買って来るよと言って単身馬に乗ってソウルに行った兄がいつまで経っても帰って来ない、そんな優しかった兄を恋しがる妹の淋しい心境を歌にしている。

トゥンプッ トゥンプッ ツルクイナの鳴き声
ポックッ ポックッ カッコウの鳴き声
キロッ キロッ ガンの鳴き声
クィトゥル クィトゥル コオロギの鳴き声

単身日本に渡って2度と生まれ故郷に帰ることのなかった父親は飲むとこれを歌っていた、オッパと自分をオーバーラップさせていたのだろう。
 
ソウルに行ったオッパがなぜ帰ってこなかったのか?
いろんな説があるけれどこの歌が世に出たのが1925年、
オッパは抗日武装闘争に身を投げて帰って来なかったのだ、と言うのが私の父親の主張である。

네 여러분 즐거운 하루 되세요!

アンニョ〜ン!