WOWOWでイタリアの映画監督、ルキノ・ビスコンティの作品

「ルートヴィヒ」（復元完全版）２３７分を観た。

４時間という超大作なので、何日かに分けてと思ったが、観たら

その世界観に引込まれて４時間という時間などあっという間に

過ぎた感じだった。

『地獄に堕ちた勇者ども』『ベニスに死す』と並ぶ「ドイツ三部作」の最終作

バイエルン王ルートヴィヒ2世の即位から死までを史実に沿った形で描く

歴史大作。

中期以降のヴィスコンティ作品に見られる絢爛豪華な貴族趣味を極限まで

高めた作品である。

孤独を好むルートヴィヒ2世の理知と狂気、独善的な芸術家ワーグナーとの

不安定な繋がりや、従姉であるエリーザベトへの思慕やホモセクシュアルを

含めた耽美的な愛憎劇も織り込まれた非常に重厚な作品となっている。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Wikipediaより

Ludwig - TrailerIl capolavoro di Luchino Visconti finalmente disponibile in versione integrale!http://www.cghv.it/film-dvd/Ludwig/f36091

www.youtube.com

ルートヴィヒ役のヘルムート・バーガー、エリーザベト役のロミー・シュナイダー。

瞳の色が美しくて、それに目を奪われる。

ヘルムート・バーガー

深くて澄み渡る青色の眼。

美男子と評判だった本物のルートヴィヒ２世

完璧主義なビスコンティ監督とヘルムート・バーガーが創り上げた

「ルートヴィヒ」

ヘルムート・バーガー　28歳で演じた「ルートヴィヒ」

ビスコンティ監督　66歳の作品

ビスコンティ監督の恋人と言われたへルムート・バーガー。

彼が演じる「ルートヴィヒ」が全編通して美しく儚げで繊細

それを見ているだけでも退屈はしない。

ヘルムート・バーガーの魅力を知り尽くしている監督は

ルートヴィヒの悲哀に満ちた生涯を、ヘルムートの個性を

引き出しながら人物像を創り上げていく。

また、監督の期待に応えようとするヘルムート・バーガーの

演技も見事だ。

どのシーンも印象的で美しい。

また、出演者の人物描写が巧みで、その人柄が分かるような

演出がなされている。

ただ、ビスコンティ監督は長期撮影中、病に倒れ

必死のリハビリで奇蹟の復帰を遂げ、映画を完成させたという。

左半身の麻痺は残り、以後車椅子生活を余儀なくされた。

ビスコンティ監督とヘルムート・バーガーの出会いは

ビスコンティ監督58歳の時、映画撮影を見学に来ていた

20歳のヘルムート・バーガーが目に留まった。

寒かったので助監督にマフラーを持って行かせたという。

イタリア人らしい😁

その後、食事に誘い・・・ヘルムートは俳優の道を。

ビスコンティ監督は1976年69歳でこの世を去ります。

もっと、二人の共作が見たかったですね。

ロミー・シュナイダー

エリザベートをエリーザベトというのはドイツ語読みなのかな。

（映画はイタリア語だが、「エリーザベト」と呼んでいる。）

昭和34年（1959年）皇太子御成婚記念映画として

「プリンセス　シシー」が日本で封切られた。

私は家族と、この映画を観た。

同時期だったのか、少し後だったかは記憶に無い。

プリンセス　シシー役はロミー・シュナイダーだった。

愛らしくて、おてんばで、でも聡明なシシーが王子様と出会ってから

結婚するまでを描いた夢に溢れる映画だった。

幼い私の目に「プリンセス　シシー」はしっかり焼き付いた。

大人になってから、「プリンセス　シシー」とは誰のことだろうと調べた。

「シシー」はオーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ１世の

皇后エリザベートの愛称だった。

「プリンセス　シシー」は大衆向け娯楽映画の傾向が強く、大ヒットし

２部、３部と作られたが、日本で公開されたのは最初の１部だけだった。

ヨーロッパから遠く離れた日本の片隅にいた幼い私の記憶に

残るくらいだから、ヨーロッパの人達がエリザベートといえば

ロミー・シュナイダーを連想するのは当たり前かもしれない。

ルキノ・ビスコンティ監督がエリザベート役に彼女を選んだのも

自然なことと思われる。

「ルートヴィヒ」でのロミー・シュナイダーは目を見張る美しさだった。

「シシー」の頃の愛らしさを残しつつも、年齢を重ね、経験を重ね、

自由人であろうとしながらも思慮深く、ルートヴィヒを気遣う。

この映画はルートヴィヒが若くて美しい時代から、精神的に

追い詰められてボロボロになっていく中年までを描いているが

それを大袈裟に劇的なメリハリを付けて描いているわけではない。

だから、退屈してしまう人が出ることもわかる。

評価も別れるかもしれない。

４時間という上映時間が、配給会社のクレームで３時間に縮められた。

日本で初公開された1980年は「ルードウィヒ/神々の黄昏」となっていて

3時間のものだった。

ルートヴィヒが心酔したリヒャルト・ワーグナーの芸術家としての面よりも

傲慢とも思える素顔を見ることができたのは面白かった。

かなり前だが、ドイツのノイシュバンシュタイン城に行った時、

ルートヴィヒ２世とワーグナーのことをいろいろ聞かされたので

映画を観て、思い出した。

ルートヴィヒが建てた有名なノイシュバンシュタイン城

ノイシュバンシュタイン城の内部

ルートヴィヒが建てた3つの城のひとつ、リンダーホーフ城

リンダーホーフ城の中にあるヴィーナスの洞窟

白鳥を泳がせて船で遊ぶ場面が映画の中にある。

実際の城を舞台に撮影していると思われる場面も多いし、出演者の衣装や

装飾品も豪華で、美術服飾に関しては圧倒的だ。

まだヨーロッパが活気があって華やかだった時代の制作（1972年）。

ビスコンティ監督も貴族出身なので、貴族社会のことがよく分かって

制作しているのがわかる。

今となっては、こんな豪華な総合芸術としての映画は作れないだろうと

思った。

「永楽帝」を観ていると、やはり衣装や装飾品が豪華で中国の勢いと

いうものを感じてしまう。

中国ドラマの美術が年々、豪華になり、細かいところまで丁寧に

作られているのがわかる。

お金をかける余裕があるのだ。

1970年代まではヨーロッパでもいろいろ後世に残る名作というものが

作られていた。

それが、だんだんアメリカ中心になり、フランス映画もイタリア映画も

パッとしなくなった。

以前は中国映画と言えば、香港映画だったが、最近は中国本土で

制作された映画が世界各地で上映されるようになった。

興行収入世界一は何と中国映画だとか。

但し、この映画は中国国内での興行収入で、世界各地で公開されている

わけでもなく、中国国内で世界中の映画が自由に見られるわけでもない。

それでも、中国映画の良さも理解され始めて、世界に広がっていくことと

思うし、各国の映画が中国国内で自由に見られる日がくることを

願っている。

米国を抜いて世界一に！？　映画が映す中国の成長と矛盾アニメ映画「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」の興業収入が11月8日までに200億円を突破し、コロナ禍によって大打撃を受けた映画業界にとって久しぶりにいいニュースになっている。「鬼滅」は現時点で2020年興収世界ランキングの10位以内に入っている。だがその1位が誰もが知るハリウッド作品ではなく中国映画だということはほとんどの方がご存じないのではないだろうか。

business.nikkei.com

最近はインド映画も人気で、ハマる人が多いという。

人口で中国を抜くといわれるインド。

中国映画が世界を席巻する日が来ると思うが、その次はインドか。

インド映画の「RRR」が評判らしい。

インドの大作映画「RRR」、欧米で大ヒット　日本でもロングラン - BBCニュースアクションとファンタジー、歴史と人間ドラマを織り合わせて友情物語を描いたインドの大作映画「RRR」が、インドだけでなく欧米や日本で大ヒットとなり、批評家からも高い評価を得ている。

www.bbc.com

人口減の中国から、人口が増え続け、勢いを増すインドが

映画の世界でも、幅を利かす時代が来るかもしれない。

中国の田舎に行くと、お年寄りばかりが目立つが、インドはどこへ

行っても若者だらけ。

若い人が多いと、活気がある。

まだまだ、貧困が多いけど、中間層が増えたら、インドは凄いことに

なると、彼の地を訪ねたとき、そう思った。

「ルートヴィヒ」を途中まで書いているときに、ブロ友さんのブログを

見たら、なんと「エリザベート」が！！！

「ルートヴィヒ」も観ようと思っていたわけではなくて

WOWOWで映画を観ようと思って、検索したら、出てきたので

観たら、心に残ったので書きました。

エリザベート役が「プリンセス　シシー」で印象深いロミー・シュナイダー

だったから、そのことも書いた。

全くの偶然。

（2月9日にWOWOWシネマ

午前2時45分から「ルートヴィヒ」放送されます）

最後にイボ君の「無名」

心に残ったシーンを。

このブログは独断と偏見、妄想で出来ております。

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映画「ルートヴィヒ」