ついに、山田太一も逝ってしまった。
むかしテレビで放送していた「木下惠介劇場」の頃から、「脚本/山田太一」というクレジットは、よく目にしていた。
脚本家として独立してからは、山田太一脚本の殆どのドラマは観てきた。
岸辺のアルバム
それぞれの秋
早春スケッチブック
ふぞろいの林檎たち
どれにも山田太一節(ぶし)とでもいうような、キャラクターたちの「ものの言いかた」に、なんとも言えない特徴があって、それが、ある意味「しつこさ」でもあるが、「隙のない周到さ」でもあり、俺は個人的には山田節は好きだった。
ストーリーを追うというより、敢えてひとことで言っちゃうと、台詞の掛け合いを聞いて楽しむ「対話型ドラマ」のカタチだったと思う。
有名な名作・ヒット作もたくさんあるが、
俺が敢えて1作を選ぶとすれば「高原へいらっしゃい」。
登場人物全員が、それぞれ、何らかの失敗や挫折を経てきた問題児で、彼らが八ヶ岳高原にポツンと1軒だけ建っている、潰れかけたホテル「八ヶ岳高原ヒュッテ」に集まり、ホテルの再建と、各人それぞれの人生の敗者復活戦をがんばる、という、コミカルと胸アツの微妙にブレンドされた、隠れた名作。
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