こんにちは。

徒然なるお遍路日記を書き記す向江好美です。


久しぶりの都会はいろいろ新鮮です。

細かいことがあまり気にならなくなりました。


【26日目の行程(6/5)】

民宿ほてい寮 発 7:00頃

JR予讃線 宇和島→伊予宮ノ下着 7:36

四十一番札所 龍光寺 2km

四十二番札所 仏木寺 2.6km

四十三番札所 明石寺 10.6km

宇和パークホテル 着 14:30頃 3km

合計 18.2km (累積 654.4km)


この日の宿は宇和町で宿泊。

・・・本当はその先の大洲まで行く気だったんですよ。


折れました。



~詳細~

昨日は突風と雨に見舞われた宇和島の夜。

突風は収まったようですが、朝起きても雨はふつーに降っています。

この日の宿は、大洲の「ビジネスホテルだいいち」です。

本当は、同じく大洲ですが送迎サービスのある

ときわ旅館さんにしたかったのですが、あいにくお休みとのこと。

徒歩計36km超、1日の歩行距離としては過去最長。


雨は降っていますが、午後は止むという予報だったので

何とかいけるのではないかと、決行です。

コンディション最悪で、

わざわざこんな日にこんな頑張らなくても、とも思いますが、

ある意味これが限界サンプルになるだろうと。


愛媛は都市は発達してますが、島みたいにそれが離れています。

この大洲の手前は宇和町という所なのですが、

そこだと一番北(進行方向)寄りの宇和パークホテルでも、

歩行距離は18kmとかなり短くなってしまいます。

迷ったんですが、距離を延ばす選択をしました。


ほてい寮のおかみさんにお支払いをして、出発です。

素泊まり2500円

「うーん、どうしようかしら・・3000円、おまけして2500円で」


破格のお安さ。

お風呂小さいですが、お布団ふかふか、

女将のおばあさまも感じのいい方でサービスも文句なし、

満足のお値段です。

イメージは親戚のおうちに泊まりにいった感じですかね。


ありがとうございました。


さて、まずはJRで昨日歩いた地点まで移動です。

宇和島駅で切符を買い電車に乗ると・・・


電車一面の中学生


一両編成の長い車両、出口は前と後ろだけなので

椅子は両脇とも手前から奥まで一本で伸びて、

白黒の制服の中学生のみがずらっと座ってます。

その中に紛れ込む、ちょっとカラフルなお遍路さん1名。


異空間です。



椅子の空いているところに腰をかけて出発を待ちます。

所在ない、とは正にこのことか。

電車の中で雨具の準備色々しようと思ってましたが、

そんな雰囲気でもなく。

出発時刻直前には立ってる子も何人かいる満席状態になりました。


う、う~む。。


まあ、そこまで珍しくもないのか、一瞥はされるものの

特にチラチラ見られることもなく、目的の伊予宮野下駅へ。


カップルではまだなさそうな男子学生と可愛い女子学生が

遠慮がちに仲良く話していたりして、

あら、青春だわあ(^^*)とくすぐったい気分に。

そしてそれをチラチラ見る一部男子生徒群と女子生徒群。

うん、これも青春ですなー。


それにしても、こんな田舎でも・・・というのも失礼ですが、

可愛くしている子は可愛くしている。

そしてモテるんでしょうね。


傍らでそれをぶっすー、と睨んでる女の子は

そんな顔してないで可愛くしてみればよいのにと、

傍観者ながら思ってしまふ・・・。


目鼻立ちくりっという美人顔じゃないけど、

色白でお肌きれいで髪もきれい。

いくらでも可愛い感じに仕立てられると思うのに、

その顔を、この後何年も続けた結果がどうなるか

お姉さんには見えるし、知ってる気がするのですよ・・・。


逆に同じような顔立ちから、

可愛くて素敵な魅力ある顔になるパターンも。



分岐はこんな時からあるんだなあ、と

思わぬ人間観察となった朝のひと時。

自分を可愛くするのもブスにするのも自分次第なり。

変えてくれる人や一言が現れるといいね。


南無大師遍照金剛。



さて、伊予宮野下駅に降り立ちます。

中学生たちも同じ駅。


そこから約2km離れた龍光寺に向けて歩きます。


途中に中学校と小学校があり、

校門前で小学生の集団登校の子達に次々と挨拶されます。

中学生のお兄さんたちが、

雨の中、緑のおばさん役をやっていました。


それを通り抜け、しばらく歩いていくと龍光寺に。


階段登りはお約束なので仕方ない。




階段の途中の踊場に、次の仏木寺へのお遍路道を示すマークが。

見落しやすいルートらしいので、忘れないように頭に入れて龍光寺に上ります。


金剛杖を本堂前の杖入れに差し、いつも通り本堂と大師堂にお参り。

そして御朱印をしてもらい、仏木寺へ。

踊場のところで北へ曲がります。

雨でしたので山道は微妙かなと思いましたが、

今日は距離もありますし、このルートのショートカット力は中々でしたのでこちらを選択しました。


予想通り、滑りやすい石の道と雑草の生い茂る泥の道、

すでに川になっているようなところの中を進むような道でしたが

それでも割と整備されている方、何とかクリアー。


県道31号に出て、この後は道なりです。


ふんふん~♪と、傘を差しながらぷらぷらと暫く歩いていたら。


何か身が軽いなと。

雨だけどそんなに煩わしくない・・・。


・・・。


あ!∑(゚Д゚)


大師様(金剛杖)がない!!


傘の持ち手と反対側にあるべき、大師様がいません。

何度見ても(当たり前ですが)手は空。


げ。

龍光寺で本堂前に差したこと、納経所から出る時に

傘しか持っていかなかったことが思い起こされます。

完全に忘れました。初めてです。


すでに龍光寺からは2kmは歩いています。

さっきの山道を逆から戻るのは正直ない。


一瞬大師様置いていこうか・・という考えが浮かびましたが、

今まで、坂道の支点にしたりドアのつっかえ棒にしたり蜘蛛の巣払ったりして、お世話になってきた金剛杖です。

さすがにそれはない、と打ち消しました。


ではどうしよう・・ということで、

次の仏木寺から、タクシーを呼ぶことを決意。

とまれ、仏木寺に急ぎます。


ほどなく着きました。





藁ぶき屋根が残る、閑静で趣のあるお寺です。


まずは、納経所に駆け込みタクシーをお願いしました。

来るのにも時間かかるでしょうから、

その間に納経を済ませる算段です。


私 「すみません、タクシーを呼びたいのですが」

住職 「・・・?」

私 「龍光寺に金剛杖を置いてきてしまったので、往復しようと思いまして」


住職 「・・ああ。・・・えーと、・・・どうしようかな。場所はわかりますか?」

私 「はい。本堂前の杖立です」

住職「ちょっと待って」


住職は携帯でどこかの番号を調べて電話をかけてくれています。

どうやら、龍光寺からこちらへ車で来る予定の来訪者がある様子。

住職がざっと事情を説明し、私に電話を替わりました。


運転手さん「お客様次第だから、1時間くらい待てますか?」

私 「はい!ありがとうございます。助かります」


運転手らしき人に、名前と置いた場所を伝えて、届けて頂けるのを待つことに。

おお。これは幸運です。
有難過ぎる。本当に助かりました。


遅くて1時間後と言っていたので、

20~30分くらい待つかと思いましたが、

納経をしてトイレに行って帰ってきた30分後には、

杖を持って私を探す方の姿が。


「あ!私です!!ありがとうございます!!」


その方と連れの方、住職に丁重にお礼を言って仏木寺を後に。


大師様カムバック。


再び同行二人になって、次の明石寺に向かいます。



午後から止むらしき雨は、止みそうで、まだ止みません。



沢ガニがそこかしこに。踏みそうです。



途中で、またお遍路看板がこっちがショートカットだよ

と誘いをかけてきます。


登りになると、単純な距離のショートに見合わないことも

あるのですが、ショートカットだというので選択しました。





歩きやすいとは言いませんが、雨の山道も

まあ、情緒はあります。





歯長峠。

序盤は鎖を使って登るような難所もあり。



それを抜けて、県道29号にぶち当たります。

雨は上がってきました。



そこから更に5kmほど歩き、四十三番の明石寺へ。

最後はけっこう急な車道の登り道でした。



上から仁王門見た図。


この時点で確か13時頃。

大洲までさらに20km近くあることを考えると、ペースとしてはけっこう苦しめ。

10kmくらいなら放っておいても着きますが、

20kmは意思がないと歩けない距離です。


休憩もあることを考えると着は19時過ぎるかも・・・。

でもまあ雨も止んできたし・・・


と思っていたら、

ざーっ、と強い雨が突如襲ってきました。


明石寺内の屋根のある所に避難。


暫く待っていましたが、止む気配がありません。

けっこうな勢いの、叩きつけるような雨です。


切れ切れの電波で、何とか天気予報を確認すると、

おぉ、日暮れまでずっと雨。



足もぐしょぐしょ。

心が萎える情報ですが、それなら待っていてもしょうがないと、出発しました。


くそう・・。晴れるて言ってたのにむっ



明石寺からは、また山道お遍路ルートです。

地面に落ちた雨が滝のように流れています。


足はぐしょぐしょ、この雨模様、これであと5~6時間・・・。


いや、出来ないことはないと思う。

ビジネスホテルだから遅くなってもいいし。


しかし・・・。


先ほどから、ちらちらと

ギブアップもありじゃないか

という心の声が頭をかすめます。


いやいやいや。

だってもう予約してるし。

素泊まりとはいっても、当日キャンセルはいかんだろ。


キャンセル料も取られるだろうし。


・・・満員じゃなかったら勘弁してもらえたりせんかな。

そもそも杖忘れたりこの天候だったり、行くなって大師様の示唆なのでは・・?


いやいやいや。

行ける行ける。行こう。


頭の中で両陣営からの投げかけがありましたが、改めて続行。

2km超の山道を歩き続けます。

まずはともかく山越えです。


歩き続けます。


・・降っています。


歩き続けます。


・・降り続いています。



ずざざざざああああああ・・・・・・(雨の降る音)



時を追うごとに状況が悪化してます。




どぅしゃぁああああああ・・・・・・・・




ざあぁぁああああああ・・・・・




ざぁああああああああ・・・・・




・・・・・。




・・・・・。




ばさっ

(やる気の落ちる音)




ピッ、ピッ、ピッ


私「すみませーん、宇和パークホテルさんですかー。

   今日の予約をお願いしたいのですが、1名空いてますでしょうかー。

  あ、ありがとうございます~!お願いします!

  え?はい・・・はい、そうですね・・1時間後くらいだと思います~」


私「すみません、本日予約をお願いしていました向江と申しますが・・

  はい、まことに申し訳ありません、

  当日なのですがキャンセルをお願いしたく・・・。

  はい、今まだ明石寺を出たところでして・・・、はい・・はい、

  ちょっと伺うのは厳しいかと、判断いたしました。

  申し訳ありません・・・はい、あ!ありがとうございます!!」



13:30頃 ギブアップ決定。


天候があまりにひどかったせいか、お遍路さんサービスか、

キャンセル料は覚悟してたのですが、

大洲のだいいちホテルさんはさっくりと、キャンセル了解してくれました。


すみません、ありがとうございます。。。


宇和パークホテルさんも、チェックインより時間早いのですが

「お部屋間に合わせておきますね」と快い返事。


電話をかけた場所から、3km、1時間弱くらい歩き宇和パークホテル着。



赤い三角の建物。


私のところは和室でした。

部屋に入って靴下投げ出して、濡れた服を脱いでほっと一息。


窓から降り続ける雨を見ながら、

いやー。歩き続けるとかほんとなかったわー。


と、思いながら26日目の行程を早々と終了。



大浴場の一番風呂に入り、

バイキングの夕食でお肉・デザート含め好きなものを好きなだけ食べ、

また鈴木さんと堀切さんにお会いし、

洗濯をすませ、早々と睡眠して明日に備えたのでした・・・。



~26日目終了