街道の宿屋にて3 | mukadeのblog

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他愛のない事を書き綴るblog
PCゲーム「NWN」のblogから引っ越してきたこともあり、しばらくはそのこと中心かも。

blogの良いところは手軽さなんですけど、
一方で推敲はやりにくい気がします。
まあ、これは私のめんどくさがりが大きな原因なんでしょうけど…。

それに手軽にかけるからこんな自己満足もできるわけで。


「お前のアジトに?」
カイエスは疑いの目でハンを見つめる。
「随分下手な誘導だな。罠ということが見え見えだぞ。」
「罠を張っているわけではない…、といっても信じてもらえないだろうが、君たちに誠意を尽くしたいというのは本心だ。」
ハンはカイエスの目を見つめ、語る。
「私は確かに盗賊の真似をしていたが、相手を見ている。まっとうな人間を襲ったりはしていない。たいてい、都で不当な暴利をむさぼる商人から…。」
話しているうちに、ヘイズ、ペリン、エアも崖を上がってきた。
エアは意識を取り戻していたが苦悶の表情を浮かべている。
それでもハンを糾弾することを放棄するつもりはないようだ。
「帰ってこなかった旅人もいるって聞いたわ。いかな人物でも殺すのは…。」
「殺したりはしていない!」
ハンは強く否定する。
「今の君たちのような怪我人は治療しているし、最低限の食料を持たせて逃がしている。それに帰ってこなかったものたちは…。」
「俺たちです。」
黒づくめの男がマスクを取って言った。
「俺たちはハンさんの境遇とやろうとしていることに共感して、こんなことをやってるんです。お願いです。とにかくアジトにきて話だけでも…。」
「カイエス…。」
ヘイスが仲間に呼びかける。
「とにかく行ってみようじゃないか。エアは特に治療が必要だ。夜を明かすにも屋根のあるところはありがたい。もし、罠だったならば…。」
カイエスはハンを警戒し、スタッフを構えたままだ。
「罠だったら?」
「打ち破るだけです。」
ペリンがヘイズの代わりに答えた。
カイエスは一息ついて、ハンを促した。
「アジトに案内しろ。」
ペリンは得意げに付け足した。
「私がのしてしまった連中も忘れずに運ばないとな。」

「…洞窟か?」
ヘイズがつぶやく。
「ええ、私たちはさらにここを掘り広げ、アジトにしました。中はそれなりに快適ですよ。」
「掘り広げるか…。かなりの人数がいるようだな。」
「ハンもヘイズも解説はいい。早く治療してくれ。」
カイエスが急かす。
エアの傷はかなり深く、確かに治療は早いほうがよさそうだった。
「では中へ。」
ハンは洞窟の中ほど、やや広間になっているところに案内すると、部下にヘイズ、エアの治療を指示した。手当てが終わると、ハンが言う。
「仲間たちにあなたたちのことを説明してきます。私としては、ぜひ私たちの仲間になっていただきたい。武術の腕が私たちには必要なのです。」
そういうと洞窟の奥へと消えていった。
「勝手なことを言ってくれる…。」
ヘイズは負傷した傷を見やりながら言う。
「エア、ヘイズ、二人とも大丈夫そうだな。」
カイエスは安堵して座る。
「まったく、私がいなければ危ないところでした。」
ペリンはかなり得意げだ。
彼は3人の黒装束を打ち倒したことにかなり満足しているらしい。
「フン!」
エアは逆に自分のふがいなさを少々呪った。
ヘイズは洞窟の奥を見やって言う。
「戻ってこないな。」
カイエスもうなづく。
「やな予感がする。」

と、洞窟の両端、入り口と奥へと進む道の両方に鉄格子が降りてきた。
カイエスはため息をつく。
「やはりな…。」
「あけてくださーい」
ペリンが呑気な声で開放を要求する。
「最低。」
エアがうなだれた。

つづく(かも)