常に諸子の先頭に在り―陸軍中將栗林忠道と硫黄島戰 | 書評無情の響きあり。

常に諸子の先頭に在り―陸軍中將栗林忠道と硫黄島戰

留守 晴夫
常に諸子の先頭に在り―陸軍中將栗林忠道と硫黄島戰

先日のこちら を経て読。


題名は、硫黄島の戦いで総司令官を務めた陸軍中将栗林忠道が

約一ヶ月間の孤島での激しい戦闘の後、陥落が決定的な状況で

自身の率いる軍に出した最後の命令

「一、戦局ハ最後ノ関頭ニ直面セリ。

二、兵団ハ本十七日夜、総攻撃ヲ決行シ敵ヲ撃摧セントス。

三、各部隊ハ本夜正子ヲ期シ各當面ノ敵ヲ攻撃 最後ノ一兵トナルモ

飽ク迄決死敢闘スベシ 大君×××(不明)テ 顧ミルヲ許サズ

四、予ハ常ニ諸子ノ先頭ニ在リ。」

のフレーズより引用されている。


本書は、硫黄島の戦いについて というよりも

栗林忠道という「品格ある日本人」を通じて、

 日本人&日本文化とは?

 リーダーとは?

といったテーマを鋭く抉っており、現代の日本人においても大変深い

示唆を与えてくれるものとなっている。


印象に残ったのは

在米経験も長く「アメリカとだけは戦うな」主張し続けた帝國陸軍屈指の

知米派の栗林が、任務が命ぜられると 米国軍人に“太平洋戦争に於ける

最も優秀な日本人指揮官”(先日も記したが硫黄島は米軍の死傷者数が

日本軍のそれを上回った唯一の戦闘)と評されるほど、徹底的に戦い抜いた

日本人男前的サムライ魂である(カッコよし!)。


本書からも窺い知れるが

とにかく硫黄島の戦いは相当壮絶なモノであったようなので

その点にスポットをあてたものも映画 封切の前に読んでみたいと思う。