宿澤広朗 運を支配した男
- 加藤 仁
- 宿澤広朗 運を支配した男
早稲田大学ラグビー部で選手として2年連続日本一、
その後日本代表で活躍。
監督として日本代表を率いた直後に強豪スコットランドを破る大金星、
その後日本ラグビー史上唯一のW杯での勝利を挙げる。
ビジネスマンとして三井住友銀行専務取締役。
ラグビープレーヤー、日本代表監督、ビジネスマン いずれにおいても
輝かしい実績を誇るも、昨年6月 山登り中に突然倒れ、メガバンクの
頭取の座まで指呼の間まで迫りながら55歳で急逝した宿澤広朗氏の
生涯エピソードを書いた一冊。
本記事のテーマを“スポーツ”ではなく“ビジネス”とした理由は
尊敬の念を込めて。
同僚のC氏 は前職(ワタクシも同じ銀行にいましたが、、)で
宿澤氏が執行役員市場営業統括部長時代 の部下だったらしいが、
細かく厳しくとにかく“イヤな”上司だったとのこと。
この本でも氏の、成果に対してストイックな姿が幾度となく書かれており、
(副題の「努力は運を支配する」は氏の信念)、厳しい上司としての姿が
容易に想像できる。
ただ、その厳しさ、成果に対する拘りこそが輝かしい数々の偉業を
生んだ源となっている点は明白であるし、ここまでの実績を揃えられると
そのやり方も認めざるを得ない。同じラガーマン、ビジネスマン(元銀行マン)
として本当に天晴。(自身と比べるのも大変×2オコガマシイが、、、)
以前の記事 でも触れたが、氏の「『私はサラリーマンが嫌だ』という人は多い。
その理由は~」というコメントは印象深い、、、
ある意味何かを見出してくれた言葉だ。そういう点でもリスペクト&感謝。
主人公は僕だった
平凡な毎日を送る会計検査官の男がある日突然
他の誰にも聞こえない女性の声が聞こえるように。
その声は彼の行動を同時進行で正確に描写する。
どうやらその声の主は、彼の人生を1編の小説として描いている
ようだ、、、それに気付くところからストーリーは始まる。
人の一生は誰かによって書かれた小説のように、、、
そんな風に思うこともあるが(以前このblogでも書きましたが)、
それを実際に題材とした本作品。
描き方によってどんなタッチにでもなるテーマであるが、
こちらは ホンワカ&コミカル。
この映画自体が一つの短編小説のよう。軽やか。
雑誌に紹介されていて ふーん、と思ったところに
たまたま時間があって見に行ったのだが、
レイトショーといえども観客数 ヒトケタ なのはさすがに、、
ある意味、この映画の評価をアラワシテいるとも、、、
ちょっと疲れた方には丁度良い脱力モードで見れて
オススメデス。(フォローというワケでなく、、)
俺は、君のためにこそ死ににいく
新城 卓
更新、滞ってました、、、
並行読み多く、書評を書くタイミングを逸してます、、
石原慎太郎氏、脚本・監修ということでも話題の本作。
鹿児島・知覧での若き特攻隊員たちの最後の日々を、「特攻の母」と
呼ばれ隊員に親しまれた鳥濱トメさんの視点から描いている。
この時代に生きていたら、自分はどうしていただろう、、、
と思わず考えた。
映画の中の若き隊員達は、特攻に対して向き合い、
乱れることなく穏やかに飛行していく。
その姿が何とも言えなかった、、
エンドロールで流れる当時のモノクロ写真にも
屈託のない気持ち良い微笑みを携えた沢山の隊員が
写されていて、それが実際であった様子が伺えるのと共に
ただでさえ、の悲しみをさらに助長する、、、。
作品を見ると分かる?が、今年の夏はホタルを見に行こうかな、と。
何のために働くのか
- 北尾 吉孝
- 何のために働くのか
ご存知 ライブドアのフジテレビ買収の一件で
白馬の騎士として脚光を浴びた SBIホールディングスCEO
北尾吉孝氏の著。
野村證券の将来の社長候補と呼び声高かった &
孫正義氏に請われてソフトバンクに入社し、その後SBIを
独立に導いた、超実力派 北尾氏だけあって仕事観については
一家言も二家言(?)ももっている。
本作は「何のため働くのか」と題名ではあるが、仕事を通じた人生観に
ついての書と言えるだろう。 若手ビジネスマンは読んで誰しも何か
得るものがあるのでは? (ワタクシが若手かどうかは別にして)
・思考の三原則(①根本的に②多面的に③長期的にものを見る)
・陰陽相対原理(陽があれば陰がある)
は自身のモットーとも符合する部分であり、大いに共感。
あと、毎朝「ソリティア」を3回勝負して、その日の運を見極めると
いうのも使えるなと思いました 笑。
(行きつくとこまで行っているのでこの発想が出来る、ステキですな)
ドリームガールズ
ビル・コンドン
アカデミー賞の授賞式をテレビでたまたま見てて
すっげえパワフル!という印象だった作品。
ミュージカル調の映画というだけで 何となく、、
という感じであったが、実際見ると 恐れ入りました、、、
今をときめくビヨンセをはじめ アカデミー賞に輝いた
ジェニファー・ハドソン、そしてビバリーヒルズ・コップが
懐かしい(笑)エディ・マーフィ、 それぞれ十分に魅せてくれる。
ショー的完成度が高く、疲れた体には、パワフルさも心地好く
楽しめる一本だった。
映画感で見たいかというと、これ好き々かと。
007/カジノ・ロワイヤル
SF出張、飛行機内で見た2作品を紹介。
マーティン・キャンベル
21作目にしてシリーズ最高という呼び声高い本作。
映画館で見たかったが見逃していた作品だけに楽しみ。
感想は、、、
その期待に十分応えるオモシロさ!
アクションシーン、ストーリー展開のテンポ、いずれも申し分ナシ。
新たなボンド役のダニエル・クレイグも カッコイイ、coolです。
そして何よりも(?) 本作ボンドガールの エヴァ・グリーン、
役柄といい、黒髪&どこか憂いのある目、so nice!
見終わったら、すっかり気分は007、、、
007を何となく毛嫌いする方にもオススメの作品。
クリエイティブ・クラスの世紀
- リチャード・フロリダ, 井口 典夫
- クリエイティブ・クラスの世紀
本書では 「イノベーション」を創造できる、あるいは
リードできるナレッジ・ワーカー(知識労働者)を
“クリエイティブ・クラス”として捉え(明確に定義されている
ワケではないが)、
・都市の繁栄にはこの層の人々を惹き付けることが重要
・またその方法とそれぞれの国(特に変わりゆく米国)の現状
以上2点について主に都市経済学の観点より書かれている。
要旨は以下の通り、
経済成長には三つのT
“技術(technology)、才能(talent)、寛容性(tolerance)”
が必要で、クリエイティブ時代には3つめのT = 寛容性(tolerance)が
必要不可欠である。 この寛容性を備えた都市こそが今後
多くのクリエイティブクラスを惹き付け、発展していく。
(人種、文化、宗教の多様性の受入 ex.ゲイetc)
感想としては、
シリコンバレー滞在時に読んだこともあり
(あえて本書を持参した)、都市、組織、クリエイティブの
関連性はいつも以上に感じることが出来、頷く部分も多かった。
しかし、、、ハードカバー本編300頁、
これだけのことを言うのに、こんな長くなくても、、、、。
官僚とメディア
- 魚住 昭
- 官僚とメディア
先日、修善寺に出張した際にパッと読める本が無く
熱海駅のキオスク売店で購入。
共同通信の元記者であった著者がメディアの腐敗を
官僚との癒着というテーマで記した一冊。
耐震偽装事件、「タウンミーティング」やらせ事件、NHK番組改編
疑惑、などをピックアップ。 取材に裏付けられた鋭い抉りによって
各事件のメディア報道の裏側にある事実を解き明かしている。
この情報化社会においてメディアによって報道されている内容を
どのように受け取るかは、各個人がいわば“賢く”生きるにあたって
重要な要素の一つだと言える。
しかしながら真実を知る為には膨大な時間と調査が当然必要であり、
まずは 「マスメディア報道においても事実が歪曲されて報じられる
可能性がある」 ということを知ることが現実的には重要なのであろう。
その視点でニュースを見る“気付き”の第一歩を与えてくれる一冊である。
↑そうなんだ、と思った方は読んでみる価値アリ。
東京奇譚集
- 村上 春樹
- 東京奇譚集
SF出張のお供として持参、往路飛行機内で読。
帯にもある通り「不思議な、あやしい、ありそうにない、
しかしどこか、あなたの近くで起こっているかもしれない」5つの奇譚が
収められた短編集。
第一編の「偶然の旅人」。
偶然とは言い難い幾分か神懸かった出来事について書かれている。
自身は、最近、本著者(村上春樹)関連でそんなことがあったので
尚更興味深かった。
ある作品の登場人物の条件がとある実在人物と良く似通っていたので
何となくその氏をイメージして読んでいたら、何とその氏と前日に食事した際
オーダーしたメニューと全く同じモノが その小説の中でその登場人物に
よって食されている!というもの。何だか偶然にしては出来すぎている。
(分かりにくくて申し訳なし、、、 一人で興奮している感ありですが、、)
結論としては、これは何なのか解き明かすことは出来ないけど、
人生ってそんな偶然か必然か分からないドラマ(出来事)の連続かな、
と感ずるところ。
「人生は小説のよう」、、、
それであれば 読み終わると 小説内の喜怒哀楽、すべてを大きく包み込む
たおやかな大海のような小説(=人生)でありたいと思う
少しカッコつけ過ぎですな、、
時差ボケということで勘弁を。
役員室午後三時
-
- 役員室午後三時
- 城山 三郎
記事更新が滞りがちなので、負けずに(?)いきます。
先日逝去した城山三郎氏著の経済小説。
モデルは1960年代後半の鐘紡。
キーワードは一族経営、労働組合、クーデター。
この3語によって連想される内容そのままに
なんとも重苦しい感じ(水面下の権力争い、ドロドロ、下剋上、といった
言葉が相応しいか、、) がオモシロイ。
当時の繊維業界の栄華 と 最近のカネボウの凋落振り
(再生機構下で再建中)を 背景で持っていると、
尚も興味深く読める。ということで、1975年初版であるが
このタイミングで読むほうがオススメなのでは、、(自己満足)。
この記事を書く際に知ったのだが
本書主人公の矢吹氏モデル(鐘紡 伊藤元社長)と「沈まぬ太陽」の
国見会長が同一人物だったのにはトリビア(←古い、、)的驚き。