バカを言いながらも人懐っこいイヌっころみたいな瞳で見上げてくる弟にまた深いため息をつきつつ、お兄ちゃんは可愛い可愛い弟に諭す様に言う。
「お前な…。どうしてもあのバ…ベリーちゃんとやらと一緒になりたいのか?でもなァ、ありゃお前…。」




…男だよ…。




という究極的言葉を呑み込む。

ああ、弟よ。
君と離れて幾年月…。俺の知りえぬ数多の修羅場を潜って来たであろう、たくさんの経験やらそれに付随して様々な心情の変化を思うと、お兄ちゃんは…。
やりきれない。

どんなに、おめでとうと言いたいか。
せめて、男女であればこんなに悩み、苦労する事はないだろうに…。
何か泣けてくるぞ、お兄ちゃんは。

お前にだけはこんないばらの道を歩かせたくなかったよ。

さらに深いため息をつく俺のもとに、ウチの従者がやってくる。
「彼方の城からの使者が表に…。如何なさいますか?」

来いってか?
来~いってか!
あんのおバカ王~

どうしてくれんのォ?呼び出されちゃったよォ?お兄ちゃんは。

「…支度する。登城すると使者に伝えよ。」従者に指示を出し、心の中でため息をつく。弟は「やった!ベリーちゃんに逢える~(≧∇≦)」とかって浮かれてるけどな…。

ったく、お前らのおかげでお兄ちゃんてんてこ舞いですよォ。
どぉしてくれんの?こっちゃ、バリバリ新婚生活の真っ最中なんだよ!新婚さんいら~っしゃい、なんだよッ!出来立てホヤホヤ熱々なんだよッッッ!
嫁さんは黒毛の美人で可愛いし~、まぁ、気が強くて跳ねっ返りだけどもォ、料理の味付けは俺好みだし~、旦那の俺をちゃァんと立ててくれる。
良いコなんだよォ。
きっと丈夫な子を…って、ソコはさておき。やっとこさ、公私共に充実した日々を過ごしてるってのに。

何コレ?
イヤだ、コレ。
何の冗談?

おバカでベリーな可愛い王様と、おバカで可愛い台風の様な弟に振り回されっぱなしじゃね?俺。
あ~あ、まいったねェ…

とまあ、
そんなこんなで おバカ王とおバカ弟に一発蹴りでも入れとくか的な勢いで支度する俺であった…。

~続く~
…かも知れない。