日本に生まれてよかったなぁ、と思うことが多々ある中で、主食がお米であったことには常々心から感謝している。

 

もともと日本の食文化は他国の良いトコロを取って独自のものに昇華してしまうのが得意だけれど、ご飯に乗っけてしまえばその時点である程度料理として完成するという点で、いわゆる「丼」の持つ包容力は半端ない。

 

そんなコメ好きの僕であるから、大好きな肉が乗った丼となればそりゃあ何だって大好物である。長年に渡って馴染みがあるのは何と言っても吉牛なのだけれど、ご当地メニューから近年すっかり全国区のメニューへと広がって定着した感のある帯広系豚丼もまた捨てがたい。

 

 

 

不惑を超えても僕の肉と脂への渇望は止むことは無く、だから肉はやっぱりバラ肉が良い。ご飯との相性という観点において豚バラという肉は結構万能の感があって、ネギ塩ごまダレだとか生姜焼きだとか中華風までどう料理したってなかなかのご飯キラーだけれど、甘辛いタレに絡めて香ばしく炙ったソレもまた、かなりの破壊力である。

 

大抵の豚丼はこんな風に花型に盛り付けてあって、空腹時にはこのビジュアルがまた更に食欲をそそる。

 

 

この時点で端の焦げた部分から苦みを含んだかぐわしい匂いが漂っており、喉と胃袋をダイレクトに刺激する。さあ、これからこってり脂がガッツリと流れていきますよ、というアラートともに胃がキューっと引き締まる。

 

食べ応えと柔らかさ、旨味のバランスから言って、簡単に噛み切れつつ食べ応えのあるこのくらいの厚さがまことにちょうど良い。

 

 

噛むと赤みの部分はあくまで柔らかく、脂身の部分は噛んだ瞬間に一抹のクリスピー感を残してはじけるように溶け、赤身の肉の旨味、脂のコクが混ざり合ったところを甘いタレがまとめ上げる。

 

鼻孔で端っこの焦げた部分の香ばしさを楽しみながらこってりジューシーで一杯になった口に大量のご飯を放り込み、じっくり味わいつつぐいぐいと呑み込む。まさに「日本に生まれてよかったなぁ」なのであった。