会場には、彫刻もいくつかありました。
それまではあまり興味がなかった彫刻。今回、いくつか見比べてみて、はじめて面白いなぁと感じました。

彫刻で有名なのはロダンですね。彼の作品もいくつか出展されていました。良かったのが『カレーの市民(第二試作)』。
ゆったりとした布を身につけた男たちが、頭をうつむけて立っていたり、腰をかがめたりしています。ただそれだけなのに、なんというのでしょうか、全身で沈鬱ななにかをかもしだしていました。
両手で頭をかかえている男は、絶望しているようです。書物を手にした男も、古代の英知を学んでいるというよりは、悩みに沈んでいるようです。

感情を全身で表現しているさまは、言葉を使わないパントマイムのようで、見ている者にうったえるものがありました。1mに満たない彫刻なのに、こんなに伝える力がある。さすが巨匠だと改めて感動しました。
後で調べたら、街を包囲され、投降することになったカレーの市民を描いた(彫った)ものでした。本物は2mだそうです。

さて、ほかにルノアールの作品の、女性のブロンズ像がありました。
こちらはルノアールの絵がそのまま立体になったようでした(あたりまえですけど)。丸みをおびた、ぽってりした全身。太めの、ちょっと長すぎる二の腕。深刻なロダンとうって変わってほのぼの系のルノアール。なんかおかしかったです。
ブロンズは、絵のパステルカラーでまろやかな雰囲気はなく、ただ真っ黒な体をてらてらと光らせていました。ルノアールっぽさが少し足りないかな? 白い大理石のほうが合っていたかもしれません。

ドガのブロンズ像。踊る娘。
動きの一瞬をとらえたその姿に、はっと目をうばわれました。スリムな肢体がいまにも動き出しそうです。顔の表情がどう、指の表現がどうというのではなく、全身の動きをぱっとつかみとって彫刻にしたかんじ。生き生きした躍動感がみなぎっていました。
ドガは一連の踊り子の絵が有名ですが、ブロンズでも「動の美」を的確に表現していたのだな、と、その才能に感心しました。
他にもブロンズの作品があったら見てみたいと思いました。

ブロンズ像にも、作家によって雰囲気がまったく違うのがわかりました。絵画と同じなんですね。とても面白かったです。