ここ1週間ほど、家に帰るのが楽しみです……いや、それまで嫌だったわけではありませんよ、念のため(^^;)

仕事を終え、通勤電車にゆられて、私は毎日、夜の8時ごろ家路につきます。アスファルトの道路から、家のじゃり道へ。やっと着いた。ああ疲れた、疲れた。
ある日、何かに、ふと私は足をとめました。甘い空気が。パウダーのような、濃い花の香り。それはくちなしのものでした。

庭を見回しても、みんな夜の闇に沈んでいます。そのむこうから、くちなしの花の香りが、風にのって流れてきていました。姿は見えないけれど、きっと満開なのでしょう。匂いは庭いっぱいに広がっていました。
虫の声がきこえています。雲のむこうに、月がぼんやりと輝いています。
私は胸いっぱいにくちなしの香りを吸いこみ、そして元気に玄関を開けました。
「ただいまあ」