午後、急に空があやしくなり、雨が降り始めた。雷雨と言っていい。バケツをひっくり返したような雨とともに、いなびかりと雷がひっきりなしに続いた。
驚いた。午前中はあんなに晴れていたのに。なにせ雲ひとつない青空だったのだ。
この天気の豹変ぶりは信じられなかった。
傘を持っていなかったので、外にいた私はすっかりぬれてしまった。

だが、たしか朝方、ラジオが今日は雨になると言っていた。
街路樹が強い風にざわついていた。空もしだいに暗くなってきたのではなかったか。
私はもっと注意を払うべきだったのだ。

雨にぬれないためには、風に気を配らなくてはならない。
風が水気をふくんでいるか? それとも乾いているのか?
風が運んでくるもの――たとえば灰色の雲など――はあるか?
風を聞き、空を読む。
それでだいぶ違ってくるはずだ。

風に耳を傾けよう。
そうすれば心はいつもおだやかだ。準備万端、変わりやすい天気にも慌てることはない。
雨が降り始めたら、ほほえみながら、懐にしのばせておいた傘を取り出すのだ。むろん、値札のタグは取っておく。

それでも、雨はなくならない。豪雨がどうしても避けられないときだってある。台風も年に数回は来るのだ。
そういうときはどうするか?

肩をすくめ、ぶ厚いレインコートと長靴を用意しよう。あのノアのように箱舟を作るのもいいかもしれない。なんたってあの箱舟は、何百日もの長雨に耐えたのだから。

私は夢見る。風を聞き続けていると、風向きが変わるのだ。
豪雨かと思っていたら、ほんの小雨程度になったり。なぜか雨雲があっちのほうへ飛ばされて行ってしまったり。
それは私が風をよく知ろうとしたからだ。それと、ほかの人たちも。