うつ病の家族への対応法 K・Hさん |
今すぐあのうつ病の苦しみから救ってあげたいですよね?
申し遅れました。
私は、増田泰司(ますだたいじ)と申します。
20年ばかり、心理カウンセラーや心理学・
コミュニケーション関係のセミナー講師などを
務めてきました。
いろいろな方々に関わっていくうちに、
私は、心に痛みを覚えている患者さんを直接助けることも大切だけれど……
……と、強く実感するようになりました。
病気や問題を抱えた患者さんも苦しみますが、
その家族も大きな苦しみを味わっています。
・治るのだろうかという不安
・生活していけるのだろうかという恐れ
・なかなか症状が回復しない焦り
・いくら一生懸命関わっても良くならないいらだち
・「この人さえ病気にならなければ」という怒り
・いらだちや怒りを患者さんにぶつけてしまった後悔
・患者さんとの心の触れ合いが減ることによる寂しさ
・どう関わっても、よけいに患者さんを苦しめてしまうというとまどい
・自分は何の役にも立てないという罪責感……
落ち込んでいるから励ましたら、よけいにつらそうにする。
だからといって、怖くなって放っておいたら、
「見捨てられた」とまたまた落ち込む……。
って、思わず言いたくなる……。もしかしたら、
あなたもそうではありませんか?
いや、私自身も、かつては同じような痛みを感じていたんです。
カウンセリングの勉強を始めた頃で、
まだまだ未熟だということもあったのでしょう。
一生懸命関わっても関わっても、ちっとも患者さんが良くなっていかない。
私は焦りました。悔しくなりました。自分の無能を恥じ、責めました。
そして、恥ずかしい話ですが、なかなか治らない患者さんにイライラし、
責めたくなりました。
そう、かつての私はダメなカウンセラーだったのです。
かつての私もそうでしたが、
多くの人が間違った態度で患者さんに接し、
その結果、かえって回復を遅らせてしまっています。
その間違った態度とは、「治そうとすること」です。
患者さんに早く治って欲しいと思うことは、家族として当然のことです。
しかし、これがかえって不適切な対応の元になってしまうことがあります。
患者さんの症状や問題行動を治そうと焦ると、
ついつい患者さんの症状にばかり目が向きます。
そして、どうしたら症状が回復し、問題行動が収まるか、
その方法を考えることにばかり目が向きます。
すると、その結果、今、患者さんがどんな気持ちなのか、
どうしてそういう気持ちを持っているのかということは
放ったらかしにされがちです。
実は、これが患者さんにとっては、かえってつらいことなのです。
患者さんは、治して欲しい、教えて欲しいと思うより、
まずは「この気持ち分かって!」と思っています。
今のこの状況で、自分がどんなに苦しいか、つらいか、悲しいか、
みじめか、不安か、恐ろしいか、さびしいか、切ないか……。
それを、あなたに分かって欲しいのです。
ですから、この「第一の動機」を満たさないまま、
つまり、気持ちを放ったらかしにしたまま治そうとしても、
患者さんは素直にアドバイスを聞いてくれません。
否定的な気持ちで心がいっぱいなので、
そこに新しいアドバイスなんか、入る余裕はないのです。
ですから、プロのカウンセラーは、
具体的なアドバイスは後回しにして、
まずはじっくりと話を聴き、患者さんがどんな気持ちなのかを
理解し、汲み取ろうとします。
これは、カウンセリングの基本中の基本ですから、
私はもちろん、訓練時代に徹底的に教え込まれました。
でも、頭で知っていることと、
それが「腑に落ちる」こととは違ったようです。
いつの間にか「治そう」と張り切ってしまっていたのでした。
だから、かえって患者さんの回復を遅らせてしまっていたのです。
私は、「自分はダメなカウンセラーだ」と自分自身を責め、
みじめな思いをしました。
しかし、そのおかげで、
「患者さんの話をよく聴き、気持ちを理解する」ことの大切さを、
しっかりと思い知らされたのです。
そして、それを実践し始めたとき、
たくさんの方々に感謝していただけるカウンセラーへと
成長することができました。
このサイトのイラストを描いてくれたのは、
私がカウンセリングをしたうつ病の患者さんです。
彼女は何度も自殺を図り、また人を恐れてニート状態でしたが、
今ではすっかり元気になり、それどころか、回復しすぎて、
アシスタントとして私の働きを手伝ってくれるようになりました。
また、私は、
患者さんの周りで援助している方たちの大変さ、
イライラや不安、悲しみ、恐れなどが、手に取るように分かるようになりました。
自分自身が、ダメなカウンセラーとしてみじめな思いをしたおかげです。
そして、私は、患者さんの家族や友人、恋人、援助者たちを
精神面、そして、コミュニケーションの技術面で
助けたり支えたりすることに、力を入れるようになりました。
私はこう思ったのです。
……って。 NAMU