mugla日記 -9ページ目

もんじゅのお手本、ドイツのSNR300

mixiの

高速炉「もんじゅ」を廃炉に!!!コミュ

http://mixi.jp/view_community.pl?id=4775019

雑談・トピ立て依頼

http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=49584611&comm_id=4775019

からの転載(少し加筆、修正)です



家でいろいろ本を読んでいたら、ドイツが高速増殖炉から撤退することになったいきさつが書いてありました。それによるとドイツ西部国境付近のカルカーという所にある運転開始前の試験中の高速増殖炉原型炉SNR300で

1984年11月22日
アルゴンガスに混ざったナトリウムが漏洩して火災発生
1985年5月
電気系統の加熱による火災発生
1985年7月
ナトリウムが貯留タンクの溶接部から漏洩、火災発生、このためナトリウムによる溶接部の腐食が問題となり、その対策で、多数の溶接箇所を溶接し直すことになる
1985年12月
溶接部修理中に二次系タンクでナトリウム漏洩、火災発生

と、一年余りの間に4回(そのうち3回はナトリウム火災)の火災が発生し、ドイツでは高速増殖炉を断念した、とのことです。

このSNR300は「もんじゅ」のお手本になった、ループ型、ナトリウム冷却、MOX燃料、電気出力約30万kWの「もんじゅ」とほぼ同じタイプの高速増殖炉です。もちろん、「もんじゅ」はSNR300の失敗や「常陽」での経験を踏まえて対策を立てている、と推進側は言うと思いますが、ドイツはSNR300の失敗から、高速増殖炉は無理だと判断し、撤退したわけです。SNR300は運転されることなく廃炉になりました。

普通の軽水炉では冷却水漏れはよくあることなので、「もんじゅ」でも冷却ナトリウム漏れは覚悟して、対策を講じるしかないと思います。しかし、いくら対策を講じても、事故は予想外の形で起きるものなので、メルトダウンや核暴走の危険性を無くすことはできないし、ナトリウム漏れ対策のコストを考えると、非軍事用の原子炉としては採算がとれなくて実用化不可能なのは明白で、とっとと「もんじゅ」は廃炉にするしかないと思うのですが、それでもなお動かそうとしているのは、やはり軍事目的とか新幹線敦賀延伸目的とか、他の理由のために動かそうとしているとしか思えません。大事故が起きる前に廃炉にして欲しいです。一刻も早く「もんじゅ」を廃炉に!!


以上転載


SNR300のことが書いてあった本は

集英社文庫、広瀬隆著

恐怖の放射性廃棄物 プルトニウム時代の終わり

http://www.amazon.co.jp/%E6%81%90%E6%80%96%E3%81%AE%E6%94%BE%E5%B0%84%E6%80%A7%E5%BB%83%E6%A3%84%E7%89%A9%E2%80%95%E3%83%97%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%8B%E3%82%A6%E3%83%A0%E6%99%82%E4%BB%A3%E3%81%AE%E7%B5%82%E3%82%8A-%E9%9B%86%E8%8B%B1%E7%A4%BE%E6%96%87%E5%BA%AB-%E5%BA%83%E7%80%AC-%E9%9A%86/dp/4087470180/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1271803946&sr=8-1

です。




高速増殖炉もんじゅを廃炉に!!

独立行政法人日本原子力研究開発機構という組織が出している文書で「もんじゅの開発(意義)は」というのがあって、もんじゅ開発の利点を説いているのですが、それについてmixiの「高速炉「もんじゅ」を廃炉に!!!」コミュの「読み合わせ・・「もんじゅ」の開発(意義)は」というイベントに書いたので、やや加筆・修正して転載します。

「もんじゅ」の開発(意義)は
http://www.jaea.go.jp/04/turuga/cases/operation/pdf_2009/op-c3-01.pdf

読み合わせ・・「もんじゅ」の開発(意義)は
http://mixi.jp/view_event.pl?id=49715477&comm_id=4775019


「もんじゅ」の開発(意義)は、という文書は、3つの項目に分けて「もんじゅ」の利点を説いています。それに対して一つずつ反論を書きます。

(1)ウランの有効利用
高速増殖炉は、これまで利用できなかった99.3%の燃えないウランをプルトニウムに変えて燃料として利用できるため、数世紀以上にわたるエネルギー資源が得られます。

以下反論
これは、高速増殖炉と使用済み燃料の再処理が両方ともちゃんと実用化されたらウラン238を利用できますよ、という話ですが、そもそも「もんじゅ」自体がナトリウム漏れで14年も止まるくらいなので、高速増殖炉の実用化が無理です。それに、「もんじゅ」は30年も前に設計された原子炉で、今研究されている高速増殖炉は「もんじゅ」とは全然タイプが違うので、仮に高速増殖炉の研究を進めるとしても、「もんじゅ」は役に立ちません。基礎実験用なら茨城県大洗町の「常陽」で十分です。また、高速増殖炉でウラン238からプルトニウム239を作るという流れでの「増殖」は技術的に実用化は無理、という説が有力で、高速増殖炉自体が、すでに「増殖」をあきらめて、プルトニウム燃焼炉や放射線照射用炉へと変貌してしまっています。

使用済み燃料の再処理は、セラフィールド、ラ・アーグ、東海村、六ヶ所村、どこも事故がなくても放射能タレ流し工場で、さらに溶液漏れ事故などがしょっちゅうなので、実用レベルでマトモに稼動する見込みはありません。


(2)地球環境の保全
ウラン資源を有効活用することで、CO2を排出しない原子力の長期利用が可能になります。

以下反論
CO2排出削減ですが、まず、PDFに掲載されているグラフ(火力発電はCO2を大量に排出するが、太陽光や風力や原子力はCO2を少ししか排出しないように見えるグラフ)が大嘘です。太陽光や風力は出力が不安定なので、蓄電設備かバックアップ発電設備が不可欠で、それらも含めてちゃんとCO2収支を計算すると、トータルでは火力よりもCO2をたくさん排出することになります。原子力もウラン濃縮や放射性廃棄物の処理や廃炉処理、停止時のバックアップ設備等をちゃんと計算に入れれば、発電のために消費されるエネルギーは発電によって得られるエネルギーよりも多くなり、CO2排出量も、トータルで火力より多くなります。原子力発電でCO2排出を減らすことはできません。


(3)環境への負荷低減(高レベル放射性廃棄物の低減)
高速増殖炉は、使用済燃料に含まれるマイナーアクチニド(MA)を燃料として再利用すること等によって高レベル放射性廃棄物の発生量を削減することが可能であり、発生エネルギー当たりの環境負荷を低減できる可能性が生じるという観点からも開発意義が高い、とされています。高速増殖炉サイクルではマイナーアクチニド(MA:ネプツニウム、アメリシウム、キュリウム)リサイクルと高熱効率とがあいまって高レベル放射性廃棄物の体積を減少できる可能性がある。また、発熱性の核分裂生成物(FP)等の分離処分技術が実現すれば、さらに体積を減少できる可能性があります。

以下反論
マイナーアクチニドを燃料として再利用するという話ですが、マイナーアクチニドの中にはアメリシウム241のように、むしろ中性子を吸収して核分裂反応を妨げるものもあり、燃料として再利用、という表現は不適切だと思います。多くの種類があるマイナーアクチニドが原子炉内でどのような反応を示すかは未知の部分がまだまだあるので、可能性がある、と言えば多少は燃料としてプラスになる可能性もありますが、アメリシウム241のように、はっきりとマイナスに作用するものもあるので、むしろ燃料として見ればマイナスになる可能性が高いと思います。

高レベル放射性廃棄物の発生量を削減することが可能、とも書かれていますが、高速増殖炉の中でマイナーアクチニドが別のマイナーアクチニドや核分裂生成物(FP)という別の放射性物質に変わるだけで、量が減るかどうかは不明で、むしろ増える可能性の方が高いと思います。一つ言えるのは、マイナーアクチニドよりもFPの方が一般的に半減期が短いものが多いので(長いものもあります)、放射能の強い、より扱いにくい廃棄物になってしまうことは確かだと思います。

FPの分離処理技術が実現すれば、とありますが、数グラムの検体を実験室で分離処理することは可能だと思いますが、数十トン単位で発生する使用済み燃料の処理でFPを分離処理するなど、まず不可能でしょう。そんなことが可能なのならば、再処理工場からセシウム137やヨウ素129がタレ流しされるはずがないです。経済性を無視すれば、できなくはないかもしれませんが、経済性を考えると到底不可能なのだと思います。現に分離処理などせずにタレ流しているのですから。 「将来」的には可能性がある、と思う人もいるかもしれませんが、FPの処理は半世紀以上も前から研究されてきた技術で、今がその「将来」なのです。


こんなふざけたチラシを作って給料もらってる人たちがいるのですね。原子力船「むつ」の失敗から、何一つ学習も反省もしていません。この国、もう終わってます。とっとと「もんじゅ」を廃炉に!!

プルトニウムの恐怖

高木仁三郎著
プルトニウムの恐怖 (岩波新書 黄版 173)P88~P90より引用

http://www.amazon.co.jp/%E3%83%97%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%8B%E3%82%A6%E3%83%A0%E3%81%AE%E6%81%90%E6%80%96-%E5%B2%A9%E6%B3%A2%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E9%BB%84%E7%89%88-173-%E4%BB%81%E4%B8%89%E9%83%8E/dp/400420173X/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1270817335&sr=1-1




ジョーのはなし

ユニオン・カーバイド社がアメリカ政府の委託によって経営するパデューカ工場(ケンタッキー州)、それはアメリカの三ヶ所のウラン濃縮工場の中でも最大の規模を誇るものだ。

以下に紹介するのは、その工場の一労働者に対するピエール・フリューリングによるインタビューの記録である。(『エコロジスト』誌、一九八〇年一二月号)

できたばかりの新しいその工場で、当時三一歳だったジョー・ハーディングが働き始めたのは、一九五二年の一〇月のことだった。三ヶ月の研修ののち、仕事についたジョーに、会社はこの工場には何の危険もなく、夜光時計をはめている人ほどの放射線被曝もしませんよ、と説明したのだった。だが、そこが、もやがかかったようにウランの粉塵が立ちこめる場所であることにジョーが気づくまでに、さして時間はかからなかった。

「もれは毎日のように起こってたよ。あっちこちの配管から、気体や液体がもれ、時にはみんなが避難したこともあった。」

「特別の食堂なんてなかったんでさあ。昼めし時になると、どこか場所をみつけて、ウランのほこりをさっと払い、パンをパクつくってだけですよ。」


放射線の数値を捏造することも、会社によって奨励された。最も放射線の強い所では、いったん線量計を「ゼロにする」ことが習慣だったが、初めのうちジョーたちはそれが当然の手続きだと思っていたのである。

五三年、働らき出してから六ヶ月の頃に、早くもジョーの足の皮膚にはれ物が発生し、それはやがて全身にひろがった。多くの医者にかかったが原因は分らず、ある医者は放射線障害を示唆したが、ジョーは信じなかった。会社の教育によって、安全を信じていたのであった。

五四年になると胃痛と吐き気が始まった。ジョーはやせ始め、医者にかかるとやはり放射線障害の可能性をほのめかされたが、この時もジョーは信じなかった。六一年になって体重が二〇キロ以上減ったとき、ようやくジョーは手術を受ける決意をした。胃の九五%をとってしまったのだった。その症状は全くめずらしいもので、病院では胃をホルマリン漬けにして展示したほどだった。

この頃になって、ジョーはようやく会社のいう「安全」を疑うようになった。しかし、試練はなおも続いた。六八年になると肺炎にかかり、その症状はほぼ慢性的に続いた。さらに七〇年には、爪のようなものが手のひらの内側にできるようになった。その「爪」は、その後、指のつけ根や関節にもでき、ナイフでそれを削ることがジョーの日課となった。

しかし、ジョーはこれらの病に打ちのめされず、会社の告発を始めた。だが、裁判に訴えても、会社の記録にはジョーが異常な被曝を受けたという記録はなかった。会社は、「当社の工場で放射線障害にかかったものは一人もいません」と繰りかえすばかりだった。しかし、ジョーの集め始めたデータ・ファイルには、ジョーと一緒に入社した若者たち二〇〇人のうち五〇人の死亡が記録されていた。その多くは白血病やその他のガンによるものだった。

このインタビューの数日後には、ジョーの訴えでエネルギー省の役人が調査に訪れることになっていた。だが、ジョーはそれを待てなかった。インタビューの翌日に、ジョーは息をひきとったのだった。

そして、今でも「原子力利用が理由で死んだとはっきりした者はひとりもいない」というのが、原子力安全論の最大の根拠となっている。


引用、以上

CO2削減のために原子力発電を積極的に利用するべき、といった意見を、最近よく目にします。CO2による地球温暖化説の真偽や、原子力発電がCO2削減に役立つのかどうか、等も検討を要することで、このブログでも何度も書いていますが、「原子力発電」というものがどのようなものなのか、これまでの歴史を含めて知ることも重要だと思います。

何冊かこれまでに原子力発電に関して書かれた本を読みましたが、私が読んだ中では、この「プルトニウムの恐怖」が一番よくまとめられていて、良い本だと思います。技術的なこともわかりやすく説明されており、上の引用のような現場の話もあり、30年近くも前の本ですが、今話題の高速増殖炉「もんじゅ」についても詳しく、わかりやすい説明があります。

残念ながら新品では入手できなくなっていますが、アマゾン等で古本が手に入ります。ぜひご一読ください。