電波バトル15、石油と原子力 | mugla日記

電波バトル15、石油と原子力

いつか石油は使えなくなる時が来る、その時のために原子力発電が必要。

この主張は百パーセント間違いなのですが、なんとなく信じてしまっている人がたくさんいるみたいなので、これまでにも書いていますが、もう一度説明しておこうと思います。

石油の次の時代のエネルギーとしてよく名前があがるのは、太陽熱、太陽光、風力、メタンハイドレート、バイオマスエネルギー、そして原子力などです。

天然ガスや石炭やオイルサンドは、石油と同じ化石燃料の仲間と考えられているので、石油の次の時代のエネルギーという形で語られることは少ないようです。これらについては、また別の機会に書きます。

太陽熱の利用は、太陽熱温水器などの形で、以前から小さい規模では利用されていました。ヨーロッパでは、サハラ砂漠に大規模な太陽熱発電所を建設し、ヨーロッパへ電力を供給する計画が進められているようですが、最終的にどうなるかは、まだわかりません。日本では1980年代前半に香川県仁尾町で太陽熱発電が試験的に行われていましたが、役に立たないということが明らかになり、その後、太陽熱の利用はごく小規模なものに限られています。

太陽光、風力については「電波バトル10」で、メタンハイドレートについては「電波バトル4」で詳しく書いたので、そちらをご一読下さい。

バイオマスエネルギーは、昔から利用されている薪、炭、植物油、動物油、アルコール、蝋、メタンガスなど、いろいろありますが、石油の次の時代のエネルギーと言う意味で注目されているのは、自動車燃料として利用されるバイオエタノールです。

バイオエタノールはブラジル、アメリカ、EUなどで利用が進んでおり、最も進んでいるブラジルでは、バイオエタノールの消費量は石油消費量の約20%程度です。

しかし、農地の少ない日本では、農地はできるだけ食糧の生産に使うべきで、バイオエタノールの利用を進めるとしても、今の膨大な石油消費量から見ると、ごくわずかの割合にしかならないでしょう。バイオディーゼル燃料と呼ばれるモノにしても、事情は同じです。

海で海藻を育ててバイオ燃料を生産するアイデアもありますが、まだまだ実用レベルには遠く、たとえ実用化されたとしても、今の日本の膨大な石油消費量から見れば、ごくわずかの量にしかならないでしょう。

このように、石油の次の時代のエネルギーと言われるモノで原子力以外のモノは、どれも今の石油の膨大な消費量に代わる次世代エネルギーとしては、ほとんど役に立たないことが明らかになっています。

ひとつだけでは少なくても、いろいろ組み合わせたら役に立つのでは、との意見も見かけますが、太陽光や風力のようにむしろマイナスのモノや、最大限普及しても1~2%のモノを複数組み合わせても、石油の次の時代のエネルギーにはならないのです。

このような事情を背景に、原子力が石油の次の時代のエネルギーとして期待されているようですが、原子力も他のエネルギー同様に、石油の次の時代のエネルギーには成り得ません。

放射性廃棄物の問題や事故の危険性については多くの人が指摘しているとうりで、またこれから詳しく書いてゆきますが、それ以前に、原子力発電とゆうモノが、石油の大量消費を前提にしている、という根本的な問題があります。

原子力発電の燃料となるウランは、カナダやカザフスタンやオーストラリアやナミビア等のウラン鉱山で採掘され、ウラン精錬工場で精錬され、さらに転換工場で加工され、日本に輸入され、そしてまた、濃縮工場、再転換工場での加工を経て燃料ペレットに形成され、被覆管に封入され、束ねられて燃料集合体となり、原子力発電所へ運ばれ、発電のための燃料となります。

このプロセスでは、輸送はもちろん、各工場での加工工程でも、エネルギーとして大量の石油が消費されます。

原子力発電を推進する立場の人の中には、やがては輸送も各工場の工程も、すべて原子力発電で作った電気を利用するようになる、と言う人もいますが、具体的に、いつ頃、どうやってそうなるのか、等の現実的な計画は全く存在せず、口先で言っているだけです。と言うより、それは不可能です。

さらに、原子力発電所の建設、原子炉や蒸気発生器やタービン、各種のパイプ、バルブ類、計器類やコントロール設備等の製造や運搬、据え付け、濃縮工場や再転換工場の建設、それらの工場で使用する薬品や機械装置の製造や運搬、それらのための原材料や建設資材等の製造や運搬、等々、あらゆる場面で石油を消費することを前提に原子力発電は成り立っています。

核融合発電が実現すれば膨大なエネルギーが手に入るので、核融合が実現するまでの間だけ、他のエネルギーで賄うことができれば良い、と考えている人もいるようですが、それはあり得ません。

長くなるので、またあらためて詳しく書きますが、核融合は半世紀近い長い研究の歴史を経て、発生したエネルギーを安定的に利用できる形で電気や熱に変えることができないこと、核融合を発生させるために消費されたエネルギー、装置や設備を作るために消費されたエネルギーを越えるエネルギーを得ることができないことが明らかになっており、実用レベルで発電に利用することは不可能であることが明らかになっています。

核融合を研究している技術者は、「数十年後には実用化が可能」と言っていますが、彼らはそのように言うことによって研究費や給料を受け取っている人達なので、何十年も前から「数十年後には実用化が可能」と言っており、何十年後も「数十年後には実用化が可能」と言っているので、真に受けてはいけません。

石油を今のように、不自由なく大量に利用できる時代は、近い将来、遅かれ早かれ、終わりますが、その次の時代が原子力の時代になることは、あり得ないことなのです。