こんにちは、ムギです。


今回紹介するのは、私が今まで読んだ中でNo. 1の本。


シルマリルの物語です!


…といっても、一般的に有名ではないですよね〜。

だけどこの本、本当に面白いんです。図書館の隅に眠っているのがもったいない。



作者はJ・R・R・トールキン 。

世界的に有名なファンタジー小説「指輪物語」の作者です。

シルマリルの物語は、この指輪物語より前の時代が舞台。古代の中つ国の歴史物語になります。

なので、指輪物語を読んでない方は少し分かりにくいかもしれません。


内容を簡単にまとめると、奪われた宝石シルマリルを追って、至福の国から中つ国へ渡ったエルフたちの物語。

いくつかのエピソードがつながって、一つの本になっています。

(細かいあらすじを書くとあまりにも長くなるので、ここでは省きます。)



初めてこの本を手に取ったのは、中1の頃だったと思います。

指輪物語を読んで感動したのをきっかけに、同じ作者の本を探して図書館で発見しました。

初めて読んだ時の衝撃は忘れられません。


「とんでもない本を見つけた…(´⊙ω⊙`)」


大げさではなく、本当にそう思いました。


何がとんでもなかったかというと。

とにかく、想定外の読みにくさだったんです。


普通の小説というより、神話とか歴史書に近い感じ。いきなり天地創造から話が始まり(!)かなり戸惑いました。笑

情報量も非常に多く、地図&人物家系図&用語索引付きです。

登場人物も1人に何個も呼び名があったりして、誰が誰だかわからない!


間違いなく、今まで読んだ中では一番ハイレベルな本。

それなのに読みきってしまえる圧倒的な魅力が、この本にはあったんです。


 


まず、世界の作り込みが凄い!

ある意味これが読みにくさを生んでいるんですが…。


1人の人間が書いたとは思えないほど、一つの世界の歴史が本当に緻密に作り上げられているんです。

ちょっとした描写や登場人物の言動全てにちゃんと意味があり、どこまでも奥深い世界が広がっています。


何度も読むたびに、

「このエピソードにはここに繋がるのか!」 

「あの時、この人はこんな思いでいたのかも…」

と、毎回発見があったり、驚かされたりするんですよ。

この世界はどこまで広がっているんだろうと、ゾクゾクしながら読んだのを覚えています。


ほとんどの人が指輪物語を読んでからシルマリル  を読むと思いますが、読み終わったらぜひもう一度指輪物語を読んでほしい!

全てが繋がって、より大きな感動を味わえるはずです。




そして、この設定だから描けるドラマ。

私が一番魅了されたのはココです!


前にも書いたように、この物語の主な主役はエルフです。

エルフといえば、森の奥にひっそり住む長命の美しい種族。なんとなく、争い事なんかには無縁の優雅なイメージがありますよね。

 


シルマリルのエルフは、正しい名前はエルダールと言い、よく言われるエルフとはかなり違います。

彼らは、この世で最も美しい容姿と言葉を持った種族とされています。身体能力も非常に高く、不老不死。


そんな、ほとんど半神半人のような彼らですが、すごーく人間臭いんです。

異母兄弟間のイザコザや種族どうしの争いもあり、泥沼の三角関係もありと、いろんなドラマが見られます笑。   


中つ国へ渡ってからは、シルマリルをめぐって戦ってばかり。 決して明るいとはいえない、壮絶なエピソードが続きますが、だからこそ小さな希望がすごく輝くんですよね〜。



また、彼らには「誓約」というものがあります。

エルフは、特性として一度誓った約束を破ることが絶対にできません。

例えば、シルマリルの作り手であるフェアノールというエルフは、

「他人がシルマリルを持つことを許さない、奪われた時はこの世の果てまで追い求める」

という誓約をたて、自分の子供たちにもたてさせています。

なのでその子供たちは一生、相手が誰でもシルマリルを取り返すために戦わなければならなくなるのです。


「寿命で死ぬ」ということのない彼らにとっては、この誓約は想像を絶する重荷になっていきます。


本当はもう戦いなんてしたくないのに、誓約のせいでやらざるを得ずボロボロになっていく姿は読んでいて辛かったです(;ω;)


不老不死というのは、永遠に苦しみから逃れられないということでもあります。

エルフたちもその重みに耐えきれず、ほとんどが中つ国を去って行きました。 


人間からすると最強の種族のように思えるエルフ。

それなのに、最終的には人間に中つ国の主役を譲ることになるのです。


人間とは別の視点だからこそ成立する悲しみや切なさ、感動に、始めて読んだときは衝撃を受けました。




そしてもちろん、単純にストーリーとして面白いところもたくさんあります。


一番メインになるのは、「ベレンとルーシエンの物語」「フーリンの子らの物語」

前者は、エルフのお姫様と人間の恋と冒険の物語。王道のストーリー展開にワクワクできます。

(ここで生まれた種族を超えた愛が、後々のエルフの運命に影響してきます!)


後者はうって変わって、不運を運命づけられた一人の人間の竜退治と、その一生が描かれます。徹底的に悲しく残酷な物語ですが、ドラマチックで面白いです。



ちなみに私のイチオシは、前にも書いたフェアノールの子供たちの人生です。

実は、指輪物語に出てくる裂け谷のエルロンドの生い立ちにも関わってきます。

あまり詳しくは書けませんが、彼らの心情を思うほど泣けてきます…。


シルマリルの物語、長編で漫画化したら絶対売れるのになぁ〜。




長くなってしまいましたが、まだまだ本作の魅力は語りきれません。


・指輪物語(または映画ロードオブザリング)を

   見て面白かった!

・神話や伝説、歴史モノが好き

・一つの作品についてじっくり考察したい



そんな人にはぜひ、挑戦してほしいです。

時間はかかるかもしれませんが、それだけの労力を使ってでも読む価値はあります。


間違いなく、一度ハマれば一生楽しめると思います(*≧∀≦*)




それでは、また次回*