書名 僕が死んだあの森
著者 ピエール・ルメートル
感想 ![]()
悲しみのイレーヌ、その女アレックス、監禁面接などで有名(?)なあのピエール・ルメートルだ!という理由で手に取った本作品。
おもしろかったかと聞かれると返答に困るが、本作品は最後まで読んでほしい。
主人公の内面の描写はいまいち共感できず、登場人物達も魅力に欠けており、結局捕まるのか捕まらないのか、はっきりしてくれ。と思っていたが、最後の最後できれいにまとめてくれた。
終盤までは先が読めずに、読んでいて不安になっていた。端的にいえばハラハラするのではなくイライラしていた。
主人公の不安や葛藤のシーンは理解できるが、行動が伴っていないので、それで君はどうするのだ?と言いたくなるのだ。
しかし最後で複線をまとめて回収し、いまいち腑に落ちていなかった展開にも納得できたので、読後感は満足している。さすがピエール。
フランスの片田舎での物語だが、これが日本の片田舎を舞台にしていたなら、もう少し共感できたような気がするし、実際に似たような設定の作品があるような気がしてきた。
ちなみに日本語版の題名はあまりにも直接的のため、原題名の直訳の方が良いと思う。
個人的には、ピエール・ルメートルの作品なら、悲しみのイレーヌや監禁面接をお勧めしたい。そんな作品でした。