少し読み始めて徹夜を覚悟した。
週末に手に取った本作品、早見一真さんのイノセント·デイズをよみ始めたときの感触であった。
死刑囚の幸乃が歩んできた人生をたどっていくストーリー。
読んでいてキツイ。環境に恵まれなかったのは確かだが、どこかのタイミングで誰かが何とかできなかったのか。
子供時代の友人たちが、死刑確定後に幸乃を助けようと奔走している様をみて、もどかしく無念な気持ちになってしまった。
最後のシーンは久しぶりに感動した。とても悲しい結末だが、幸乃がようやく自分の意思で自らを解放したような気がした。
最後に幸乃が心を動かされた相手が慎一だったのは腑に落ちない。
手紙の内容は確かに心を揺さぶれる内容だったが、そもそもそんな手紙を慎一だけが書けたことが腑に落ちない。(二回目)
そんなに彼と大切な思い出あった?
君が必要だと言われただけなら、慎一である必然性はないので少し白けてしまう。古本屋の事件で慎一と重要な約束をしたとか、説得力が欲しかった。
あと、幸乃の祖母と酒乱の父の行動原理がいまいち理解できない。幸乃を不幸にするためのコマでしかなく違和感が残る。
幸乃の自白にあった秘密の暴露がなぜ採用されたのかも説明はなかった。誘導尋問か?
最後に真犯人が証拠となるメモをご丁寧に残しているが、そんなことするタイプか?
フーダニットを解決するには安易な方法だったので、このメモでいきなり全て解決したら、それはそれで納得いかなかったかもしれない。
いくつか腑に落ちない点はあるが、久しぶりに感想を残したくなるくらいに感動した作品である。
