毎日14時頃、自転車に乗って大きな公園まで行く。ベンチにかけて読書。何ヶ月経っても読み終わる気配はない。
散歩から帰ってきて、玄関の扉を開くと『ただいーっまっ』と大きな声。失語症があるから必要の無いと所に力が入ってしまう。変な『ただいま』それが好きだ。
元々無口なお父さん。もしかしたらこの一言しか喋らない日もあるかもしれない。
そんなお父さん。
働いていた時は、朝早く起きて、
始発に近い電車に乗って、会社に行く。電車で座るため。
早めに着いた会社でコーヒーを飲む。そして仕事をする。皆んながタバコを吸うと、飴を食べる。夜、家に帰ってくる。会社であったことは話さない。何も話さず、夕飯を食べてお風呂に入って、少しTVを眺めてお布団で寝る。それを5日間続ける。土日はひたすら横になる。
時々、掃除機をかけたり、母と子供達の買い物に付き合ったり、自転車に乗って散歩。そんな毎日を30年以上も続けた。
そんなお父さん。

お父さんは優しい。
お母さんが冷たい物言いをしても怒らない。
黙々と毎日の日課をこなす。
神社にある地味な木のように
ドッシリ。
日々の日課を修行のように毎日同じように努める。
5時半頃起床。ゆっくり着替える。血圧を測る。7時半頃、朝食。8時朝ドラを観る。その後はいつの間にかソファーで上を向いて口を開く。寝ている。
9時頃、掃除機を掛ける。掃除機のゴミを掻き出す。
10時頃、ソファーで口開き。スヤスヤ。
合間、合間にベランダに出る。
ベランダにあるトマトやひまわり朝顔の成長を確かめる。倒れそうになっていたら、添え木をする。お昼を食べる。血圧を測る。ベランダ。ソファーで横になる。自転車で散歩。ただいま。血圧。ベランダ。おやつ。ベランダ。ソファー。血圧。夕飯。お風呂。ベランダ。血圧。おやすみなさい。
コツコツ毎日。ゆっくりゆっくり。何も言わずに黙々と日々を暮らす。静かに生きる。そんな人。