食べ方というのがあります。

私を育てた祖母は口うるさく、

「きれいな食べ方をしなさい」と食事の度に言っていました。

それが叩き込まれたのか、いつしか食べ方というものに気をつけるようになりました。

正直言って、食べ方のきれいではない人はあまり好きではありませんでした。

 

箸の使い方でもそうです。

持ち方が独特だと、一緒に食事をしていても、その手の中にある箸の在り方が気になってしまい、せっかくの料理も味が半減してしまうという、悪癖なのか良癖なのか、変に神経質になってしまいました。

 

 

昨夕、食卓の上にティッシュが山積みとなりました。

夕飯のメニューは良子お姉ちゃんのビーフシチューだったのですが、S&Bか何処かの出来合いの素を使った簡単と言えば簡単なものです。

ですが、すごく美味しいのです。

 

 

私は健康だった頃、たまにビーフシチューを作りましたが、食卓にあげる前日に牛のすね肉をローリエ、セロリなんかと一緒にコトコト煮込み、デミグラスソースを作ってそこに混ぜ入れ、一晩寝かし、客人の皿に盛りつけるときはサワークリームも忘れないという、実に手の込んだそして見栄えもするおもてなし料理としてメニューに入れてました。

しかし、私の今までの手間が悲しくなるほど、姉のS&Bビーフシチューは旨いのです。

それは、今までの手間暇ちゃん、さようなら~と簡単に言わしめる程です。。

 

 

まぁ、そんなことはどうでもいいんですが、何故ティッシュが私の席で山積みになったかと言いますと、それは口の周りについたシチューの液体を拭きとったためです。

私は今、きれいな食べ方などできません。

箸も変な持ち方になってきてます。

ビーフシチューは私のような者でなくても、誰でもスプーンで食べますが、そのスプーンでの食べ方でさえ私は不器用にしか使えないのです。

ビーフシチューはご存じのように色が濃いです。

その茶色くドロリとした液体がどうしても口の周りに多量に付着します。

スプーンに乗せた液体をきちんと口に運ぼうとするのですが、どういうわけか、的を外してばかりで、結果、口の周りは茶色くなります。

自分でも口周りのネバネバが気になりますから、ティッシュで何回も拭き取ります。

力の加減も上手く自分で調節できないせいもあり、強くこすりすぎるのか、しまいには口周りがヒリヒリしてきます。

それでも、姉のビーフシチューが美味しくてスプーンが止まりません。

 

 

目の前に座る義兄が気になりますが、そんなことは言ってられないのです。

きっと、私の無様な食べ方を見て、気分がいいはずはないと思いますが、我慢してもらうしかありません。

私はきれいに食べたくても、それが出来ないのですから。

 

 

祖母の姿が目に浮かびます。

私の今の食べ方を見て何と言うだろうかと・・・。

病気だからしょうがないと理解はきっとしてくれるでしょう。

躾は厳しかったでしたが、性格は優しい人でしたから。

でも、祖母はいいとしても、少なくとも、私は食べ方にこだわる人であったし、実際、きれいな食べ方を心がけていました。

それなのにと少し悔しくなります。

 

 

もう一度ティッシュで口周りを拭きながら、

「まっ、しょうがないか」と自分を納得させます。

 

 

そのうち、将来的にはティッシュで拭くことも出来なくなってくるでしょう。

そんときは、そんときです。

 

 

 

 

 

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