移動日を決めた。

私が荷物と共に郷里に帰る日を。

二人の姉と義兄さんが来てくれることになった。

 

引っ越しは週末となるとお値段が少し高めだ。

平日で義兄と次姉が動ける日にした。

 

大量の荷物。

冷蔵庫や洗濯機などの家財道具だけでも、

どれも一人暮らしのくせしてファミリータイプの物ばかりだ。

いくら大は小を兼ねるからって、大きいもの好きだからって・・・と、家電製品を眺めながら、呆れた。

それにそういった物は義兄さんと長姉の住む家には揃っているので、

必要が無い。

 

私は衣類と整理ダンスと大型テレビだけを持っていくことにした。

 

部屋の広さと間取りに関しては姉から写メを送ってもらっていた。

私のテレビを置くには十分なスペースがありそうだ。

 

サヨナラする荷物は全体の5分の4にもなるだろうか。

 

キッチンのものもほとんどと訣別した。

手料理でもてなすことが好きで、週末にはよく人を招いた。

だから、食器類、調理器具もけっこう良い物を揃えていたのだが、

それらに後ろ髪引かれても、所詮、無用の長物だ。

 

特注で作ってもらった壁面収納ダンスともサヨナラだ。

これにはお金もかかったが、それ以上にとにかくデザインが好きだった。

飾り棚もあって、そこには写真やら、小さな絵画、壺、置時計、etcが置かれてた。

それらにも全て別れを告げた。

 

私の約30年は何だったのかガーン

殆どが処分するものとなってしまった笑い泣き

 

買い替えを繰り返し、自分を取り囲むモノたちのランクを上げてきたつもりだった。

1人暮らしに自分なりにこだわっていたからなおさらだ。

 

 

引っ越し業者はお任せタイプにした。

体力的に少量でも荷造りする自信が無かった。

 

仕事の片付けもあったから、挨拶周りも多少あった。

 

衣類は業者がクローゼットの中のものをハンガーラックに

当日、移し替えてくれるから手つかずでも構わないが、

それでも多少の雑貨類など、持っていく物を一部屋にまとめて積んでおいた。

積むだけ積めば、後は業者の方が手際よく梱包してくれるだろう。

 

色んな物を処分しなければならないことは、正直、悲しかった。

それに未練もあった。

 

しかし、一瞬にして切り替えた。

もう、過去の生活とはキッパリ訣別するのだ。

そう思うと殆どが持って行かない物となった。

 

 

だけど・・・・

私はキッチンに向かい、シンクの下の扉をあけ、

包丁3本とビタクラフトの鍋3つとキッチン鋏を取り出した。

包丁は丹念に研いできた。グローバルのものだから、そこそこいいものだ。

ビタクラフトの鍋は無水で調理ができ、通販で安売りの時に飛びついたものだったが、

3点でも、私にとっては目ん玉飛び出そうなぐらい高かった。

使い方に若干のコツを要するが、確かにこの鍋で料理をすると美味しいのだ。

定番の肉じゃがなんかだと、イモのほくほく感が明らかに違うのだ。

キッチン鋏は量販店で買ったものだが、そういえば長姉の家に遊びに行ったとき、

ろくなものを使っていなかったな、と思い出し、持っていくことにしたのだった。

 

私はやっぱり持って行こうと心変わりした品物たちをクルクルと新聞紙で包装した。

少し不器用にだが、一応、そのときはクルクルという感じで包めたのだ。

 

 

ビタクラフトの鍋、今は義兄宅キッチン棚の奥の奥のほうで眠っている。

デッドスペースで3段に積みあがっている。

 

私がいくら使い方のコツを説明し、料理の味がグンとよくなるのだと説明しても、

良子お姉ちゃんは「使い方を覚えなきゃならない鍋」と解釈した時点で、

はい、オサラバね、と決めていたんだろう。

 

 

この前、姉が肉じゃがを夕飯に出した。

それはそれで美味しかったが、

あー、ビタクラフトのあの鍋で作ったら、

肉じゃが選手権で優勝できるぐらい⇐そんな選手権は無いがてへぺろ

美味しく仕上がるのに・・・・。

 

 

私は思いを声に出さず、へらへらと笑顔で長姉が作った肉じゃがを食べるのだ。

 

「良子おねえ~ちゃ~ん、に~く~じゃが、すご~く おいし~よ」

 

本当に旨いことは旨いのであるニヤリ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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