運命の日
やはりつわりのような症状はない。
これは覚悟を決めておかないといけないのかもしれない。
毎日…というか
毎時間といってもいいくらい
一喜一憂を繰り返し
すっかり気持ちは疲れ切ってしまっていた。
産科までの足どりが重い。
途中
大きなお腹を抱えた妊婦さんを見かける。
多分同じ産科だろう。
ただその人が羨ましい。
たまたま私の前を歩いている女性。
初めて出会ったであろう赤の他人が
これほどまでに妬ましいなんて。
やはりその女性も同じ産科のようだ。
女性に続いて中に入る。
予約時間を少し過ぎた頃
診察室へ呼ばれた。
先生は1回目のときよりもやや落ち着いた様子。
(ニタニタは流石にしていない)
前回は腹部エコーだったが、今回は膣エコーの部屋へと通された。
モニターから目を背けることはできなかった。
エコー開始。
その瞬間
!!
私でもわかる。
先生が声を発する前に
私は赤ちゃんのチカチカ動く心拍を確認したのだ。
先生「こむぎさん!心拍見える?」
私「このチカチカしてるのですよね…?!」
先生「この週数で見えてくるのは奇跡に近いよ。」
そうなんだ。
やっぱり先生も厳しいとは思ってたんだよね。
私「…よかった…。」
安堵するも、まだ信じられない自分もいる。
赤ちゃん、頑張ってくれたんだね…!!
赤ちゃんが
私のことをお母さんにしようとしてくれている
そんなふうに思った。
エコーが終わり
診察室へ戻る。
先生「心拍確認できました。
……でも、赤ちゃんの大きさが小さいので心配です。」
?!
心拍確認できたからそれで良しではないらしい。
大きさは5ミリ程。
本来の大きさより随分小さい。
でもちょうど1週間前は心拍確認できなかったんだから
それに比べれば(私の中では)随分成長してくれた。
先生はまた渋い顔をしていた。
先生「…ちゃんと成長してくれることを願いましょう」
それは私も同じ気持ち。
お願い赤ちゃん。
どうかどうか無事に育ってください…