この一つ前の記事で
衣服標本家 長谷川氏の
「DEATHファッション展」
へ行った話を書きましたが…
その会場でふと、宝塚歌劇の舞台のヒロインに
パリグリーン
モーヴ
どちらも着せた演出家いたわね…と気づき
この話、ちょっと掘り下げたくなった。
私の宝塚歌劇 最愛作品の一つ
「フェット・アンペリアル」
大野拓史 作・演出
2006年 星組バウホール公演
主演 立樹遥
この画像みてー👀
ヒロイン エンマ・クラッチを演じた陽月華さんがお召しの衣装…左上がパリグリーン
右下がモーヴ
右上と中左は歌劇「椿姫」の衣装を彷彿とさせるデザイン(花はカトレアだけど)
あ、実在のコーラ(エンマ)は蘭にまつわる🙈なエピソードあった😅
実在コーラは武器は鞭でだけど、女同士で決闘もした事が…
剣は得意だとフェット劇中て言ってる場面あったな…
フェット・アンペリアルのエンマは実在のエンマ・クラッチ、本名コーラ・パールをかなりなぞっているが、そのままでは無い。
実在のコーラ・パールは高級娼婦として毀誉褒貶、栄光の絶頂からどん底まで、濃く激しく生きた女性
舞台の一幕ラストの、白にカトレアのドレスは新調だったと思う
(それ以前の宝塚の舞台で私は見た事がない)
それ以外はほとんど、「白昼の稲妻」「仮面のロマネスク」「聖なる星の奇蹟」などで花總まり様で新調されたのを〝初・使い回し〟だったかなと
(余談…トップ娘役時代の花ちゃんの衣装は、ほぼ新調、そして群を抜いて豪華。退団少し前まで他の娘役が使い回しで着る事はほとんど無かった)
作演出の大野拓史先生は、宝塚の演出家の中でも群を抜いた歴史とそれにまつわる雑学オタクだと思う。
その大野先生が悲劇のヒロインに、
パリグリーン(に見える現代の安全な生地)
モーヴ(同上)
を着せたって事はそれなりの意味があるのではと。
衣装だけでなく、エンマがクルチザンヌ(高級娼婦)として出かける前に、自分を鼓舞するため飲んでいた強いお酒は
アブサン
アブサンはこの作品の時代、芸術家(ゴッホの錯乱の一因とも言われている)たちにも愛飲されたリキュールだけど、幻覚など見えてしまう向精神薬的作用が19世紀末ごろに問題となり、製造など禁止されたというシロモノ
※現代は安全な材料に変えて同じ名前のリキュールが流通している
強いお酒は他にもプランデーやウィスキーなどあった時代に、あえてアブサン
アブサンの飲み方として、あらかじめアブサングラスに入れたリキュールに、専用のアブサンスプーンを使って角砂糖とお水を入れて、アブサンスプーンて混ぜて飲む
ちなみにエメラルド色の透明なアブサンは、水と混ざると白濁する
この儀式めいたプロセスと、アブサンの危うさも込みでのセレクトなんだろうな…
何度も書いだけど、この作品の上演時は全期間、宝塚に滞在して、初日から千秋楽までの全15回公演を観劇(貸切も含め)できた私にとって特別な作品
最愛の贔屓の単独初主演!というのはもちろん、初日の次の公演から数公演、セリフや演出の細かな変更が入り、初日から千秋楽までどんどん進化・深化していくのを体感していたのもある
観劇時には知らなかった当時のアブサンの危険性や、実在コーラ・パールの事、もしかしたら舞台でエンマが着た衣装にも意味があるかもとか…いまだに新たな発見があるとは…!!
当時の私に色々教えてあげたい!
この知識・情報をもって生の舞台、特に楽日の昼公演を観たかった!
(千秋楽はかなりアドリブ・お遊びがあり、それは楽しかったけどでも…芝居としては楽昼が一番の完成度だったと感じた)
千秋楽のカーテンコールの幕が降りたあと、同じく全通した友人と、この作品とのお別れが悲しすぎて本気の号泣したのだけど、後から知った・気づいた色々込みで観てたら泣くだけじゃなく、しばらく魂が抜けてたかも…
宝塚スカイステージでは千秋楽のノーカットは放送あるけど、楽昼(予備としてテレビカメラは入ってた)も放送して欲しいな…
これは去年、母が咲かせたアマリリス
この舞台から白いアマリリスも特別に好きな花になった
(劇中でエンマがアマリリス持って歌う曲と場面が素敵にコケティッシュで可愛い)
白いアマリリスの花言葉は、内気
本来のエンマ(舞台の)は、そういう一面も持っていたよね…
あ、そういえばフェット一幕終わりのカンカンの場面、ここのカンカン踊り子さん達の衣装は大野先生が色遣いとかこだわっての新調衣装だった
(白と黒のモノトーン)
てことは…ヒロインの衣装をコダワリもってセレクトしてるのは間違いないのではと…💡
きっとそうかも!
もうすぐ、フェットの公演があった6月
近いうちにアブサンかシャーベット(わかる人にはわかる)用意して、部屋を真っ暗にして、「フェット・アンペリアル」録画、観よう…