今後はどうやって音楽を楽しんでいくのか? | ファンク・バンドのギター・プレイヤー (リチャード/MUGEN Blasters)

今後はどうやって音楽を楽しんでいくのか?

ネットで今後の音楽産業を危惧する様な書き込みがチラホラ見れる。

音楽に関して、払いたくないモノには払わないし、払いたいモノには出来る範囲で払っていきたいと思う。

 

Appleがストリーミング音楽配信サービスを開始して、立ち上がりの時にテイラー・スウィフトが無料期間中のアーティストへの支払いについて声明を出したり、話題性があるのだろう。

それ以外にもキーワードとして、

「縮小しつづける音楽産業」

CDなどの媒体が売れない」

「配信だけではアーティストは食べていけない」

「国内の名門スタジオが相次いで閉鎖された」

「徴収した金を本当に著作権者へ渡しているのか謎のJASRAC

「レコード会社なんか潰れてしまえ発言」

とか、話題はたくさんある。

 

■音楽産業はビジネス規模としては縮小傾向にある。

以下は最近見た書き込み(←記事のレベルでは無い…)。NHKのクローズアップ現代の放送から来ているらしい。

「あなたは音楽をどう愛す? ~新・配信ビジネスの衝撃~」

http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3681_all.html

 

「新たなサービスは音楽を破壊するのか。」→ 破壊しない。(リチャード談)

「それとも業界を救う救世主となるのか。」→「業界」が誰の事かによるけど、多分その「業界」については別に救わなくてもいいよ。(リチャード談)

 

そもそも「音楽産業」に何を含むのか?という点においては、どの書き込みを読んでいても気になる所。コンサート、楽器関連、音楽大学やLM教室も音楽に関係している産業な訳だし。「ジャンルで言うクラシック」や「主にクラシックを演奏するオーケストラに所属しているメンバー」を想定して書かれているとは思えない内容も多い。ネットで見れるものの多くは国内レコード会社視点の書き込みが多い。(記事と呼べる内容のものは極端に少ないので書き込み)

 

グローバルでの状況を見てみると、

Strong growth in streaming revenues couldnt stop the recorded music businesss official worldwide income dropping under US $15bn for the first time in recent memory in 2014.

(ストリーミングが強力に伸びているが、150億ドル(18580億円)を下回ったレコード業界全体の収益減少傾向を抑えるまででは無い。)

という事らしい。

GLOBAL RECORD INDUSTRY INCOME DROPS BELOW $15BN FOR FIRST TIME IN DECADES」(World Music Businessの記事)

http://www.musicbusinessworldwide.com/global-record-industry-income-drops-below-15bn-for-first-time-in-history/

 

この記事の中にはWorld Music Businessが試算した2014年の収益内訳も載っている。

{1D5A4B0B-C581-48B2-860C-7FB8777412FA:01}

46% Physical 媒体

8% Synchronization License / Performance rights 権利関係

15% Digital Streaming ストリーミング

24% Digital Download ダウンロード

5% Digital -SoundExchange デジタル音楽サービスにおける音楽使用料

2% Digital Other その他

著作権など権利関係を除くと、2014年度はVinylCDなどの媒体ビジネスとDigital系ビジネスの収益は同じ46%2015年はDigitalの中でもダウンロードよストリーミングがグンと伸びるのであろう。

 

Apple Musicはストリーミングである。契約期間が過ぎたら、音源をダウンロードしてあっても聴けなくなる。

SoundExchangeも権利関係ではあるが、World Music BusinessではDigital系に含んでいる。

SoundExchangeはデジタル音楽サービスにおける音楽使用料である「デジタル・パフォーマンス・ライツ」を徴収する独立系非営利団体で、2000以上のノンインタラクティブ・ネットラジオ、衛星ラジオ、ケーブルラジオ局からロイヤリティ料を徴収し、ミュージシャンやレコード会社に直接分配しています。」

「デジタル音楽拡大で好調! 米著作権徴収団体SoundExchangeの支払い額が過去最高の59000万ドルを記録」(2013年の数字)

http://jaykogami.com/2014/02/5907.html

 

■海外と日本を同じ土俵で考えてはいけない。

日本のレコード会社と海外のレコード業界(Recorded music business)を一緒に考えてはいけない。未だに再販制度(レコード会社が小売価格を指定してその通りにしか販売できない)を取っているのは日本だけ。既得権というやつだ。

 

前掲「8% Synchronization License / Performance rights 権利関係」についても、またまた日本は謎の団体JASRACがあるので世界と比較してはいけない。

参考記事「Differences in Sync Licensing between Japan and the US -Part 1-

http://www.tatsuyaoe.com/blog/differences-in-sync-licensing-between-japan-and-the-us-part-1/

 

日本語アーティストと英語アーティストも一緒に考えてはいけない。日本語アーティストは言語の問題で市場が狭い。海外に日本文化好きはいてもニッチ。世界人口70億人のうち17.5億人(25%)が英語人口だそう。英語を母国語(もしくは公用語)としているのは3.9億人。13.6億人は第2外国語として英語を話す。日本の人口が1.2億人。そのうち英語人口は5%くらいはいるのだろうか?

 

日本の音楽産業については、みずほ銀行 産業調査部の「コンテンツ産業の展望(副題:-コンテンツ産業のさらなる発展の為に~)第4章 音楽産業」が非常に分かりやすい。

http://www.mizuhobank.co.jp/corporate/bizinfo/industry/sangyou/pdf/1048_03_04.pdf

 

■売る側のロジックで「CDを所有すべき」という考えを押し付けるな。

CDを所有すべき」とか日本のレコード会社関係者に言われても、それは一部のアーティストや旧態依然のレコード会社の論理であって、その言葉に同調しようとはいう気にはなれない。リチャードの様に邦楽にほぼ縁が無い場合、2015年においては、日本のレコード会社はほぼ不要な存在になってしまった。

音楽を所有して楽しみたい側からすると安いに越した事はないのだが、問屋的な中間媒体はコスト高でしかない。

 

ライブ会場やSNSでアーティストを会話をする際、いきなり「自分でCDは買ったのか?」と“失礼な感じ“で聞いてくる奴がいる。

Con Funk Shunのライブに行った際、PercussionDaleのソロCDを買って、それを持って一緒に写真を撮った。応援の意味も込めてその写真をFacebookに載せたのだが、Daleの関係者が「写真の彼はCDを買ってないんだろ?」とコメント。失礼な。Daleがちゃんとコメントしてくれていたので何ともないけど、CDを買ったかどうか?を気にしている人が多いという事だ。

Con Funk Shun繋がりで言えば、GuitarMichael Cooper Facebookで友達申請していたのが、最近になって承認されたのでお礼のメッセージを送った。彼からの返信は「新しいCDは買ったか?」だけ。

まぁ、いいんだけどさ。

あのさ、すぐに買ったよ。Con Funk ShunMichael Cooper30年以上 大ファンなんだよ。CD買って届いてから直ぐに写真とってブログとかFacebookにアップしたよ。宣伝になるだろ?でもさ、かなーり内容が良くないよ、はっきり言って。しっかりしてくれよ。

 

レコードの時代、シングル盤は500円とか600円だった。AB面合わせて2曲。今はダウンロードで1200円。レコード屋さんまで行かなくても手に入るし消費者視点で言えば良いんじゃないでしょうか?でも、アルバム全体を聴きたいし、配信モノは音質が悪いし、自分では積極的に利用しない。

 

■音楽を届ける手段としての生演奏。

Recorded Music Businessの範囲ではないのだが、音楽関連ビジネスには興業という側面もある。

しかし、音楽を届ける手段の一つとしてのコンサートやライブの国内の状況としては、チケット代の高騰が目立つ。

桃色クローバーZや嵐がスタジアムでコンサートを開く時のチケット代も上がっているらしい(リチャードは全く興味が無いのでネット情報からの受け売り)が、Billboard Live TokyoBlue Note Tokyoが海外からアーティストを呼んで開催するライブのチケット代の上昇率は毎年10%くらいではないか?はっきり言って高過ぎるので、以前の様にライブには行けなくなってきた。会場で販売する物販品もボったくっている。かといって、CHICが東京国際フォーラムや武道館を3日間公演で満員にできるのかは疑問。でもCHIC live in BNT15,000円するならリチャードは行かない。

 

リチャード個人としては、チケット代に見合うアーティスト側の演奏に巡り合える確率もガクッと減少してきていると感じている。

唯一、クラシックのコンサートだけは、終了後に満足・納得して帰途につける事が多い。国内のオーケストラであっても、楽曲が良い訳だし、その世界で研鑽を積んできた人達の演奏表現は素晴らしい。リチャードの様に「ギターが好きでガキの頃は1日中弾いてました!今でも練習してますし!」みたいなのと演奏レベルを比較してはいけない。RockJazzProfessional Musicianがリチャードレベルと言っている訳ではないが、クラシックの方々はトレーニングや教育に掛けてきた時間が違うので、オーケストラとして安定した良い演奏を聴かせてくれる率が高い。

一方でChaka Khanが日本で公演する時のバックバンドとかなんなの?リチャードの価値観では、あれらのパフォーマンスは価格には見合っていない。

 

■今後はどうやって音楽を楽しんでいくのか?

家で聴く分にはアナログ盤とCDをプレイヤーで再生して楽しむ。スマホなど携帯機器に取り込んで持ち歩いたり車内でも聴く。

プロ・アマチュアに限らず生で触れたいライブを聴きに行く。

同じ趣味を持つ人と一緒に楽しむために、MUGEN Blastersのバンド活動を継続してライブパフォーマンスをしていく。

自分でギターを爪弾いて演奏自体を楽しむ。

 

本当はアナログレコードで聴きたいのにCDやデジタル配信でしか音楽を買えない時代だが、今後は欲しいアーティストの曲をCDで買えなくなっていく可能性がある。毎月使用料を払い続けないと音楽が聴けないっていう世界は嫌だ。貯め込んだアナログ盤やCDがあれば、十分聴きまくれる量はあるか…。所有していないものはソウルバーとかで聴かせてもらうしかないか。

 

CDでもコンサートチケットでも音楽教室でもソウルバーでも、価値あるものに(出来ればアーティストに直接な感じで)払いたいと思う。しかし、日本の謎の団体・(邦楽以外を買う場合の)日本のレコード会社・割高ライブクラブ・半分以上が広告で素人同然が書いている音楽雑誌などには、極力払わない様にして行く。