オンワード樫山がWEGOを完全子会社化します。

WEGOは10代に圧倒的な人気をもつカジュアルウェアの小売店です。

もともと大阪の会社だったと思いますが、東京の下北沢に出店し、古着ブームで一気に成長していった企業です。

古着で始まり、自社のオリジナルウェアを作り始めて、今では古着以外のウェアの売り上げが大半を占めるまでになりました。

 

(写真 WEGO HPより)

 

170店舗を超える店舗をもち、売上283億円。

古着から始まった企業としてはもっとも成長した企業の一つです。

 

この会社を、30~40代のレディスウェアブランドを多く持つ、日本のアパレルメーカー・卸であるオンワード樫山が子会社化するというのは以前なら考えられなかったことです。

 

と言うのは、一緒になることが考えられないから。

業界外の方から見たら、同じアパレル業界の中でのM&Aになんら違和感を感じないでしょう。

しかし業界の人から見たら、「なんで関係ないオンワード樫山がWEGOみたいな10代に人気のアパレル、古着などを扱う店を子会社化するのか?」と疑問に思います。

 

それは、業界は同じですが、ポジショニングが違い過ぎるから です。

 

もともとはオンワード樫山は百貨店ブランドを多く抱えてきた会社です。

百貨店に23区や組曲、メンズでは五大陸などの基幹ブランドを多数展開し、百貨店と共に成長してきた会社です。

ほぼすべての百貨店に店をだし、委託販売という方法で企業規模を大きくしてきました。

一時期は日本のレディスウェアの世界では、樫山、ワールド、レナウンの三社でほぼカバーしていたほどです。

 

しかし百貨店の売り上げが下がるのと同時に、オンワード樫山も出店をSC(ショッピングセンター)へと変化させ、徐々にカジュアルな、年齢層も若いほうへとシフトし始めました。

それと共に新しいブランドを作ってきましたが、やはり得意なところは30~40代ミセスであるため、それほど若い客層を開拓できていたわけではなかったと思います。

 

そのような中でWEGOにも出資をするようになりました。

WEGOは2017年ごろからファンドなどに株式を売却したり、創業者がでたり戻ったりを繰り返し、4~5年迷走を続けていた時期がありました。

 

おそらくこのような時期にオンワード樫山からの出資を受け、そして今回の完全子会社化となったのだと思います。

 

オンワード樫山としては、まったくのゼロから若者ブランドを開発する必要がない。

WEGOからすれば、新規出店やネット販売などでの多額の投資を自社だけでやるにはもう追いつけないほど若者のファッションの世界が動いている。

そのような思惑が一致してM&Aが成立したのでしょう。

 

昔は百貨店ブランドしかなかったような会社が、原宿や下北の路面やSCで展開するようなブランドを買収する。

足りない年齢層のところはM&Aでカバーする。

M&Aで言えばしごく当たり前の展開ですが、これからの時代には、ますます活発化していくでしょう。

 

新規市場、新規事業、新ターゲットに向けてゼロから開発して一定の売り上げ規模にもっていくところまで待つのが難しい時代。

M&Aの賛否はいろいろありますが、上手に活用していくことも一つの手です。

 

今日もM&Aを考えていけるいける!!