本日の回収量 2.9t

量こそ振るわなかったが、天候や紙質にも恵まれ、無事に終了した。

出来事らしい事といえば、ある青果店の回収時に時折絡んでくる下校中の小学生の子供と会った事だ。

以前にも書いたが、この小学校高学年と思しき子供達には性教育も兼ねて、なかなか学校では教えてくれない下ネタやあらゆる分野の専門用語等、実社会で活きる知識を教える様に心掛けている。


いつもは必ず小学生側から、「汚い」だの「臭い」だの溢れんばかりの敬意を持って絡んでくるのだが、今日は珍しく一人しかいなかった事と、あまりの快晴で気持ち良かった事から初めて私から声をかけた。

「おかえり。今日は一人か。ところで、もう毛は生えたか?」
「何の?」

まるで、銀河系一下劣な生命体を見るかの様な冷徹な目だ。照れ隠しだろうか。この年頃の子供は難しい。

「わかってるくせに聞くんじゃない。ところで、前に教えた『変態の一種で毛髪や体毛に興奮する性的嗜好』の事をなんて呼ぶか覚えてるか?」

「えぇっと、トラ、じゃなくて。。」

「ったく、トリコフィリアだろう。それ位覚えとけよ。ほら、もう一回言ってみて。」

「トリコフィリア」

「よし、上出来だ。次はちゃんと覚えとけよ。」

また一つ今後、社会で役に立つ知識を授ける事ができた。
当然の事だが、通常の学問は大事だ。
しかし、この様な裏知識を持っておく事で将来、必ず飲み会や合コン、又はナンパといった場面での引き出しとして活きてくる日がくると信じている。

「ところで、今日は何で一人なんだ?」
「ちょっと、ケンカした・・」

どうやら、いつも一緒の友人達と喧嘩して一足先に下校したらしい。

どうせ他愛もない原因だろうが、成長の過程では時に喧嘩も必要であろうし、いずれにしてもこの年頃の子供にはよくある話だろう。
私は少しからかい気味に言った。

「ははは。女でも寝取られたか。昔、俺もあったぞ。カフェの女だったけど、そりゃ酷いもんだった。俺以外に三人男がいたらしい。笑っちまうよな。はは」

「ちょっと似た感じだよ。」

嘘だろう。いくら最近の小学生が早熟とはいえ、まさかそんな泥沼肉体関係などあるわけない。

しかし、その後話を聞くとやはり小学生らしく、その子が思いを寄せる女子にいつも一緒の友人がちょっかいを出し喧嘩に発展したが、その友人に優しく応対する女子にも苛立っているらしい。
何とも可愛らしく微笑ましいが、こういう経験こそ成長のチャンスだ。
私はすかさずアドバイスした。

「まあ、聞け。ここで熱くなるとお前の負けだ。女ってのは余裕に弱いんだ。明日から挨拶程度にして、あとは自分から話しかけるのをやめろ!無視は駄目だぞ。幼稚だからな。はは!
そのうち、向こうは段々気になってくるんだ。なんで話かけてくれないんだろうってな。ふはは!
そうなったらこっちのペースだ!あとは、押して引いてこっちの・・!」

「ちょっとおじちゃん、興奮しすぎだよ。あと、すごいヨダレでてるよ。」

あろう事か、親身になって考え、感情移入し過ぎた結果、まるで自分が女子を口説くかの様な錯覚に思わず興奮し、挙句にその興奮により垂れ流したヨダレを子供に指摘されてしまった。

子供が先程と同じ銀河系の目で私を見ている。このままでは今後何を言ってもまともに聞いてもらえない。
こうなったら、この失態を払拭できる過去最高レベルの知識を投下するしかない。

私は大きく深呼吸し、何事もなかったかの様に子供の目をしっかりと見据え、大人の威厳を全身に漂わせ言い放った。


「ヨダレ?ちなみにヨダレとかの分泌液に興奮する変態をハイグロフィアって言うんだ。覚えとけ。」

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