「障がい者」の表記を用いている私の記事に、
「障がい者」より「被障害者」とする方が正しいのでは、
とのコメントを寄せてくれた方があります。
なるほど、社会モデルの視点が強調されていていい表現ですね。
古く伝統的な障がい者観では、障がいをimpairment(身体機能の異常)のことを指し、
医学的な治療の対象、
つまり“異常”であり、治すべき対象、もしくはリハビリを受けて克服すべき対象として、
健常者に近づく努力を求める個人モデル(または医療モデルとも言う)が支配的でした。
しかし現在では、障がいをdisability(日常生活や社会生活上の困難や不利益)の事を指し、
障がいを障がい者自身の問題ではなく、
社会の側の問題と捉え、一貫して社会の変革を主張する社会モデルが一般的な考え方になっています。
社会モデルでは、治療やリハビリそのものを否定しませんが、それを必修と位置づけていません。
治療やリハビリはオプションといったところなのです。
それを受けるかどうかは本人が自己決定すればよいことであって、
仮に「受けない選択」をしても不利な立場に立たされてはいけない。
あくまでもdisabilityは社会の側にあるのだという認識なのです。
つまり、障がい者は、困難や不利益と云う〝障害〟を被っている人として、
「被障害者」という言葉が正しいとおっしゃっているのだと理解しました。
「障がい者」は、「害」の字をひらがな表記にすることで、
不名誉な印象を和らげようとするものですが、
読む方の障がい者観によって受け止め方が変わります。
その点この「被障害者」は、
言葉そのものが社会モデルの理念を映していると言えます。
使い慣れない言葉ですが、私も社会モデルの視点を強調する場面からでも、
少しずつ使って行きたいと思います。
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