『ひめゆり』(07・日本/130分)
監督 柴田昌平
出演 ひめゆり学徒の生存者の方々
大阪は、7月21日~8月16日まで 第七藝術劇場 公開
この作品には、いつものように星の数をつけないでご紹介したいと思います。
★なんて付けれません。
軽々しく扱えません。
作品として良し悪しを評価するなんてできません。
ですが、見に行く時間がある方はぜひ、劇場に足を運んでください。
ぶっちゃけ、ビデオが出てからでもいいです。
ぜひ、ご覧ください。
アメリカ軍との唯一の地上戦となった沖縄戦
米軍の沖縄上陸目前の1945年3月23日
当時15歳~19歳の女子学生222名と引率教師18名の計240名が、沖縄陸軍病院の看護要員として動員されました
女子学生たちは出発前、きちんと赤十字の旗がある場所で看護を行うものだと思っていたそうです
しかし、実際は銃弾が飛びかい安全の保障はない「豪」の中でした。
やがて、敗色が濃厚になってきた6月18日に突然でた「解散命令」。
豪の中からさえも出ろと言われ、身一つで戦場を逃げまどったといいます。
自決した人もたくさんいます。
その解散命令が出たあと一週間の間に、ひめゆり学徒全体の死亡者のうち、80%の方がこのときに亡くなられたそうです。
終戦まであと2ヶ月という時期でした。
そのひめゆり学徒の生存者たちが、真実を語りだしたのは、戦後40年経ったころからだといいます。(数名、証言していない人もいます)
本作は1994年から13年に渡って、生存者22人のリアルな証言を撮り続けたドキュメンタリーです。
証言者の方々は、もう今では80歳を超える人もおり、実体験を語れる人はだんだん少なくなってきています。
それが、現実です。
しかし、彼女たちは命あるかぎり、戦争の悲惨さを若い世代に語り継ぎたいと思っています
戦後62年を迎えようとしている今
悲惨な戦争の現実を、間近で見て体験した方々の、最後のメッセージがつまった長編ドキュメンタリー作品「ひめゆり」が完成しました。
どうか、耳を傾けてください。
受け止めるのは、あなた1人1人です。
そして
忘れたいであろうことを、語り継いでくれる勇気に感謝をおくりましょう。
これは、”頭”で見る映画ではないです。
心で感じていただければうれしいです。
「ひめゆり」であったことを、知っているつもりの方々
知っているつもりは、知らないと同じです。
どうか、知ってください。
ぜひ、リアルな言葉に耳を傾けてほしいです。
ある証言者がいいます。
「今は美しい、この海岸にもたくさんの罪のない人の血が流れた」と。
そして、今も「ひめゆり平和記念資料館」にくる観光客たちに語り部として、真実を伝え続けている木村つるさんは、
15歳のまま微笑む同級生の遺影をみて
私が彼女たちの元へいつか行く日には、「平和の時代のお話をたくさん持っていって聞かせてあげたい。それまでは、戦争を語り続けます」という。
忘れたいことを、毎日語り続けることはどれだけ苦しいことだろう。
戦後、ひめゆりを題材とした小説や映画が数多く作られてきていますが、それはほとんどフィクションであり、それらが出るたびに生存者の方々は、落胆し憤慨していたそうです。
そんな思いをこの映画に託したとも言える。
これこそ、真実だと。