『バベル』(06・メキシコ 143分)
★★★★監督・脚本 アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ
出演 ブラッド・ピット ガエル・ガルシア・ベルナル 役所広司 菊地凛子
4月28日(土)全国拡大ロードショー
神よ、これが天罰か。
ついに、見てきました
きくりんのアカデミーノミネートも相まって、近年最大の話題作です。
マスコミ向け完成披露試写でも、東京で200人、大阪で50人の関係者が超満員で劇場に入れなかったそうな・・∑ヾ( ̄0 ̄;ノ。
私が見たときも試写室パンパンでした
あっ、「きくりん」は菊地凛子のことですよ?
名前を略されてナンボの世界ですからね。
略されたら売れた証拠です
ちなみに、今、松ケンといえば「サンバ」の方じゃありません×。
今をときめく松ケンは、松山ケンイチのことです
またいつか、松ケン特集組みましょう
あっ、そうそう。バベル!
もう、非の打ち所がありません。
完璧!
イニャリトゥ監督の頭の中を覗いてみたい
『マルコヴィッチの穴』のように、覗いてみたい。
ア・ナ・タ・ハ・モシカシテ、天才デスか???
モロッコで山羊を飼いつつましく生活するアブドゥラは、山羊を襲うジャッカルを撃つため、隣人からライフルを譲り受けていた。だが、彼の息子2人はどちらが射撃の腕がいいかを競い、山の下を走るバスを標的に引き金を引いてしまう。一見外れたかに見えた弾丸は、ガラスをやぶりバスにのるアメリカ人観光客の肩に命中していた。 弾が当たったのは、夫のリチャード(ブラッド・ピット)と旅に来ていたスーザン(ケイト・ブランシェット)だった・・。
そして、話はスーザンとリチャードの子供たちがいるアメリカ、さらにその子供たちの世話をしている乳母のアメリアの故郷・メキシコ、そして、ライフルの所有者であるヤスジロー(役所広司)がいる日本にまでひろがってゆく。
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きくりんは役所広司の聾唖の娘役です。孤独の埋め方をしらない少女という感じです。やっぱり目立っていますね
でも、目立っているはいるけど、この作品は全員がすばらしいんですよ
モロッコのキャストは、現地で選んだ素人さんだそうですが、さすがその土地に馴染んでいるだけあり、リアルだし。ブラピとケイトも、その子供たちも(娘の方は、ダコタの妹が演じている)、乳母のアメリアも、その甥を演じたガエルも、日本の役所広司も、チエコの友だちも、みんなが力を出し切っている感じがする
それは、もう監督の力でしょうね
今年のアカデミーは作品賞は『バベル』 監督賞はスコセッシと言われてますが、スコセッシには申し訳ないけど、ディパーテッドとバベルじゃ、監督賞はイニャリトゥに傾いて正解だと思いますけどね~
う~ん、どうなるか。
ちなみに、バベルとは (混乱)
遠い昔、言葉は一つだった。
神に近づこうと
人間たちは天まで届く塔を建てようとした
神は怒り、言われた
”言葉を乱し、世界をバラバラにしよう”
やがてその街は、バベルと呼ばれた。
我々バベルの末裔は、永遠に分かり合うことができないのか。
というものです。
バベルの末裔として、この作品には3大陸4言語が登場します。
昨年のアカデミー作品賞の「クラッシュ」もそうでしたが、人間が分かり合えない大きな壁として君臨する”差別”の問題。人種、言語、習慣の違いはなぜ、認め合うことができないのか。これが神の天罰なのか。それに加え、警察官の権力主義、過剰な暴力は一体全体、どうやったらなくなるのでしょうか。
監督はこう言います
『境界を形成するものは、言語、文化、宗教ではなく、私たちの中にある』
「人を幸せにするものは、国によって違うけれど、惨めにするものは、文化、人種、言語、貧富を越えてみんな同じだ。人間の大きな悲劇は愛し愛される能力に欠けていること。でも、人を隔てる壁についての映画を撮り始めたのに、人と人を結びつける映画に変わったことが一番よかった。愛と痛みについての映画だ」
と語っているが、まさにその通りだと思う。
愛し愛される本当のつながりを見つけたら、また人類は一つになり、戦争も差別もなくなる日が来るかもしれない。