(C)2006「長い散歩」製作委員会
『長い散歩』(06/日本/136分)
★★★★
監督 奥田瑛二
出演 緒形拳 高岡早紀 杉浦花菜 松田翔太
07年1月13日(土)公開 関西地区は・・梅田ガーデンシネマ 第七藝術劇場 MOVIX堺 京都シネマ 三宮フェニックス MOVIX橿原
モントリオール国際映画祭でグランプリ、国際批評家連盟賞、エキュメニック賞(人権問題に関わる優れた作品に与えられる賞)の3冠を達成した奥田瑛二監督の三作目。
私、実は前々から見たいと思っていたものの「少女」も「るにん」も未見なんです・・。奥田作品は「長い散歩」が初めて。その出来のよさにビックリしました。見放すわけでも、入れ込むわけでもなく、それぞれの人の気持ちにただ寄り添い、見守る。そうして、出てきた人間の感情をやさしくすくいあげ、言葉にできない感動をわきおこす。・・・奥田瑛二ってすごい!
STORY
定年退職まで高校の校長を務めていた安田松太郎(緒形拳)。教育者としても父としても厳格だった松太郎は、その頑固さゆえ幸せな家庭を築けないまま、妻を亡くし一人娘にも疎まれていた。そんな松太郎は、ある日住んでいた家を娘に託すと、小さなアパートへと引っ越していく。その移り先で松太郎は傷ついた少女・幸(杉浦花菜)と出会う。背中にダンボール紙で作った天使の羽根をつけ、一人でいつも遠くを見つめている幸は、実の母親(高岡早紀)に虐待を受けていた。 毎日聞こえる怒鳴り声、少女への暴力。不当な扱い。その様子に自分の過去を重ね、耐えきれなくなった松太郎は、幸を地獄から救おうと一緒に旅に出ることを決意。「青い空を見に行こう」と幸を連れ出した。しかし、その行為は世間で”誘拐”といわれ警察に追われ始める―。

緒形さんの経験・経歴・あってこその安田松太郎役。人間の深い歴史を浮かびあがらせる演技は素晴らしい。自分の過去を、犯した罪の重さに懺悔するように、幸に接する姿は胸を締め付けます・・。
オーディションで選ばれた杉浦花菜ちゃんもすごくいい味が出てる。可愛いだけじゃありません。2000年生まれの”女優”です
「長い散歩」というタイトルが表すのは、人生そのもの。
一歩一歩、人それぞれ歩幅は違えど確実に。
時に、寄り道をし、道を踏み外すこともあるだろう。
しかし、自分の足で歩く限り軌道修正はいつでも出来るのだ
後悔を背負った初老の男の「長い散歩」に監督・奥田瑛二が迫った傑作。
心の痛みと再生に涙腺が刺激されます
井上陽水の名曲「傘がない」をUAが歌うエンディング曲もみごと。UAのかすれた声に浄化されますこの歌が決まってから、高岡早紀が雨に打たれるシーンを追加したのだとか。「傘がない」。素晴らしい