幼い娘たちとの生活を守る父親の愛『たそがれ清兵衛』
武士という身分を捨て、一人の女性を選んだ青年の愛『隠し剣、鬼の爪』
そして
山田洋次の時代劇三部作のラストを飾る
『武士の一分』
この作品は、夫が男として様々なことに苦しみながらも、妻を愛し抜くという、いわば愛妻記です。
ストーリー
下級武士の三村新之丞(木村拓哉)は、城で毒見役を務めている。不本意なお役目に嫌気が差しながらも、妻の加世(壇れい)とつつましく暮らしていた。だが、ある日、生の貝の毒に当たり新之丞は視力を失ってしまう・・・。
人の手を借りて生きていかなければならなくなった新之丞は、その事実に絶望し命を絶とうとする。しかし、加世の強い想いにふれた新之丞は、死ぬこと思い留まり暗闇の中、生きる決心をする。
幸せな日々がまた動き出したと感じていた矢先、ある噂が新之丞の耳に入ってくる。加世が上士の島田藤弥と密会していると言うのだ。その卑怯な真相を知った新之丞は、武士の一分をかけ、島田との果し合いに臨む―。
山田洋次監督と壇れい
「テレビでは見れない木村拓哉を見せる」
と語った、山田洋次の意気込みと、それに十二分に応えた木村拓哉。
目は全てを物語ると言われているように、感情を表す最大のパーツ
でも今回、盲目という役柄。そこから演技することはできません。
高視聴率男が、どんな表情を見せてくれるのか?と期待して鑑賞・・。
やっぱり、さすが木村拓哉というべきか。その集中力はただものではない気がします
この難役を見事に演じていると思いました。
見えない演技を難なくこなすではなく、全身でものを感じ取るように役になりきります。
山田監督との、素晴らしい機会を大事にしていたのか、とても丁寧な演技。
とくに、殺陣のカット
道場で師匠(緒方拳)に教えを請うシーンは、その本気さがうかがえます
見ているこちらまで、手がしびれそうな勢いのある印象的な場面です。
そして、妻・加世への一途な愛
これでまた、男前度が上がること間違いなし。理想の旦那です。
煮物の味だけで、妻だと分かる
う~ん、その夫婦愛。立派です。
他にも、豪華俳優の共演は見もの
桃井かおりと笹野高史が、物語に笑いを添えてくれています
『武士の一分』は12月1日より全国ロードショー!!