残暑が厳しい折、洪水や暴風雨のニュースが流れています。
ジャーナリストは身の危険を顧みず現地取材にライブで報道、迫力満点。
でも、そこまでリスクを冒す必要がありますか?
作家の泉鏡花(1873-1939)が復活したら何とおっしゃるでしょう?
私のアイドル、泉鏡花は、「東海道中膝栗毛」が愛読書。
旅心があっても病弱・体調不良で現場に行かず、詳細な研究・考察・想像力で、自然現象を感覚的に表現していました。
有名な「高野聖」の野性的な美女は、若い僧侶が体験する、恐ろしい自然界から、救済する魔女として描かれ、ミステリー小説風。
妖怪物の好きな私は、「眉隠しの霊」の旅館、長野県木曽の奈良井宿を見学しました。
泉鏡花は明治・大正・昭和にかけて多くの天災に遭い、社会変動を日本語の語彙(Vocabulary)を駆使して、多くの文学作品に残しました。
古い義理人情の世界ではなく、様々な伝統文化の言葉をミックスしてモダンな文体へと進化させました。
ステージでも「天守物語」「海人別荘」など坂東玉三郎の主演で、理想のお姫様が上品でも面白い人柄に脚色されています。
ローカルな美女や粋な芸者が登場する美しい本は、小村雪岱など素晴らしい芸術家の挿絵が文章と一体になって製本されました。
愛読者はもとより作家、芸術家にもファン・クラブができるほど人気があり、
事実と幻想を往来する物語構成は作品によって異なり、読む人も書く人も魅了され、影響力があります。
泉鏡花は英語やフランス語の海外小説も読み、作品のヒントにしています。
若い頃から庶民をいじめる高慢な権力者を批判する姿勢で、様々な職業の女性の生活、感情も活写、五感に訴える言葉の魔術で読者の共感を呼びます。
海外でも翻訳小説がフェミニズムの先駆けのように紹介され、国際的文豪として有名。
愛読書を読み直すと、「奥様」という呼び名が色々なニュアンスを持つ言葉であることを再認識。
時代と相対的な人間関係により変化します。
泉鏡花は好き嫌いが明確で、理想があるから尊敬されます。
でもジャーナリストとして多くの男女に会い、地球市民、各々の個性を重視、寛容で優しい人柄が作品に現れます。
貴婦人(レディ)の食べ物、服装でも、山登りのスポーツ・ウェアでも、ステイ・ホームのおしゃれなラウンジウェアでもOK。
ファッション探偵は泉先生の生徒なのです。
参考文献
IZUMI KYOKA(泉鏡花) UNE FEMME FIDÈLE 「化銀杏」
Elisabeth Suetsugu 訳
©1998,Editions Philippe Picquier
「泉鏡花」 別冊太陽 167
平凡社2010年
「日本橋檜物町」 小村雪岱
平凡社2006年
「鏡花小説・戯曲選」 泉鏡太郎
岩波書店
「鏡花全集」 泉鏡太郎
岩波書店
「鏡花論集成」 谷沢永一、渡辺一考編
立風書房 昭和58年
「幻想空間の東西」 金沢大学
十月社 1990年
「鏡花文学」 日夏耿之介
研文社 平成元年
日本の作家5「泉鏡花」 津島祐子他
小学館
「ユリイカ泉鏡花特集」
青土社 2000年10月
文芸読本「泉鏡花」
河出書房新社 ©1981年
「泉鏡花幻想文学誌」 國文学
學燈社 平成3年
「国文学 特集泉鏡花」
至文堂 1981年7月
「泉鏡花集成」 種村季弘
ちくま文庫 1996年
「泉鏡花 人と作品」 福田清人
清水書院
