蔦屋の文庫本コーナーで偶然見つけました。

 

まさに

 

読書のトリセツ

 

です。

 

しかも!1997年発売。

そう、僕が9歳の時の本です!

 

歳はどうでもいいか笑

 

スマホもSNSもWifiもない時代の本。

 

ゲームはプレステ初期!

 

そんな時代に出された本のトリセツですが、

令和でも全然通用します!

 

この本は時の流れに耐えられると思っています。

 

何が面白いって、教養書のみならず、

文学書についても言及しているあたりです。

 

なかなか、小説の読み方を教えてくれる本って

出会わなくないです??

 

センター試験前に読んどきゃ良かった・・・

 

構造→解釈→批判

 

の順に読む本を解剖していきます。

 

<こんな人に読んで欲しい>

・読書・・・しているけれど、何だかな。

・国語の点数が低くて、もう辛い。

・読んでもすぐ忘れちゃうし、そもそも何の

本だったかふわっとしている。

・人に本の内容を話してもコンパクトに

まとまらない・・・

 

~大まかな内容~

 

1.読む、とは?

1-1.読書の目的

1-2.「教わる」技術

 

2.4段階の読書術

2-1.初級読書

2-2.点検読書

2-3.分析読書

2-4.シントピカル読書

 

3.文学はどうか?

 

~詳細・心中とともに~

1.読む、とは?

1-1.読書の目的

 

読書を二つに分類

  • 情報を得るための読書
  • 理解を深めるための読書

前者は新聞、雑誌など。情報の量を増やす

だけで理解を深めるには役に立たない。

 

後者が必要な場合、それは

 

読み手と書き手の「理解の深さに差がある」場合

 

教えてもらう本です。

堅苦しく言えば、全て教科書なのです。

 

そこで本書は理解を深めることを目的とする。

 

ここで問題にしているのは、本当に理解を深めるための読書技術である。

娯楽のための読書も考えられるが、ここではそれについてはふれない。

 

理解を深めるとは?

 

述べていることではなく、その意図や理由を理解してはじめて、何かを教えられたことになる。

 

文面だけをインプットするならば、それは

単なる情報収集に過ぎません。

 

では、どうしたら文面の奥を理解できるか?

 

1-2.「教わる」技術

 

「教わること」は本を読む技術、ないし話し手から学ぶ技術

 

なので理解を深める読書をするには

 

「教わる」ための技術を身につける

 

学校では先生が教えてくれる。しかし、

社会人から教養を身に付けるならば

それは本しかない。

 

教わるための技術

そんな言葉聞いたことありませんが、画期的な

視点ですね。「教わる」とは受動性を感じる言葉。

ですがそこに技術という概念が加わると途端に

積極性が生まれますね。

 

いかにして書物を最良の師とするか、それを心得ることが大切なのである。

 

つまり、この本は読書から教わる力を

身につけるための指南書なのです。

 

2.4段階の読書術

 

さて、本章が本書の核となります。

シントピカル読書を目指してみましょう。

 

4段階とは言え、その流れは

 

構造→解釈→批判

 

を守っています。

このモデルが理解を深める読書に

欠かせないのです。

 

2-1.初級読書

 

これは小児~学童レベルです。

本書でも軽くしか触れられていません。

 

身体的な成長とともに、視力や聴力を用い、

単語を理解する。

そして、文を読めるようになり知らない単語の

意味をもつかめるようになる。

 

まさに読み方能力の成長期とされる。

 

2-2.点検読書(構造)

ここからが本番です。

 

点検読書はその本を知るための表面的な

作業とされます。

 

目的:読むだけの値打ちがあるかを確認する。

 

ミルクの表面に浮いたクリームだけをすくい取るように読んでいくのだ。

 

以下、列挙します。

 

  • 表題や序文を見る
  • 目次を読む
  • 装丁を読む
  • 要となりそうな章のパラグラフを読む

 

この作業を本屋で立ち読みしながら

やれるといいですね。

 

2-2'.その他のテクニック

 

  • 難解な本に出合った時

 

私は挫折します・・・

 

本書の勧める方法は

 

とにかく読み通すことだけを心掛ける。すぐには理解できない箇所があっても、考え込んだり語句調べに手間取ったりしていないで先へ進む。

 

時間をかけて検索したり、Wikipediaを参照したり

しなくても良いようです。

 

何故なら

 

どうせわかりはしないのだから

そして

 

何事にも時機というものがある。

 

自分の分をわきまえ、意地にならずに素直に

読むということ。そうやって

 

 

  • 読書スピードを上げる。

 

本書は深い理解を求めつつも、効率性も

同様に追及します。

 

時間をかけて読むほどの価値のない本でも読まねばならないことが良くあるが、そんな時早く読めないと、大変な時間の浪費となる。

 

ひとつのテクニックとして

 

目を固定する癖をなおすには自分の手を使うだけで良い。自分で手をページの上に置いて、それをだんだん早く動かす練習をする。

 

でも、重要なのは場合に応じて読む速度を

変えられる技術と言います。

 

  • 意欲的な読書

 

質問をする。そして読書中に質問に自分自身で

回答するよう努力すること。

 

質問内容は次の4つ

 

  1. 何に関する本か?
  2. 何がどのように詳しく述べられているか?
  3. その本は全体として真実か?部分的にはどこが真実か?
  4. それにはどんな意義があるか?

 

意欲的でない読み手は問いかけをしない―――だから答えも得られない

 

終始、読書に対して

積極性や意欲的姿勢を求めます。

 

2-3.分析読書

 

さぁ、最も重要な項目です。

 

  • 1 本を分類する(構造)

 

ここでの分類とは大まかに

 

理論的な本or実践的な本

 

に分類します。

 

理論:事実を教える

実践:方法を教える

 

理論の本の例

 歴史 科学 哲学・・・

 

実践の本の例

 倫理 政治 経済 医学 法学・・・ 

 

 

何故、ここにきて分類が必要か?

 

科目が違えば教え方も違う。

それぞれの種類にふさわしいやり方で読む技術を学ばねばならない。

 

  • 2 骨格を拾う(構造)

その本全体の統一を、二、三行か、せいぜい数行の文にあらわしてみること

すなわち、著者の意図をコンパクトに拾い上げる

 

重要なのは

 

読者自身のアウトラインを作ること

 

つまり、読書後に要約というアウトプットを

行う作業が必須となります。

 

超面倒ですけどね笑 私も頑張ってみます。

 

救いなのは

 

書物の表向きの構造区分にこだわる必要はない

著者の作った区分や章の見出し―――それに頼り切ってしまわずに、手引きとして

 

  • 著者は何を問題にしているのかを知る(構造)

これは、その本を著者が書いた理由につながる。

 

例えば、櫻井よしこさんの「赤い日本」では

著者の挙げた問題点は何でしょうか?

 

現在、日本(Japan)と呼ばれている、極東の

島国は、古来より大和民族が伝統的に

住み続けていることで、その文化が育まれ、

守られた。それはとても美しく、道徳的で

他国には無い奥ゆかしさを持つ。

これを日本人は誇りにすべきであり、この先も

守るべきである。

しかし、この国の一部である尖閣諸島が

脅かされている。にもかかわらず、政府から

国民一人一人に至るまで、国防という認識が

欠けてしまっているのではないか?

 

ということでしょう。

 

そのような問題に対して著者は本を媒体にして

自分なりの答えや主張、意見を書いてます。

 

本=答え

 

じゃあ、その本は何に対する答えなのか?

 

それを探し出す作業がこの項目となります。

 

繰り返しますが、正しいかどうかは別です。

批判はまだ先です。

 

ここまでが構造の理解となります。

 

次、本の解釈作業に移ります。

 

  • 著者の使う言葉を正しく理解する(解釈)

単語は曖昧であり、使い手の思想によって

意味が変わる。

 

何を言っているのかというと

 

例えば・・・「寝る」という言葉

sleepと使っても良いし、sexとしても良い。

更にlieでも良いですね。

 

一つの単語には様々な意味があるということ。

 

  • 命題と論証を理解する(解釈)

 

命題:~である。~べきである。という判断

論証:その根拠が記載されている文

 

世間的に正しいかどうかは別の話!

 

例えば、その本が

「新型コロナウイルスは怖くない!」

という命題であれば、その根拠となっている

場所を探す。それが論証である。

 

論証は

「何故なら~だから」という形であらわされる。

 

著者が伝達すべきもっとも重要なことは、あることがらについての著者自身の判断の表明と、その理由である

 

そして、最後に著者の挙げた問題点に

対する解決そしている部分を抽出する。

 

ここまでが、解釈です。

 

この先に、やっと意見を言いたがりな

読者の出番がやってきます笑

 

  • 正しく批判する(批判)

当たり前ですが、好き勝手批判しても意味がない。

 

そもそも読者のスタンスで求められるのは

けんか腰でも、イエスマンではない。

 

とりわけ、議論が紛糾するような話題は

まこと冷静にいなければ・・・。

 

例えば、コロナワクチンに関する本や

国際情勢に関する本は絶対に意見が

分かれます。

 

2回ワクチン接種をした僕にとって

「ワクチンは意味がない!」という内海聡先生の

意見は結構衝撃なんです笑

 

けれども、彼の根拠は知りたいし、論理が

通っていれば賛成はしたい。とは言え、

統計的に本当に妥当か?といった疑う姿勢も

崩さない。

 

自分の中にグレーを作ることが重要ではないか?

 

と考えます。

 

優柔不断と言われそうですが、そもそも

二項対立はグラデーションのある世の中を

2つにするといった便宜上の都合でできている

のです。

 

反論や反駁のための読書はやめることだ。うのみにするのもよくない。大切なのは、吟味し塾講することである。

 

人間、反論は性ですが、残念なことに

いたずらに論争するだけでは、何の益もない

読書の目的は?

 

反論教わること!


それでも、反論をするならば

その根拠を示さなければならない。

 

2-4.シントピカル読書

 

ワンピースでいうラフテルですね笑

 

いや、マジで大変な作業です。

 

要は

同一主題について二冊以上の本を読む方法

なのです

 

そうしてシントピカル読書の順序は

  • ①関連個所を見つける
  • ②質問を用意する
  • ③論点を定める
  • ④論考を分析する

 

もう・・嫌になります笑

 

まず、論点を見つけ出す必要があるので

同じテーマに対してスタンスを異にしている本を

どちらも読んでおくことが必要です。

 

例えば

百田尚樹の「百田尚樹の日本国憲法」

櫻井よしこの「赤い日本」

 

だけではダメだということでしょう。

 

類似の本を重ねても、自分の知識に隔たりが

生まれるだけ。

この2冊だけでは論争が生じない笑

 

まだ共産主義を正義としている本が

読めてなくて・・・

 

他の例を出してみると。

 

またもやワクチンですが・・・

 

ワクチン打つべき本

VS

打つべきでない本

 

を読んだとします。

 

①関連個所は、言わずもがな

「ワクチン接種に対するスタンス」

です。

 

②質問はどうか?

 

そう意見するのは何故?

そのスタンスのデメリットは?

相手側スタンスのメリット、デメリットは?

根拠となる資料のエビデンスレベルは?

 

など、これら自分が用意した質問に

両本が答えられているかどうかが重要。

 

そして、完全に相対するところで

意見が分かれた場合。

 

そここそが③論点です。

 

そして

ワクチンを打つと感染者が減る

VS

減らない

 

これが論点とします。

 

双方の主張がどれほど正しいのか。

この対立ではきっとどちらかが間違っている

はずです。

 

それを④分析することが最期の仕事です。

 

ワクチンの例だと、この対立に答えが

出せませんが、このようにシントピカル読書

をすることが本書のゴールとなります。

(スイカは野菜or果物 でも何でも良いのです)

 

※何故、ワクチンの議論は決着しないのか?

誰も正確な統計でワクチンの効用を

示せていないからに尽きます。今後も

決着しないと思います。

 

統計って本当に難しいのです。

 

文学はどうか?

 

教養書を読むよりも断然楽しいですよね。

 

けれども、文学を言語化して評価することって

とても難しい。

 

教養書は科学的で論理的。

しかし、文学は芸術的で感覚的。

 

だからこそ、文学を説明するって本当に

難しいなと思います。感想文は書けますが。

 

ある小説のどこがすきか、と聞かれて黙りこんでしまう人が良くいる。

 

あるある笑

そして痛いところをついてくる・・・

 

おそらく本の文字をなでただけで、その下にあるものを読み取っていないのだ。

 

単に楽しんじゃうケース笑

 

ただ、小説はこれくらい楽な気持ちで

読みたいものですが・・・。

 

しかし、ここは厳しく本書の求める到達点を

目指してみましょう。

 

文学は読者に何を伝えるのか?

 

経験それ自体で、それは読む作業によってのみ読者が得ることのできる経験

 

確かに・・・。

先日読んだ「ノルウェイの森」もその本を

読む以外に経験は手に入れられない。

 

文学を読む目的は何でしょうか?

刹那的な娯楽として、でも良いですが。

 

欲を言うならば、実生活に活かしたいものです。

 

私は、

寛容になる

が目的だと考えます。

 

登場人物は自分と年齢も性別も環境も

かけ離れた設定であります。

 

特にリアルでは得難い経験。

 

殺人、ドラッグ、特殊な性体験・・・。

極端な非道徳性、楽観性、自堕落な性格。

 

村上龍の「限りなく透明に近いブルー」

なんてめちゃくちゃです笑 

 

そうやって、彼らの心情を肯定・批判理解する。

 

そんな人もいるんだなぁと。

 

それだけでも、だいぶ生きやすくなると

感じております。

 

ま、それでも理不尽な人に

キレちゃうことありますけどね!笑

 

本書では文学からの学びを

 

経験を創造

 

と表現します。ちょっとわかりにくいですが。

経験を創造した先に、いかに実生活に

役立てるか?これは読者が見つけること

なのでしょう。

 

そのために、文学を読む姿勢を伝授!

 

ここでも

 

構造→解釈→批判

 

のモデルで紐解いています

  • 構造

ジャンルは?

 小説?抒情詩?戯曲?

 

簡単な要約はできるか?

 

例)

主人公が女性に恋をした。

しかし、彼女に末期がんが見つかった。

彼女の願いは死ぬ前に結婚をすること。

二人は式を挙げた。

数日後、彼女は亡くなった。

 

↑は要約であり、骨格でもある。

  • 解釈

登場人物を知り、彼らとともに事件を体験できるほど親しく

この世界の住人として

完全に入り込む!VR並みに!

 

その上で

 

著者の命題(テーマ)を見つける

見つけたテーマは正解が無数にあると思います。

何でも良くて、

見つけること自体が重要だと思います。

  • 批判

作者が読者に経験させようとしたものを十分に感得できるまでは批判をしてはならない。

作家の想像した世界に疑問を抱かないのが良い読者である。

 

総じて重要なのは

 

一旦はすべてを受け入れて読むこと!

 

作品の好ききらいを言う前に、読者は、まず作品を誠実に味わう努力をすること。

いわば積極的な受け身とでもいうべき姿勢が必要である。

 

著者は文学の批判をかなり高レベルなものと

捉えています。何せ相手は芸術だから。絵画や

音楽と同じ位置づけです。

 

なぜ感動したのか?を、客観的に述べられるか。

どこが良くて、良くないのかを具体的に論じて、さらに

その理由を述べる。

 

いやぁ、きついですわ笑

文学の書評とはここまで求められるようです。

 

~感想・今後へ~

 

いかがでしたか?

 

今でも、読書のための本というジャンルは

ありますね。ただ、ここまで学術的に

書かれた本はあまり見ない・・・。

 

ポップな絵や平易な文字で読者に

媚びる姿勢でなく、正確に表現するために

敢えて難しい単語も使用しております。

 

例えるなら、本の解剖学書のようでした。

 

そしてこの本が求める読書のレベルたるや・・・。

 

読書が嫌いになりそうですね!笑

 

まぁ、いいのです。頑張ってみます。

 

シントピカル読書

 

是非、この頂へ到達したい!

 

自分の読書ブログもまだまだツボを

押さえてない気がしてます・・・。

 

構造→解釈→批判

 

今後はこの順でブログを書いてみようかな。

 

これからも読書は続きます。

 

参考・引用 M.J.アドラー/C.V.ドーレン 本を読む本 (株)講談社 1997年10月