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この本で起こることは・・・

妾の感情

それが全てのように思います。

 

この本の感情面の感想なんて、無数に

挙げられているでしょうから・・・

あえてドライに

そして私のブログタイトル通り

前進するための糧を得たいと思います!

 

―――

ざっくりいうと

「虐待されて大人になった女性が、

今、虐待されている男の子を救う」

ストーリーです。

 

ここに、様々な要素が加わり、その要素

というのが全く解決のできない人間関係の

負の部分だから、話題性を呼ぶ本なのだと

思います。

 

本屋大賞第一位!

 

あまりこの手の本は読まないのですが、

あまりにも長い期間本屋の入り口を占拠

していたので購入に至りました笑

 

<こんな人に読んでほしい!>

・虐待、不倫、浮気・・・全部よくない。

信じらんない!同情の余地なし!

・社会的弱者ってかわいそう。

と、同情して終わる。

・どんな人が虐待をするのだろう?

なんで虐待をするのだろう?

 

~テーマ~

タイトルが意味していること

=届かない声

(クジラが聞ける周波数は10-39ヘルツまで)

 

世界で一番孤独だと言われているクジラ。

 

  • 虐待されている子供の声
  • 性的マイノリティに葛藤している声
  • 正妻になれなかった女性の声

 

そんな声が誰かに届いて欲しい

そんな祈りを筆者は小説を通して

世の中に広めたかったのだろう、

と解釈しています。

 

次には軽くストーリーを述べ、

各要点を抽出したいと思います。

 

要点とは

  • 虐待の実態
  • 虐待する女性
  • 妾になる女性、妾を作る男性

~ストーリー~

 

ひとり、大分の港町に引っ越してきた

主人公「キナコ」。

そこで一人の虐待児童「ムシ」に出会う。

 

(回想)

 

キナコも過去に虐待をされて育った。

母親は男性の妾であった。祖母も。

母親は別の男と再婚した。

キナコを虐待から救った男性「アン」がいた。

キナコは別の男性「チカラ」と恋をした。

だが、チカラには婚約者がいた。

キナコも妾になろうとしていた。

本当に大切な人はアンだったことに気づく。

しかしアンはトランスジェンダーであった。

アンは自殺した。

キナコチカラを殺そうとした。

 

(回想終わり)

 

ムシを救いたい気持ちから同棲を始めた。

彼を受け入れる血縁者を探す決意をする。

キナコの友人「ミハル」も手伝う。

無事、ムシは祖母のもとに引き取られる。

 

めっちゃドライな要約・・・笑

 

~要点・心中

虐待の実態

幼少期のキナコ、ムシが虐待を受けている

描写が各所にちりばめられています。

暴力、暴言、軟禁、育児放棄etc

 

一部詳細を取り上げます。

 

成人後も虐待が続くシーン。

 

父親の介護を強制させられるキナコ。

介護のため、就職をあきらめる。

 

どれだけ世話になったと思ってんの?あんたはお父さんのお世話をしなさい。

 

しかし慢性疾患は徐々に父親を蝕み・・・

 

誤嚥性肺炎で入院することになった。

「あんたがちゃんとお父さんを看ていないからよ!」

「あの人じゃなく、こいつが病気になればよかった。こいつが死ねばいいのに・・・!」

・・・

ああ、もうどうでも、いいや。死んでしまっても、もういい。

 

母親の感情は理解できないので、その思考

回路は不明です。

けど、もしかしたら同じ境遇にある女性には

理解ができるのかもしれません。

前の男との子供って・・・本当に邪魔な存在

なのでしょう。本心で。

 

ただ、それを他人が

間違っている!

といったところで、彼女には絶対に届かない

と思います。

 

―――

さらに問題は周囲の人々へも向けられます。

虐待って腫物を触るような扱い?とも

思ってしまう描写です。

 

安易な善意

 

恐ろしいワードです・・・。

 

わたしは、安易な善意で苦しんだ。

女性教諭が、制服にいつもアイロンがかかっていないことを母に指摘したのだ。

食事を満足にくれなくなった。

母に恥をかかせた罰だということだった。

「外でひとに心配をかけません」という書写をノート一冊分書くことで―――

それから自分の持ち物は毎日洗い、アイロンをかけた。

女性教諭はパリッとしたブラウスを見て「よかったじゃん」と笑顔で言った。

 

・・・いやー、こんなことを書かれてしまうと、

周囲の人々はかえって何もできなる・・・

けど、これがリアルなのでしょう。

 

安易な指摘、助言は禁忌ってことでしょうか。

 

皆さん、部外者に何か指摘された時って、

どんな感情が湧きますか?

 

  1. そうだよな、自分が間違ってた。
  2. 事情の知らないやつが何言ってんの。

 

圧倒的に2だと思います・・・

理屈でいえば間違った反応であるのは

自明なのですが。

 

虐待する女性

 

ここでは、虐待する側を取り上げて

みます。

 

それは教育が原因と思われる場面

 

「琴美(ムシの母親)も、可哀相な子なんよ」

「会長(琴美の父)さんはあの子にえろう甘いでな。」

「中学に入ってすぐ―――携帯電話を買うてな。小遣いもようさん与えとったらしい」

「福岡の若い男と知り合って、駆け落ちしたのよ」

 

「叱られたことも、思い通りにいかずに悔しい思いをしたこともなかった」

「小さな子供の内に覚えておかなきゃならんことを大きくなって知るのは、ものすごくしんどいものよ」

 

自分にとってストレスになる場面は

子供の頃に経験をしておくべき、と。

 

壁にぶつかると人の反応は2通り

  1. 壁が悪い(人のせい)・何とかしてくれ
  2. 自分が悪い・世の中思い通りにならない

いかに1から2に思考を変えていくか

が成長でしょう。

 

しかし壁自体を経験しないと

その思考が育まれない・・・。

こうして次のようになる。

 

彼女(琴美)の言い分

 

「ピザを勝手に食べたの。だから躾けてやった。ケチャップじゃなくてタバスコにしてやればよかった」 (ムシが顔面を真っ赤にして現れた描写があった。)

「あいつを生んだせいで人生が狂ったの。私は私こそが被害者だと思ってる」

「しなくていい苦労はたくさんしたし、我慢しなくていい事も我慢してきた」

 

若くして子供を作ってしまった。

男に捨てられた。

そのために一人で子育てをする羽目に

なった。

 

これらはすべて

 

他人のせいである

 

と彼女の理論はゆるぎない。

 

このような思考をしている人に

異を唱えたところで徒労でしょう。

 

怒りの矛先は当然、自分より弱い

子供に向けられるのは当然です。

 

妾になる女性、妾を作る男性

 

本書では、これらは「血」が原因と。

解釈を広げると、幼少期の家庭環境を

自身も踏襲してしまう・・・。

 

妾の子は妾。

愛人持つ父の息子もまた、愛人を持つ。

 

キナコの母親も・・・祖母を恨むも

反面教師になれず。

 

祖母の遺影までも母は捨てた。

悪い血ってなかなか厄介なのよねぇ。

情にほだされたらダメなの。

 

その血はキナコ自身にも

 

「俺はキナコ以外の女と結婚しなくちゃならない」

しかし

「このままの関係を続けたい。」

 

わたしには、妾の血が流れている。

私の心は喜んでいる。捨てられなくてよかったと、泣いている。

 

なんでしょうか、この女心は・・・

この女心から始まった虐待なのだと

 

 

~感想・今後に向けて~

骨格は

「同じ過ちを繰り返させない!」

というきれいなものですが、

現実社会はこうはいかない・・・

 

そんな身もふたもない事を言っては

いけませんね笑

 

魂のつがい

(愛情を注ぎ注がれる存在)

という美しい言葉が出ますが、

リアリティに乏しいため

今回は取り上げずにおきます。

 

ストーリーとしては純粋に楽しめました。

さすがに私にも感情はあります笑

 

 

―――

やはり、思います。

人は変えられない

 

多くの自己啓発本であるように。

 

虐待する親を虐待しない親に

変えることは無理ではないにしろ、

かなり難易度の高いものと思いました。

 

そして

問題はもっと根本にあるように思います。

 

虐待するような人間が生まれるプロセス

を考えないといけないのかもしれません。

 

本書には、

  1. 教育
  2. 家庭環境

が例でした。

ただ、これらは家庭内でなされることなので

介入が難しい・・・

 

せめて義務教育課程で啓発できる

ことはないものでしょうか?

 

 

―――

普通に考えれば、児童虐待は「悪」と

されています。

しかし、それに対し

意見する、同情を持つ

だけでは何もしていないことと同じでしょう。

 

じゃあ、どうすれば?

 

「そんなこと厚労省が決めることでしょう。」

「私なんかにできることはないし」

 

って感じになりますよね笑

かくいう私も何もアクションを起こしていません。

なので・・・・

 

せめて

自分が見つけたら児童相談所に連絡だけ

してみよう。

を今後の行動目標にしてみます。

「189 イチハヤク」

これが直通ダイアルのようです。

 

本書を機に厚生労働省のホームページに

人生で初めてアクセスしてみました。

いろいろあるんですね。

  • 子育て支援
  • 地域ネットワーク
  • 被虐待児童の自立支援

などなど。

 

 

んー、今回の読書で登場人物の感情を

どこまで理解できていたのでしょうか・・・

 

まだまだ読書は続きます・・・

 

 

<次に読みたい>

・複数女性を所有したい男の心理を

理解できるようになる本

・2番目でもいいという女性の心理が

理解できるようになる本

・虐待を取り巻く社会に焦点を当てた本

 

 

引用・参考 町田そのこ 52ヘルツのクジラたち 中央公論新社 2020年4月