今回はレビューです。
作品はA.I.。

星★★★★★

スティーブン・スピルバーグ監督作品。

この作品はある種スピルバーグの代表作と言ってもいいような気がします。

スピルバーグが作り出すリアルな現実とサイエンスフィクションな部分のどちらをも含めた、テーマがとても重い作品に仕上がっています。

基本的に人間が如何に愚かなものか、というテーマなのですが、それと同時に、人間がどれだけ神に近づけたか、どれだけ偉大であるか、そんな事も含まれています。

物語の序盤では、人間の愛、欲望、そういった部分が目立ちますし、中盤も自分達が作り出したロボットに対する行動がえげつないなど、人間の人間らしい部分を深くえぐっています。

この作品を観ていて評価をつける最大の点、ラストシーンですが、2000年の時を経て、人間が絶滅した時代をも取り入れています。

新たなる文明人が、人間という、魂を持った素晴らしい生き物を出来るだけ知りたい、学びたい、羨ましいと感じているのは、その新たなる文明人。

人間を誇り高き物だと扱う新文明人から見ると、人間の絶滅もそう悪くはない終わり方だったのかと。


こういった人間の善の部分と悪の部分の対極をしっかり写す事で、どんな人間も心打たれる作品になっているのかと思います。


そんな堅苦しい事をぶっ飛ばして話すのであれば、主人公デイビッドの純粋さ。
何年時が経っても、彼の願いは変わる事はなく、まさに永遠の願いでした。
これを綺麗に映し出したスピルバーグ監督に拍手喝采です。

その他登場人物もとても良い。

中盤旅を共にするジョー。
彼の頼もしさは大したものなのですが、ロボットとしての知識や知恵や思考はデイビッドのそれとは違い、ロボットらしい、というようなものになっています。

デイビッドと共に旅して、デイビッドが求めるものに出会えた時でさえ、自分が人間になりたいとは思わず、セックスロボットとして働ける口を最後まで貫き通していました。

そんなジョーに哀れを感じてしまう、そんな悲しみもありました。

そしてテッドなんかより全然可愛いテディ。


今作はキューブリックが監督をする予定だったと言われていますが、キューブリックらしさも少しあったかと。

不要ロボット廃棄のショーだったり、セックスロボットが働く街だったり、雰囲気がなんとなくキューブリックを匂わせていたような気がします。

エンドロール後も、スタンリー・キューブリックに捧ぐ、とされていますので、キューブリック監督としても観てみたかったと心から思います。

しかしスピルバーグ監督だからこそこんなに綺麗な作品になったのだと個人的には思うので、これはスピルバーグで良かったと思います。

個人的には大好きな作品。
人間である事、そして人間の未来について考えさせられる作品です。