びっくりしたおばさんは、この子に名前をつけることにしました。




ともひろ… しんじ… ゆうじ… しんぺい…

おばさんがなやんでいると、男の子が喋りだしました。




『せっかく桃から産まれたんだから、桃逹瑯ってのはどおだい?』


なんて図々しいんでしょう。可愛さの欠片もありません。

それを聞いたおばさんは、
『それはいい考えだわ!そうしましょう!』


図々しい桃だといっていたおばさんは、この図々しさには気がつきませんでした…


こうして桃逹瑯と名付けられた男の子はすくすくと育ち、5年の月日がたちました。


ある日おばさんはいいました。

『桃拓郎や……最近村に鬼がきては川の水を汲んで帰るんだよ… その水を汲む様が怖いって村の人が怯えちゃってねぇ… なんとか退治してくれんかのぅ… 』


桃逹瑯はいいました。
『ちょっとまってくれよおばさん。おれは桃拓郎じゃなくて桃逹瑯だぜ?いつになったら覚えてくれるんだい? それに鬼はそんなに悪い事してないじゃないか。 ほっといてあげようよ。 第一、俺は5才だよ? 推定25~55才のたくさんの鬼に勝てるわけないじゃないか。すごく怖いよ。助けてよ。』


桃逹瑯は間違ってはいませんでした。


それを聞いたおばさんは納得して、村の人たちに鬼の怖くなさについて教えてあげました。


村人たちは鬼の怖くなさに気づき、村人と鬼は、仲良くなりましたとさ。











それよりもなによりも…













おじさんが、山へ芝刈りにいったきり、5年帰ってきません。





■yukke■


きっとこんなお話しになるな。