やってみようよ、だって面白そうじゃん。

やってみようよ、だって面白そうじゃん。

老舗美容外科クリニックの2代目院長であると同時に3児の父。
公に私に大変だったりもするけど、結局は楽しんだもん勝ち!

11月某日

 

ジーニーのおっちゃん!

なんや白くてフワフワしたもんがいっぱい空から落ちてきてんで!

あれ何やの?

え?

雪?

これが!

はぁぁぁぁ…、

初めて見たわ。

どんな味すんのやろ。

柔らかそうやけど、触ってみたいわ。

ねぇ、お散歩まだぁ !?

 

ジーニーのおっちゃん、いつまでご飯食べてんの!

はよしないと雪、やんでまうやん!

もうアタイ、ハーネスとチョークチェーン着けてもうたわ!

お父ちゃん!手袋履いた!?

お母ちゃん!帽子かぶらんと耳が死ぬで!

はよ行こ!

 

Incredible !

ホンマに周りが真っ白やわぁ…。

昨日までの土と葉っぱの匂いがしいひん。

けど、初めての匂いはいっぱいや。

これが雪の匂いなんやなぁ…。

こんなにいっぱい落ちてきて、みんな煩くないの?

え?

音しないの?

みんなも聞こえてへんの?

アタイと同じなん?

なんかそれ、ちょっと嬉しいわ。

アタイだけ聞こえてへんのかと思たわ。

 

宮古のお父ちゃんやお母ちゃんにも見せたげたいなぁ…、

あん時、独りぼっちでいたところを見つけて貰われへんかったら、

アタイも雪なんか見れへんかったんやなぁ…。

不思議なもんやなぁ…。

宮古から訳も分からんうちに函館行って

慣れてきた思たら今度は札幌や。

そして今、雪の上に立ってる。

いろんな人間に会うてきたなぁ…。

みんな優しかったわ。

感謝やね。

ありがとう。

これからもご飯いっぱい食べるわ。

それと玄関の靴、

隙あらばウチのハウスにコレクションさせて貰うわ。

あ、

ちぃ兄ちゃんの靴は止めとく。

ごっつ臭いねん。

札幌来て、初めて死ぬか思たわ。

けどちぃ兄ちゃんが一番優しいかもしれん。

普段は家におらへんけど、もうすぐ帰ってくるんやろ?

ちぃ兄ちゃん帰ってきたら、アタイが散歩に連れて行ってやらなあかんな。

 

なんや雪みてたら、いろんな事考えてまうなぁ…。

雪って不思議やなぁ…。


 

「ども、こんにちは~!」

 

「ジーニーです!」

 

「パムです!」

 

「二人併せて、グランプリ(GP)です!」

 

「いやぁパムちゃん、

お盆も過ぎて、涼しくなってきたなぁ!

 

「・・・・・・」

 

「いや、そりゃしゃぁないわ。

キミ、着てる毛皮がワイと比べものにならへん。」

 

「・・・・・・・」

 

「そやな、早いとこトリミングしてもらわな。

 

「・・・・・・・・・・・」

 

「いや、それは無理ちゃうんか?

ワイらの世界でカリスマ美容師って聞いたことあらへんがな。

 

って、ちょっと待ちなさい。

手話でボケるの止めてくれる?

これ読んでる人、何言うてるのか分からんし、

 

あと、キミって耳聞こえんへんけど喋れるやろ。

最初に『パムです!』って元気に挨拶してたやないかい。

なに急に“耳聞こえん犬”アピールしとんねん。

手話使うとしたらコッチや!」

 

「ジーニーのおっちゃん、

  これからの時代、いろんな人に楽しまれなあかんねん

 『多様性』って言葉、知らんの?

 耳の聞こえる犬も、聞こえない犬も

 みんな平等に楽しむことが大事なんやで。

これこそが真のEntertainmentやねん。」

 

「なんや、やっと喋り出したか思たら、いきなり正論かい。

  ただ、今の発音良かったで。」

 

「当たり前や、あたいは宮古の女やで。

72年まではアメリカさんに統治されとった宮古島や。

ネイティブの英語で育ったようなもんやからな。」

 

「ほぉ、そりゃ凄いわ。

  ってキミ、耳が聞こえへんのやろ?」

 

「おっちゃん、何であたいの名前がパムいうか知ってんか?

  PAM(pulse amplitude modulation)いうたら音声・映像などのアナログ信号を、パルスの振幅に置き換えてデジタル信号にする変調方式なんやで(wikipedia)。

 耳で聞こえんくてもデジタルで解析できんねん。」

 

「ほぉ、そりゃ凄いわ。

  どおりで耳の後ろにUSB差し込むところがあんねんな、

 ってアホかい!

 もうキミとはやってられんわ。」

 

「ども、失礼しました~!」

 

はい皆さん、こんにちは。

お馴染み、ジーニーです。

なんや、ついこないだセツコいう汚いバアサンが来た思たら

あっちゅう間に居らんくなって、

「はぁ、やれやれや」て思うてたのに、

今度はワイより図体のデカい小娘が来よったがな。

 

この新入り、耳が聞こえへんらしい。

何するにもご主人が目の前で手ぇゴニョゴニョ動かして

その都度お菓子貰ってるがな。

 

なんや、不公平やないかい。

ワイの時はお菓子なんか貰われへんかったで。

「お座り」「お手」「お替わり」「伏せ」「ゴロン」

この一連の動作を円滑にこなして、やっと貰えるのがワイやった。

それが、目ぇ見ただけでお菓子って…。

 

もちろんな、ハンデ持ってるヤツはサポートされるべきや。

けどな、そのために健常なもんが我慢すんのは間違っちょる。

差別やない、区別や。

 

ご飯はワイが食べ始めてからやで。

散歩もワイが先頭や。

夜寝るとき、ご主人のベッドで寝れるのもワイだけやで。

 

まぁ家族やし、仲良ぉしてやらんでもないわ。

ただな、年功序列っちゅうもんをわきまえた上でのはなしや。

約束守れたら可愛がっちゃるきにの。

 

って、先輩が話してるときにドコ向いとんねん。

話を聞かんかい!

 

あ、聞こえないんやったな。