不器用で小さなミスが多く、自信喪失からコミュニケーションが取りづらくなり
やり方や考え方に迷った時に周りに聞くことができず、自己完結しようとするからまたミスを呼び起こし、

そうやって悪循環をめぐり始めたB男が、奈落の底に突き落とされるきっかけとなったのは





まさかの、歯ブラシでした。



‥‥‥‥


職場の休憩室には給湯用ポットと小さな水道があり、お昼休憩の時にはみんなコーヒーやら紅茶やらを入れて好きなように飲んで
最後にそのマイコップを洗い、歯磨きをしてから仕事に戻るのですが、

ある日のこと、何を思ったのかB男は
歯を磨いたあとの自分の歯ブラシを、そのへんに置いて乾かしてあった別の先輩看護師Fのマグカップの上に置いて放置し
仕事に戻っていったのです。



B男のびしょ濡れの歯ブラシは、まだ水が滴るような状態で
Fのマグカップに少しずつその水が溜まっていきました。


その後、交代で休憩室に入ってきたFは
自分のマグカップの上に誰か別の人の歯ブラシが置かれているのに気づき、
更にその歯ブラシから滴る水で自分のマグカップが濡れているのを見て驚愕。


小さく悲鳴をあげたあと、震える声で、これ誰の歯ブラシ?と私たちに聞きました。
勿論、私たちの誰にも心当たりはなく
そうなると、たった今休憩室から出ていったB男のものである可能性が高い。


(女性が多い職場なのに、水色の歯ブラシだったのも有力な手がかりだった)



いくら毎日一緒に仕事をしている同僚とはいえ、
40代男性の使用済み歯ブラシが自分のマグカップに触れているのは
あまり気持ちのいいものではありません。
しかも、水滴が‥



その後、看護師FはB男に直接聞きに行きました。


「あの水色の歯ブラシ、自分の?」

「えっ?あ、はい‥」

「私のコップの上に乗せるの、やめてもらっていい?」

「あ、ハイすみません‥」



少しニブいB男にはおそらく、
何故そんな小さなことでこんなにきつい言い方をされるのかわからなかったことでしょう。笑




聞き耳を立てて、動向を見守っている他のスタッフたち。
気持ち悪いよねー!
馬鹿じゃないんあいつ!

と、徹底的な悪口がこの日から始まるようになりました。


相手を見る目が少し変わると、
今まで気づかなかったような些細な動作や言葉遣いまでもが癪に触るようになり
何をしても怒られる。
何をしても睨まれる。
の地獄のような日々がここから始まっていったのです。