(この記事は2月の末ごろ綴った記録です)

夫は癌研有明病院の後、自宅療養ではなく直でホスピスに行くことになった。

 

理由は二つ。

彼は血栓ができやすい状態に陥っており、心筋梗塞や脳溢血になる可能性が大きいため、緊急事態に対応するにはもはや自宅療養では無理だということ。

 

そして、もうすでに抗がん剤など治療ができない状況であるということで、病院の標準治療ではなく、緩和ケア病棟に入ることになった。我が家から通える範囲にホスピスの選択肢がいくつかあり、そちらのほうが痛みのケアがきちんとしているから安心だとのこと。

とりあえず娘がいくつかのホスピスで面談をし、癌研でも私も一緒にケアマネさんと面談し、ここはというところに絞って申し込みをした。

 

癌研のケアマネさんもとてもいい方で、何とか早く希望のところへと、私たちが希望するホスピスと緊密に連絡を取ってくださった。

 

我が家から通える範囲の中で、最初にかかった地域の総合病院付属の緩和ケア病棟があるにはあるけれど「あそこは信用がならないから嫌だ。」といって夫が拒否。

 

そして、最初に彼がここならいいかなーといっていたホスピスは、コロナ対策で小学生以下は面会できないということが分かり、孫が会いに来られないということで選択肢から消えた。

 

最後にここがよさそうだと思ったホスピスは、小さい子供でも面会ができ、朝8時から夜8時まで面会できること、

特に終末期には時間制限は特にかけていないし、いよいよとなったら泊まりで付き添うための家族室もある。

寂しがり屋の夫にとっては、それが一番だと思う。

 

それで、このホスピス一本で希望を出そう(普通は複数の施設に希望を出すらしい)といっていたホスピスの空き待ちすることに。

申し込み時には順番は3番目だといわれたけれど、上位二名がキャンセルになったため(ほかのホスピスで空きが出たのかも・・・)申し込み一週間後に空きが出たため順番が回ってきて、急遽転院することになった。

 

癌研からは介護タクシーをお願いして、娘が付き添ってくれた。

私は先にホスピスに行ってご挨拶をして、夫の到着を待ち構えることに・・・

久しぶりにちゃんと会えた夫の顔を見ると泣けてくる。

予約できた個室に彼はおさまり、やっと家族みんなに会えて(癌研はコロナ対策で面会できなかったので)すごくうれしそうにしていた。

 

夫が看護師さん達にケアを受けている間、娘と私はホスピスの主治医に別室に呼ばれて、腫瘍マーカーが1か月で4倍になっているので、おそらく今月いっぱいは持たないでしょうと告げられる。

娘と二人、面談室でたくさん泣いたけれど、涙を拭いて夫の病室に行くと、夫は相変わらずの様子だった。

 

このホスピスがとてもよかった。

人生をいい形でお見送りしたい、そのためには患者とその家族の希望はなるべくかなえてあげたいという気持ちがひしひしと伝わってくるようなホスピスだった。