彼が癌の闘病中、食べられるものがどんどん少なくなってしまって、食べきれなかったものたちが冷蔵庫の中に残っていたから、泣きながら捨てた。
闘病の最初のうちはおかゆが食べられていたから、おかゆに添えるノリのつくだ煮とか梅ペーストとか、刻んだ高菜漬けとか小エビやアサリのつくだ煮とか、彼が少しでも楽しんで食べられるように、味のバリエーションを用意していた。
でもそのうちそれもおかゆ自体が嘔吐を呼ぶので食べられなくなってしまった。
もう一度食べられるようになるんじゃないかと希望を持っていたけれど、とうとうそれらを再び食べる日は来なかった。
今日スーパーに久しぶりに行ったら、何を買えばいいかわからなくなってしまった。
いつも食べることが大好きな家族や彼の為に、何を作ってあげようかと思いながら食材を買っていたから、いつも喜んで食べてくれる家族を失って、何を買えばいいのかわからなくなった。
子供たちがいつも「お母さん、ちゃんと食べてる?」って心配してご飯を作りに来てくれたり電話をしてくれるのはありがたいんだけれど・・・
彼はもういないんだな…