2月初め、癌の細胞をとって遺伝子パネルを調べるため、癌研に検査入院。

 

病室は高層階で飛行機の発着もベイブリッジも見える窓側。

(窓側は差額ベッド負担アリ)

当初はホテルみたいだーとはしゃいでいたけれど、翌日は検査で痛みもあったのか、食事も薄味でがっかりしたこともあり、3日目に自宅に帰ってきたときにはすっかり衰弱していた。

 

今から考えると、一度目の分かれ道はこの検査入院だったような気がする。

もちろんそれだけ癌の進行が進んでいたので、必然的に体調は悪化してしまうんだけど…

 

以降、食欲が減退してしまい、少し食べただけでもいらない、ということになってしまったが、それでもこの頃は食べられるものを探して試行錯誤し、少しずつお刺身なども食べられていました。

リンゴのスライスやキュウリのスティック、小さなおにぎりやニンジンリンゴジュースやヨーグルトなども。

 

5日、地元の総合病院でかねてから予約していたMRI検査。

8日、癌研の先生のお手紙をもって地元の総合病院で受診。

MRI検査の結果、すでに脾臓と副腎にも転移しているとのこと。

 

家族でいろいろ調べて、食べられないのは「悪液質」ということが問題であると思い、地元病院の先生に質問するが悪液質のことはご存じなく、食べられるようになる手立てはないといわれる。

 

ナルサス(医療麻薬)は夫が痛みがあると伝えたために2錠から3錠に増える。

ところがどうやらこの副作用なのか、この後から嘔吐と便秘と発熱に悩まされる。

抗がん剤治療をするなら点滴だけ近い地元の病院でして、状況を見て癌研に通うということを考えていたけれど、この時点で、この病院にはもう期待できないと夫が判断する。

 

癌研の主治医は月曜日、金曜日が担当。

ただ、間が悪いことに9日(金曜日)は夫の誕生日であり、すでに夫の仕事の今後のことをお願いする方に来ていただく予定が入っている。

夫は誕生日だし家にいたいとのことで、診察の予約を先延ばしにした。

 

翌月曜日は祝日で病院自体が休みだったので、16日(金)に癌研受診を予約。

この時点で嘔吐もあり食欲もないため、ふらふらして車椅子での通院になるが、すでにこの体力では抗がん剤治療も難しいといわれる。

主人にとっては覚悟していたけれど、ショックだった診断だった。

でも同時に、抗がん剤を受けなくて済むというのはほっとしたとも言っていた。

 

膵臓がん末期でこれだけ転移をしていれば、強い抗がん剤を使っても少し余命が先延ばしされるだけで、良くなるということは期待が持てない。

 

どちらにしても彼は「抗がん剤をしても副作用で苦しんで、余命がわずかに伸びるだけなら、ペインコントロールをして家族とゆっくり時間を過ごしたい」と希望していた。

 

この日彼の状況がかなり悪いので、そのまま癌研に入院になるかもと思って入院準備もしていったけれど、彼自身が入院しないで自宅に戻りたいというので、癌研から自宅に戻ってきた。